ストレスチェックを行なって高ストレスと評価されても何も行わない方の割合は、61.6%だとニッセイ基礎研究所が2019年5月にまとめた調査結果です。高ストレスと評価され産業医との面談を勧められた方に、その後の行動を尋ねた結果、「何も行わなかった」が最も多く全体の61.6%を占めていたと言うのです。
従業員から申し出があった場合は産業医による面接指導を行われる制度ですが、高ストレスを放置しているとなれば、何の為のストレスチェックなのかなという事になります。では、面談を申し出なかった最大の理由は「それほど深刻ではないと思った(30.2%)」、「時間がなかった(23.9%)」、「どう対処していいかわからなかった(15.7%)」。
「その他」は18.9%あり、どうせ何も変わらない、職場にばれる・不利益を被るといった不満、反発が多かったようです。この制度の目的は、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防と位置づけられて施行されました。一次予防とは健康増進や疾病予防で、二次予防は疾病の早期発見・早期治療、三次予防は職場復帰支援です。
厚生労働省もメンタルヘルス不調未然防止には、(1)職場環境の改善等により心理的負担を軽減させること(職場環境改善)、(2)労働者のストレスマネジメント力の向上を促すこと(セルフケア)が重要としています。
しかし、上記調査結果をみると、(2)に繋がりにくいのが現実で、さらに、2018年3月の厚生労働省研究報告書には、ストレスチェック後の職場環境改善を経験した比率が3%に満たないとの結果を受け、職場環境改善の普及を行うことが望まれると提言しているようでは、(1)にも繋がらないのが現実。要は、チェックしっぱなしというわけです。
ちなみに、職場環境改善の経験比率が低い地域は東海・甲信越地方とのことです。集団分析と職場環境の改善施策の実施が努力義務であるこの制度には、産業医が、「ストレスチェック後の職場環境改善がない限り予防にはならない」「正直に回答して会社に知られ不利益を被ることを恐れるため、本来の目的が達成できない」などと指摘しています。
メンタル不調者個人を特定して面談させるというような、二次予防の仕組みではなく、職場改善施策実行につながる一次予防の資する制度にすべきでしょう。この制度を義務で実施している企業には、やりっぱなしではなく改善の意思を感じた、変化を感じたと従業員に認知される取り組みを実施できればと思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する