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2018年12月26日05:41

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安全な銀行はなくなった

かつてスイスの銀行は、銀行秘密保護法によって、顧問の情報を完全に秘匿できるようになっていました。永世中立国であるスイスは、こうした秘匿性を確約することで、世界中の富裕層のお金を集めることが出来たのでしょう。

スイスの銀行は「もっとも安全な銀行」とされていたが、安全というのは、犯罪者や課税逃れなどの不正行為を行う者にとっても安全だということです。しかし、2009年以降、アメリカはテロとの戦いや、富裕層の租税回避を防止するために、スイスに対して銀行秘密保護法を撤廃し、アメリカ人の口座の情報を提供するよう求めました。

そして、もしも拒否するならば、「アメリカ愛国者法」を適用してアメリカ市場からスイスの金融機関を締め出すと脅したのです。実際、アメリカのIRS(内国蔵入庁)は、スイス金融最大手のUBSに対して、アメリカ富裕層の脱税を幇助した罪で7億8000万ドル(約790億円)の制裁金を科しました。これにスイスは音を上げたのです。

以降、スイス国内の銀行情報がアメリカや世界各国の金融当局に提供されることになったのです。こうしてアメリカはスイスに銀行法を改正させました。2015年6月、FIFA(国際サッカー連盟)の汚職が大きな問題になりましたが、この件に関しても、スイスの銀行当局がアメリカに対して膨大な量の情報を提供したいといわれています。

とくにこうした金融規制については、スイスに関しては非常に大きな意味をもっています。北朝鮮の金正恩がスイスに留学していたことは有名ですが、スイスには欧米の上層階級や新興国を含めた独裁国家の指導者の子弟が通う寄宿学校(ボーディング・スクール)があります。この寄宿学校は、ある意味で、世界の社交界的な役割を果してきました。

当然、その子弟がいるスイスの銀行を通じて資金のやり取りをするというのが、彼らの常套手段であって、独裁国家の一番コアとなる部分であったわけです。現在は、この部分の地獄の釜の蓋が開いてしまったという状況であり、とくに中国や旧ソビエト圏、アフリカなどの独裁国家の資金移動がすべて詳らかになることは、非常に都合が悪いことなのです。

また、フランスもスイスに対して同様の圧力をかけて、フランス人などの情報に関しては、すべて開示するように求めました。こうしてアメリカやフランス当局は、膨大な額のいわゆる脱税行為を見つけることができたのです。そして、スイスリークスの衝撃も冷めやらぬうちに、再び流出したのがパナマ文章なのです。

HSBCについては、2015年6月、本社所在地をロンドンから海外に移すと表明していました。そしてその候補地として、香港が上海を挙げています。つまり、中国へ本社をシフトさせるという意思表示をしていたのです。

しかし、2015年10月に中国の習近平主席がイギリス訪問をした直後、オズボーン財務大臣の思惑とは反対に、「もし本社を移すとなれば香港ではなく、アメリカである」と表明しました。そして2016年2月にはHSBCは本社移転を正式に見送ったのです。ここではアメリカ当局からの強い圧力がかかっていたのではないか、ともいわれています。

なぜならば、アメリカ当局が科したような、膨大な罰金を科せられた場合、HSBCの存続自体が危うくなくなる可能性があるからです。HSBCのアメリカ国内でも営業規模はそれほど大きくありません。

アメリカ国内での取引そのものは、イギリスの金融システムは大きな影響を与えない。だから本来はアメリカに本社を移転する必要はないのです。だが、もしアメリカの圧力によってHSBCがつぶされるような事態になれば、イギリスの金融機能は非常に大きなダメージを受けることになるのです。
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