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2018年12月08日22:36

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「テルマ」映評

「『反改憲』運動通信」というミニコミ誌の第14期No.6(2018.11.30発行)に、依頼されて書いた映評です。「憲法を観る」というコーナーへの寄稿なのですが、それにふさわしい内容であるかどうかは、私には、皆目、わかりませ〜ん。肩書きは「年金では生活出来ない生活者」にしました。本当に、月々の年金では、完璧に生活出来ませんので・・(笑)。

「テルマ」ヨアキム・トリアー監督(2017年、ノルウェー他、116分)

 実は、アメリカ(合州国)とメキシコの国境問題をテーマにした、「ボーダーライン」の続編である「ボーダーライン ソルジャーズ・ディ」を紹介するつもりだったが、その公開日が一一月一六日で、本誌の締め切り日が、ちょうど、その一六日。さすがに、当日観た映画の紹介を、その日に速攻で書いて、送るのは、しんどいので、以前、観た「テルマ」について、書くことにした。東京での上映は、もう終わってしまうけれども、地方での上映は続いているし、いずれ、DVDでも、観ることが出来ると思うので・・。
 以前、アグニェシュカ・スモチンスカ監督の「ゆれる人魚」(2015年、ポーランド、92分)という、ホラー映画を観た。人食い人魚姉妹の哀しい運命を描いた、ホラーだけれども、ミュージカル仕立てという、異色作だ。すでに、DVD化されている。ハリウッド製でも、韓流でも、Jホラーでもない、ヨーロッパの辺境ホラーは面白いと思って、日ごろ、注目していた。
 デンマーク生まれで、ノルウェーで活動する、今や、北欧を代表する映画監督のひとりとなったヨアキム・トリアー監督の最新作「テルマ」は、監督自身は「ロマンティック・スーパーナチュラル・スリラー」と呼ぶ、ホラー映画である。
 オスロの大学に通うため、ノルウェーの田舎町から大都会に出て来たテルマは、信仰心が強く、抑圧的な両親との田舎での暮らしから解放され、同級生の女性、アンニャとの恋に落ちたことをきっかけに、自らの中に封印されてきた、ある恐ろしい力を目覚めさせてしまう。その力とは、自らが強く願うことを、必ず、実現させてしまうという、(超)能力だった。そして、子供時代、その能力を封印してきた両親は、再び、彼女を廃人にしてしまいかねないほどの、強力な精神安定剤の使用によって、テルマの能力を、無理矢理、封じ込めようとするが、両親の意思に従おうとしつつも、彼女の心は、それに抵抗する。そのことが、もたらす、恐ろしい結末とは・・という物語である。
 ヨアキム・トリアー監督は、残虐なシーンは、極力抑えて、むしろ、少女から自立した女性になろうとするテルマの苦悩に焦点をあてた、実にみずみずしくも、残酷な物語を、静かに、紡ぎ出す。「キャリー」を彷彿させるという映評もあったが、むしろ、それとは真逆のストーリィの、秀作である。
 これは、両親や社会の呪縛から逃れて、旅立つ少女の物語である。そして、人は彼女を、「魔女」と呼ぶ。自分を否定し、愚弄した人々を道連れにして、自らも破滅するキャリー。しかし、テルマは、あくまでも、「生」を選択する。息を飲むような北欧の自然も、美しい。(土方美雄/年金では生活出来ない生活者) 



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