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2010年05月05日17:49

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今日は読書。Part0020

 いや、いい陽気だね。まさに五月晴れが続いて外出日和。世間様じゃゴールデンウィークとやらで大渋滞だそうだけど、おいらは、風邪が直ったと思ったら文学趣味がぶり返してきて、あいもかわらず超インドア生活が続いています。とほほ。
 さてと、切番20の今日のお題はフョードル・M・ドストエフスキー、江川卓訳「悪霊」。すいません、またドストエフスキーです。いつか読みたい、いつか読みたいと思ってて読み始めたのが3年前の年末。ところがこの本、実に難解。超難物。一回目読み終わったとき正直思った「で、何だっけ?」。まるで記憶喪失だよ。読み終わったばかりなのに読んだ内容がどうしても思い出せない。場面場面はよく思い出せるのに、各場面場面の前後繋がりがよくわかんないないのだ。長い間読書してるけど、こんなの初めてなんで心底ビックリ。そんで、読みこなせなかったことが悔しくてなってきて、3年がかりで三回読んでそれでも判らなくて、結局、Part0018で紹介したキーワード・ピックアップ読法を使ってあらすじを抽出してした上で読み返し、ようやく読み解いた。まいった。ドストエフスキーのもう一つの代表作「罪と罰」のスリリングな読みやすさとはえらい違いだよ。初読者はぜひ「罪と罰」から読み始めることをお勧めするね。始めにこっちを読んだら以後ドストエフスキー作品をほぼ間違いなく敬して遠ざけるようになるのは請け合いだよ。とほほ
 あらすじ、実に書きにくい作品だけど、書いてみるとこんな感じ。
 (第一部)ロシアのある町にステパン先生という初老の学者先生が住んでいた。先生は昔、首都で大学教授をしていたが左翼運動に関与したために大学を追い出され、町一番お金持ちワルワーラ夫人の息子ニコライの家庭教師兼夫人の相談役として町にやってきた。以後、先生は町で仲間を集めてサロンを作りおしゃべりをしたり、賭け事をしたり、子供たちに勉強を教えたりして過ごして来た。あるとき、そこへニコライが帰ってくる。強靭な肉体と高い教養を持つ凶状持ちの美青年。最初は町の人たちに歓迎されていたがトラブル続出の上、最後は精神錯乱をきたして町を追い出される。町を去ったニコライは旅に出かけスイスで町の資産家ドロズドア親子と再会し親交を結ぶ。それを伝え聞いたワルワーラ夫人は養女のダーリアと共にスイスに旅立ち、ドロズドア親子と共に町に帰ってくる。その直後から、ワルワーラ夫人はステパン先生とダーリアとの縁談を進めだす。ステパン先生はニコライとダーリアの関係を疑う。先生が縁談の返事をする日曜日、ワルワーラ夫人が教会へ行くと狂女マリアが押しかけてきて騒ぎを起こす。見かねた夫人は彼女を家に連れ帰る。そこにニコライとステパン先生の息子ピョートルが帰ってくる。ニコライはマリアを優しく家へ送って行き、ピョートルは結婚を「他人の不始末」と書いた父親の手紙を暴露して縁談をぶち壊す。ステパン先生は家を追い出され、その直後、ワルワーラ夫人の家の小作人の息子シャートフがニコライを殴りつける。
 (第二部)その日から八日間、ニコライは部屋に引きこもり、ピョートルは町の社交界へ入り込み人気者になる。ピョートルはニコライを訪ねる。ニコライはドロズドア夫人の娘リーザに告白すると話し、ピョートルは強盗フェージカの話をする。部屋を出ることにしたニコライは友人キリーロフの家へ行き、以前トラブルを起こしたガガーノフの息子に挑まれた決闘の介添えを頼む。そして、隣の部屋に住むシャートフを訪ね、マリアとの結婚を告白し、「会」が裏切り者としてシャートフを殺そうとしていると警告する。シャートフは無神論について語り、元大主教のチホンに会うよう勧める。次いでニコライはマリアの兄レビャートキン大尉の家に行きマリアに一緒にスイスへ行って暮らさないかと誘うがあっさり断られる。翌日、決闘が行われニコライはガガーノフの銃弾の前に三度立ち、自らは三度森へ向かって発砲する。決闘はニコライの町での評判を回復させる。そのころ、ピョートルは県知事の家に入り浸り、レンプケ知事とトラブルを自ら起こし、同時にユリア夫人の信頼を勝ち取る。ユリア夫人は女性家庭教師のための慈善パーティーを企画しておりワルワーラ夫人の家で行うことになる。その後、ステパン先生はワルワーラ夫人に呼び出され絶縁を宣告され、慈善パーティーの文学の部で講演を行い失敗したら旅に出ると宣言する。慈善パーティーの準備は着々と進んでいくが近くの工場にコレラが発生したり、アジビラが撒かれたり、町は不穏な空気に包まれて行く。そんな中、ピョートルはレンプケ知事にシャートフとテロ組織の関係をほのめかし、ニコライはピョートルにリンチ殺人をそそのかす。その後、ヴィルギンスキーの家で誕生会の名目で密会が行われる。シガリョフが専制賛歌を演説し、ピョートルは五人組について話す。宣告の最中、ニコライは席を立ち、ピョートルはニコライを追いかけイワン皇子(救世主)になって欲しいと頼むがニコライは答えず家に帰る。その翌日、ステパン先生の家に捜査が入る。ステパン先生は知事の家に抗議に行く。レンプケ知事は「海賊は取り締まる」と叫び、リーザがニコライに絡み、ニコライは自分の結婚を公表する。
 (第三部)慈善パーティーが近づくにつれて町ではならず者が幅を利かせるようになる。パーティーは始めから大混雑しならず者が騒ぎ始めるが、なんとか挙行される。しかし、文豪カルマージノフの講演は20分であきられてしまい、次いで登壇したステパン先生は美学について語るが聴衆に罵倒される。ユリア夫人は失敗を嘆き、ピョートルをなじるが、ピョートルは平然と言い訳する。夜になりパーティーの舞踏会が行われるが町の名士はこぞって欠席し柄の悪いのだけが集まる。舞踏会もたけなわになったころ、誰かが「火事だ」と叫ぶ。みんなが窓によって見ると屋敷の対岸の町が火に包まれている。そして大混乱が起こり、みんな我先にと帰宅する。その火事の夜、マリアとレビャートキンが何者かに殺害される。そのころ、逃げたニコライとリーザは別荘で諍いを起こしている、そこにピョートルがやって来てニコライにレビャートキンとマリアの殺害と火事について言い訳をする。それを立ち聞きしたリーザは別荘を飛び出しレビャートキンの家へ向かいそこで何者かに殴られそのまま死亡する。同じころ、ニコライは一人首都へ向かって旅立ち、ピョートルはエルケリ家に五人組を召集する。そこで、ピョートルはシャートフが密告すると話しその殺害とキリーロフの自殺による隠蔽工作について説明する。ピョートルはその足でキリーロフの家へ行く。そこにフェージカを見つけて怒鳴りつけるが、フェージカはピョートルを罵倒した上殴りつけ逃亡する。次の朝、フェージカは強盗仲間に街道筋で殺害される。同じ夜、シャートフの家に元妻のマリィが帰ってくる。ニコライの子供を孕んでおり、家で出産する。シャートフは妻が戻ってきたことに大喜びして子供をすぐ認知する。翌日の夜、エルケリはシャートフを呼び出し、スタボローギン公園に連れて行く。そこで、ピョートルはシャートフを射殺し、その足でピョートルはキリーロフの家へ行き遺書の執筆と自殺を命じる。キリーロフはシャートフ殺しに驚愕し遺書を書いた上でピョートルを殺そうとするが失敗して自殺する。ピョートルはそのまま海外に逃亡する。そのころ、ステパン先生は宣言通り家を出て街道を一人歩いていた。途中、強盗フェージカの事を思い出し不安になって、通りがかった百姓夫婦の馬車に乗せてもらい其の百姓の家へ行く。そこで聖書売りの女に出会い、その女性に身の上話をしする。其の途中、具合が悪くなってきて聖書の「悪霊」の話を読んで欲しいと頼み、それを聞きながら意識を失う。そこにワルワーラ夫人が馬車に乗ってステパン先生を迎えに来る。ステパン先生はワルワーラ夫人に愛を告白し、臨終の聖餐をうけ信仰告白をして亡くなる。そのころ、シャートフの家ではマリィは夫が殺されたことを直感し半狂乱になって雪の中を彷徨し母子共に死亡する。ステパン先生の遺体と共に町に帰ったワルワーラ夫人は寝込んでしまう。そこへダーリアあてのニコライの手紙が届き、「一緒にスイスで暮らそう」と書いてある。ダーリアは夫人に手紙を見せ、二人はニコライの元に旅立とうとするが、其の時、領地の管理人からニコライが別荘に帰ってきて部屋に閉じこもってしまったと連絡が来る。二人が別荘に駆けつけるとニコライはすでに部屋で首を吊って自殺していた。ってお話。

 上記あらすじを呼んでもなかなかテーマは読み取れないと思う。これでも、本筋に関係しないエピソードはバッサリ削ってある。それでも解りづらい。パッと見、感想をのべてみると「笑いの中の冷酷」ってことになるかな。この本、市民運動の中でおこるリンチ殺人を主要なテーマの一つにしているんだけど、テーマがすごくヘビーな割には登場人物がコミカルで話がみょーに明るい。「ステパン先生と愉快な仲間たち」って題名に取り替えてもあんまり違和感ない位。それでいて登場人物の大部分が死ぬか懲役に送られるって凄惨な終わり方をする。テーマ先に聞いてなければびっくりだよ。
 其の上でちょっと解説してみると、じつはこの小説、テーマが重複している複合作品。なんと、テーマが実は三つあり、従ってテーマを表現する登場人物つまり主人公が三人いる。「無意識の扇動者」ステパン先生。「陽気なテロリスト」ピョートル。そして「深刻なる放蕩者(遊び人)」ニコライ(作品中の記名はスタヴォローギン)。の三人。ステパン先生の自由主義的無神論が無意識のうちにピョートルとニコライを生み出し、それが「聖書の悪霊」よろしく人々を破滅へと導いて行く一種の群像劇として書かれている。が、明らかにテーマ詰め込みすぎでバランスを崩してる。おそらくドストエフスキーはステパン先生を主人公に「無神論」についての批判的物語を書こうとしたが書いているうちに関心がピョートルそしてニコライへと移ってしまい読者が読み込むべきテーマと視点がカブってズレズレになってしまったのが難解になってしまった原因に違いない。おいらに金と時間があるならば、三人の主人公をそれぞれ単独の主人公とした三つの中編小説にリライトしてみたいね。映画やドラマのシナリオににも使えるようなるだろうし。テーマはドストエフスキーらしく凄く良いんだから。文芸的に見てみると相対の論理というものが使われている。相対の論理とは物語を創る際に否定的なニュアンスを物語の中に織り込む際に使われる文芸上のテクニックの一つで登場人物(大概の場合主人公)一人に対し一人の「アンチ登場人物(アンチ主人公)」を身近な形で登場させて行動又は会話によって批判的なエピソード構築する方法。「悪霊」の中ではステパン先生とワルワーラ夫人、ニコライとシャートフ、ピョートルとフェージカが是にあたる。しかしいくら文豪ドストエフスキーでも、やっぱり主人公三人にアンチ主人公三人は多すぎ。どこがどこに繋がってるのか読み込むのに苦労したよ。一言で評するなら「偉大なる失敗作」ってとこか。とほほ。


  おまけにみくしー検索かけてみました。


「悪霊」(検索ワードは悪霊 ドストエフスキー)

日記 検索(7件)ひっと。
みんなのレビュー一覧(3件)

悪霊 (上巻)
(和書) 2010年04月03日 15:34
平均 4.45点(107人)

悪霊 (下巻)
(和書) 2010年02月20日 13:08
平均 4.54点(62人)

悪霊 (まんがで読破)
(和書) 2009年11月25日 19:01
平均 4.22点(9人)

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