私は虫が大の苦手である。この世で最も嫌いなものの一つであり、非常に嫌悪している。蟻やダンゴムシですら不快である。
子どもの頃はそうではなかった。苦手だった虫はせいぜい数種類で、蜘蛛、G、ムカデ、毛虫、幼虫、セミ、羽虫系などであった。蟻やダンゴムシは平気で触れたし、カナブンなんて見かけたら投げて飛ばしてたし、蝶々なんて指先に止まってくれないかなと自ら触れてもらいに行っていた。
だが、今の私はそれらの虫ですら無理になってしまった。
一方で唯一マシになった虫がいる。それが蜘蛛だ。私は上述のように虫の中で蜘蛛は無理な部類だった。理由は糸が気持ち悪いからだったと思う。あとサイズ感はちょっとでかい蟻ぐらいだが、蟻よりもすばしっこくてぴょんぴょんハネて腕に乗っかってきたりするし、振り払おうとすると糸を腕にくっつけてくる。そのせいでぶらんぶらんして身体にまた当たって引っ付きそうになる。マジでキメェという感じだった。てか糸もそのままくっついたままになるし汚えんだよ!!!って感じだった。
でも今は結構マシになった。今でも糸は嫌だしハネるのも嫌だが、それ以外は許容できるようになった。
理由は”虫の中では比較的マシ”だからである。大人になって全ての虫が無理になった。そして蜘蛛は益虫である。だから蜘蛛が苦手じゃなくなったというより、他の虫が蜘蛛よりも苦手になったから比較的マシになった。
そして益虫だから他の虫よりマシだと自分に言い聞かせることで、若干克服したのだ。
じゃあそもそもなぜ虫を嫌いになったのか、蜘蛛が比較的マシになったからこそわかったことがある。
一つは衛生的な問題である。虫は汚い。少なくとも私は虫を穢れだと認識している。だから嫌なのだ。汚いから部屋にいてほしくないし、当然触りたくもない。
そしてもう一つは意思疎通が不可能であること。厳密には意思疎通が不可能であることにより不快な事象が起こりかねないということである。
動物だったらむやみやたらに人間に近づいてこないが、虫は普通に近づいてくるし、なんなら身体に登ってくることもある。それが非常に不快なのだ。
この二つは蜘蛛でも同様である。比較的マシな蜘蛛ですらこういうのが無理だというのが、虫嫌いの理由としてはっきりした。
ただ……だからなにという話でもある。汚いって言っても洗えばいいし、体に引っ付いても追い払って洗えばいい。
多分もっと根本的に受け付けない理由がある。そこで気づいたのが、私は”頭部に”虫が引っ付いてほしくないということだった。虫が絶対に首より上に登ってこないのであれば、私はギリ体に引っ付いてくる虫を許容できることに気づいた。まあデリケートゾーンはさすがに嫌だが、足とか腕とか脇腹とか、飽くまで百歩譲ってではあるが、ギリ許容できる気がする。
でも頭部は絶対に嫌だ。じゃあなぜ頭部は嫌なのか。それはやはり穴があるからだろう。鼻の穴、耳の穴、そこに虫が入る可能性がある。つまり実害があるのだ。ネットとかでもよく、寝ている間に虫が耳の中に入ってという話を聞く。それが恐ろしいのだ。それが私が虫を苦手と感じる根源なのだろう。
虫が苦手じゃない人でも蚊は苦手だろう。その理由はきっと実害があるからだ。他の虫は基本的に実害はないが、蚊(メス)は人体に実害がある。
私にとっては他の虫も実害認定されているから苦手なのだろう。
頭部には絶対にひっつかないと約束されていれば、私はおそらくそこまで虫を嫌いになっていなかったような気がする。
ちなみにどうしてこんな話をしたのかというと、現在蜘蛛と同棲中だからである。指の先ぐらいのそこそこ大きめで、全体的に黒い蜘蛛である。最近壁やら天井やらそこら中を歩き回っている。この前なんかは、なんか腕がもぞもぞすると思ったら、いつのまにか腕の上を歩いていてびっくりした。マジで気づかれずにどうやってここまで登ってきたのかわからない。もしかしたら天井から落ちてきたのではとも思っている。怖い。腕だから良かったが、これが頭の上に落ちてきていたらと思うと……。
もっといえばこの前寝ようと思って布団に入ったら何かぴょんって視界の角で黒い物体が動いて、なにかと思ったら蜘蛛だった。マジで危なかったし、まさかいるとは思わなくて全然気づかなかった。マジでそういうのを止めろって言ってんの!!!!
本当は退治したいけど、益虫だし他の虫が出るよりマシだから我慢している。
か、勘違いするな、お前などいつでも始末できるが、利用価値があるから生かしてやっているだけだ。ってやつだ。
多分ハエトリグモだが、何ハエトリグモなのかはわからない。
私がもし一種類の生物と意思疎通できるようになるとしたら蜘蛛を選ぶだろう。他の虫を食ってもらうし、自分に近づかないようにもしてもらう。完璧だろう。
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