脳手術。
頭蓋骨で囲まれて大きく視野がとれない状況で、
脳幹という脳中心部に隣り合った腫瘍の手術をする。
ワシは産婦人科医だが、考えるだけで気が遠くなるほど難しいと思う。
もちろんそれが専門なのが「脳外科」なんだけどさ。
脳幹組織を削ってしまったので患者は目が覚めなくなってしまったのだが、
なんでそんなとこを削ったか、と言えば
「腫瘍が脳幹に隣接していた」からですな。
腫瘍がどんどん大きくなればいずれ脳幹を圧迫して自発呼吸が止まり、
そのうち心臓も動かなくなる。
脳幹に隣接した腫瘍の手術は、脳幹を傷つけるリスクもないことにできない。
いちかばちか、の選択。
白血病専門医をやってる知り合いも
「骨髄移植」の選択を患者さん(とその家族)にしてもらうとき、
説明がとても難しい、と言ってた。
移植前に全身の白血球を殺すために強い抗がん剤をかけ放射線をかける。
当然かなりつらいし苦しい。
白血球がゼロになればどんな感染も命取りになるから
面会も食べ物飲み物も身に着けるものも制限される。
骨髄移植自体は点滴で行うが、移植された骨髄が生着しないこともある。
言わずもがなをあえて言えば、骨髄が生着しないなら患者は死ぬだけ。
「白血病」→「骨髄移植」→「成功して退院」までに
たくさんの落とし穴があってそっちにはまってしまう場合もある。
でも、治療しなければじわじわと白血病が進行して死に至る。
まさに一か八かですな。
この話に近いのが今回の手術だと思う。
他の臓器は腫瘍ができると「通常組織と腫瘍」が肉眼で区別できる場合が大多数。
「正常と腫瘍の境目」がわかりにくいことがあって
何度か周囲を削って腫瘍取り残しがないか病理で確認するけどさ。
残るとそこからまた腫瘍がでかくなるから、削りすぎ?くらいにするはず。
脳組織は「これが正常の脳でこれが腫瘍」と肉眼では区別できない場合がある。
だからこそ病理組織を迅速でやってもらって確認するんだが、
「腫瘍のはじっこ」は上記したように、わかりにくいこともあるだろうね。
今回は「腫瘍と全然別なところを削って」しまって
術後に「腫瘍がそのまま残る」状態だから明らかな手術ミスなんだけどさ。
脳外科ってやっぱり大変だよなぁ、と思う。
■【速報】京大病院で医療事故 脳腫瘍の手術で「正常な組織」を誤って摘出 50代女性患者は自発呼吸できず
(TBS NEWS DIG - 08月07日 17:18)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8899194
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