佐藤優、西村尚芳著『特捜取調室』を読んだ。
本書は、佐藤氏が外務省を追われ、作家に転じるきっかけとなった事件の担当をした検事との対談。
『国家の罠』に出てきた西村検事だね。
『国家の罠』は、すごく面白かった。
俺が持っている文庫を出して、奥付みたら平成19年とある。古い本だけど、今でも本棚に残っている。いずれ読み返したい本だ。
あの本に書かれていた、いうなれば敵方なんだけど、フェアに接してくれる人物との対談とあって、なかなか興味を惹かれた。
西村氏は、今は検事をやめて弁護士として働いているという。
検事であれば、公務員。
定年とかで弁護士に転じたから、こういう本も出せるようになったということだろう。
当時の思い出話から、法曹をとりまく不祥事や事件について、面白く読んだ。
佐藤氏は、『国家の罠』の中で、国策捜査によって逮捕された、と言っていた。
なんとなく冤罪的なニュアンスを感じていたんだけど、本書では少し風向きを変えていた。
自分は国策捜査で逮捕されたとは言ったが、無罪を主張したことはない、と。
ただ、誤解してはいけないのは、決して私腹を肥やしたとか、税金を懐にいれたという話ではない。
外務省が組織として、裏金として持っていたお金を使って、仕事をしていたわけで、それを当たり前としていたことは、自分が社会とか世間からずれていたということなのだと思う、という話だったんじゃないかなぁ。
村木厚子さんの事件の話も出てきて、一般的に聞いている話とは違う視点が出てきてた。
真実はひとつ、とは限らないということかな。
ひとつ、以前ニュースで読んだ記憶のある事件が出てきてさ。
上司の検事が部下の女性検事に暴行して訴えられたという話。
上司は、同意があったものと思っていた、と答えているという。
なおかつこういう事件があったあとで、女性検事が最初に相談したのが、当の上司だったという不思議。
ただそれは、大阪検事局というのかな、せまい組織のなかで、ある意味、無理のないことではあるという話だ。
ちょっと特殊な世界だな、と思うところはあるけど、この上司の検事は大勘違いをしたのだろうな、と腑に落ちた。
いっしょに仕事をしていて、信頼してくれる部下の自分に対するふるまいを、好意、恋愛感情であると勘違いしたのだろう。
俺自身が、圧倒的に女性が多い職場で仕事しているからなぁ。
俺も30代くらいまでは、仕事をしつつやり取りしている中で、信頼を好意と取りたくなることはなくもなかったけどさ。まぁ、なんとかラインは越えなかった。
そこを誤解すると、かえって大切なものを失いそうな気がしたんだよなぁ。
いい歳をして誤解した、件の検事はまぁ気の毒としかいいようがない。
いろんなことを考えさせてくれる本だったね。
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