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2025年12月19日06:40

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初めて遺伝学の真理にたどり着いた

人間は46本の染色体を持っており、遺伝子は各染色体に分かれて存在しています。染色体は、父親から23本、母親から23本引き継ぎ、これらは対になっています。自分の染色体もまた、半分は子に引き継がれるのです。

尚、生物学的な男女の差は、23番目の「性染色体」にあります。男はX染色体とY染色体、女はX染色体が二本の組み合わせです。つまり、父親のXYの一方と、母親のXXの一方を引き継いで、子は「XY」か「XX」のどちらかの組み合わせになります。

このシンプルな理屈によって、男が生まれる確率と女が生まれる確率は等しくなるのです。ちなみに、染色体が一本余分にある、つまり全部で47本になる病気がいくつかあります。これを「トリソミー」と呼びます。もっとも多いのは21番染色体が1本多い病気で、二トリソミー(ダウン症候群)と呼ばれています。

他に多いのは、一三トリソミー(パトウ症候群)と、一八トリソミー(エドワーズ症候群)です。一方の親の染色体がちょうど半分に分離せず、子に24本引き継がれると、こうした先天性の病気が起こります。トリソミー以外にも、「染色体の異常」は23種のどれにも起こりますが、すべてが病気を起こすのではありません。

ほとんどが死産か流産になって出生できないため、「病気」とは定義されないのです。実際、すべての妊娠の70〜80パーセントは、主に染色体異常によって気づかれないうちに流産として終わるともいわれています。子供が生まれてくること自体が奇跡的なのです。

親子の目や鼻の形が似ていたり、体格が似ていたりすることは、古代から当たり前のように知られていました。だが、かつては父と母の持つ特徴が混ざり合って子の特徴を形作ると考えられていました。つまり、青と赤の絵の具を混ぜれば紫になるように、均等に混合された新たな特徴が生まれる、というイメージで捉えられていたのです。

1866年、オーストリアの修道士グレゴール・メンデルは、修道院の庭で育てた3万本近くものエンドウマメを掛け合わせ、世界で初めて遺伝学の真理にたどり着いたのです。種の形状、花の色、背の高さなど、両親のそれぞれが持つ特徴は、子に継承されるときに混ざり合って中間的な特徴に変化するのではないというのです。

何らかの「粒子」のような、明確な単位を持って親から子に継承され、単位そのものは変化しないのです。この「粒子」の組み合わせによってエンドウマメの特徴は決まり、その継承には数学的な法則性があります。のちに「メンデルの法則」と呼ばれる、極めて重要な発見でした。

だが、当時この学説は全く理解されず、むしろ軽蔑されました。1884年、その功績を認められないままメンデルはこの世を去ったのです。メンデルが存在を信じて疑わなかった「粒子」的な概念は、のちに「遺伝子」と呼ばれることになります。

1900年、三人の植物学者、オランダのユーゴー・ド・フリース、ドイツのカール・エーリヒ・コレンス、オーストリアのエーリヒ・フォン・チェルマクが、遺伝にかかわる重要な法則性を独立に発表しました。

だが、その法則とはまさに、約半世紀も前にすでにメンデルによって発見され、報告されていたものでした。歴史に埋もれていたメンデルの法則は、このとき「再発見」されたのです。では、「遺伝子」は実態としてどのように体内に存在しているのか。

その答えは、1915年までに明らかになりました。 染色体が発見され、それが遺伝情報を運ぶ物質であることが明らかになったのです。ショウジョウバエを使ってこのことを証明したトマス・ハント・モーガンは、1933年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。染色体がタンパク質とDNAでできているという事実は、1920年代に証明されました。

だが、当時はまだDNAの構造は全くわかっていなかったのです。1953年、ケンブリッジ大学の科学者ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックは、物理学者モーリス・ウィルキンスや化学者ロザリンド・フランクリンが撮影したX線写真を参照し、DNAが二重らせん構造であることを突き止めました。

1961年、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループが、フェニルアラニンを指定するコドンが「UUU」であることを初めて発見しました。これを皮切りに、各コドンとアミノ酸の関係がすべて解明されました。

このとき人類は、生命体に組み込まれた暗号を解読した初めての存在になったのです。1962年、ワトソン、クリック、ウィルキンスはDNAの構造を解析した功績によりノーベル医学生理学賞を受賞しました。

1968年、遺伝暗号とタンパク質合成のしくみを解読した功績により、マーシャル・ニーレンバーグ、ロバート・ホリー、ハー・ゴビンド・コラナはノーベル医学生理学賞を受賞しました。ここまでの一連の発見は、二十世紀以降のたった数十年間でなされたものだったのです。

「子は親に似る」という事実は、物理的・化学的に説明可能な現象でした。そのプロセスに、超自然的な作用は何一つとして介在しないのです。ただ美しく、整然たるサイエンスが存在するだけなのでした。

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