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2025年12月18日08:05

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若い人は何が原因で亡くなるのか

不謹慎な表現ですが、医療の進歩によって人体が長持ちするようになったおかげで、相対的にガンで死亡する割合が増えたのです。昔はなぜガンで死ぬ人が少なかったのか?という質問の答えは、がんになる前に他の病気で死んでいたからです。

また、癌による死亡率が年々増えることに対し、がん治療は全く進歩していないといった指摘が見られますが、これは誤りでしょう。高齢化によって高齢者の割合が増えれば、必然的にがんで死ぬ人の数は増えます。大学生一万人と、高齢者施設の入所者一万人の間でがん死亡者の割合を比較すると、後者のほうが大きくなるのは当たり前でしょう。

よって、がん治療が進歩したかどうかを知りたければ、年齢構成が等しくなるように調整して比較しなければならないのです。この際に用いるのが「年齢調整死亡率」です。年齢調整死亡率の推移を見れば、癌による死亡率は年々減少していることが容易にわかります。

実際、がん治療は近年驚くほど進歩しました。新たな抗がん剤が次々に生まれ、手術の質が向上し、放射線治療や免疫療法など、使える武器がますます増えてきたからです。さて、がんを除いて、常に死因の上位を占めているのが心疾患と脳血管疾患(脳卒中)です。

これらで亡くなる人の大部分は、生活習慣病が背景にあります。生活習慣病とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い病気)など、生活習慣と関連して発症する病気のことを指します。かつて生活習慣病は、「成人病」と呼ばれていました。歳をとればやむを得ず現れる、防ぎようのない変化だと考えられていたためです。

しかし、食習慣や運動習慣の改善、肥満の解消、禁煙などによる病気の予防を重視する観点から、1996年頃に「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。生活習慣病に共通するのは、自覚症状がなく、気づかないうちにゆっくりと体を蝕んでいくという性質です。高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などは動脈硬化を加速させます。

これが心臓や脳の血管にダメージを与え、心筋梗塞や脳卒中といった致命的な病気を引き起こすのです。もちろん、これら以外にも、肝臓や腎臓、肺など、生活習慣病によって蝕まれる臓器は多くあります。長年のダメージが体に蓄積し、数年、数十年という経過の中で重い病気を発症するのです。

ただし、生活習慣病の原因は、生活習慣だけにあるのではありません。遺伝的な要因や環境要因なども、生活習慣病の発症に大きくかかわる因子だからです。病気になったのは自己責任といった偏見はよくあるのですが、病気の原因はそれほどシンプルなものではありません。なお、生活習慣病という概念にはがんも含むのが一般的です。

特に喫煙は、様々なガンを引き起こす生活習慣です。がんになった人のうち男性で30パーセント、女性で5パーセントは喫煙が原因とされ、喫煙者は非喫煙者より寿命が10年短く、一本タバコを吸うたび寿命が11分短くなるといわれています。

どれほど健康な人でも、歳をとれば必ず死にます。人が死ぬ大きな原因に加齢があることを忘れてはならないでしょう。現在、死因の上位には老衰と肺炎が含まれており、これらは年々増加していますが、いずれも加齢が主な原因でしょう。

老衰はもちろん加齢そのものですが、肺炎についても、医療水準の高い国では主に高齢者の命を奪う病気です。このことは、年齢別の肺炎死亡率を見るとよくわかります。肺炎による死亡は大半が70歳代以降に起こります。

一方で、若い人は高齢者に比べ肺炎による死亡率が圧倒的に低いです。年齢とともに呼吸器の機能が落ちて肺炎になりやすくなる上、肺炎にかかった後も、抵抗力の低さゆえに致命的になりやすいのです。

また、食べたものが気道に入って起こる肺炎を誤嚥性肺炎という。「誤嚥」とは、「誤って嚥下すること」、つまり、本来食道に入らなければならない食べものが気管側に入ってしまうことです。若い人であれば「咳嗽反射」というしくみによってこれを追い出すことができます。いわゆる、「むせ」です。

一方、高齢になるとこの機能が衰えるため、そのまま肺炎を起こしやすいのです。こうした誤嚥が原因である肺炎と、そうでない肺炎を厳密に区別するのが難しいことも多いです。その点でも、高齢者の肺炎は「高齢であること」そのものが原因と考えられるケースが多く、その場合は老衰と医学的には区別しにくいといいます。

以上のことを表現するなら「今の日本人の多くは、癌か生活習慣病か加齢で亡くなる」といえます。今後も、この傾向は大きくは変わらないといいます。なお、人が死亡する確率は年齢が上がるほど高くなるため、死因の上位を見るだけでは、必然的に「中高年層は何が原因で亡くなるか」しか見えてこないのです。この点には注意が必要でしょう。

では、若い人は何が原因で亡くなるのだろうか?10歳代〜30歳代の死因一覧を見ると、国民全体の順位には反映されない、全く違った死因が並んでいることに気づきます。15歳から39歳までの死因第一位は自殺です。

また、活動性の高いこの年代では、「不慮の事故」が上位に入るのも特徴的です。そしてこれらの死は、社会的な対策で防がねばならないといえます。このように、「人は何が原因で死を迎えるのか」という命題に答えるには、年代ごとに異なる特徴を理解した上で議論する必要があるのです。

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