何度も転倒するキヌコさんに歩行器を勧めて、最初はいらないいらない言うてたけれど、お試ししてもらったらとても歩きやすい歩行器に出会って。
それからキヌコさんは歩行器を使うようになりました。
キヌコさんの歩行器には赤いリボンがついていて「ゆりちゃん号」という名前までついています。
デイサービスで一緒のマツコさんの歩行器がとても使い勝手がよくって、同じタイプにしてもらったので、同じ歩行器がデイサービスの日は並びます。リボンがついてる方がキヌコさんの方です。
今日、ふっと思った。
ゆりちゃんって、数年前に亡くなったムスメさんの名前なんじゃないかなと。
ずっと入院されていて、わたしは会ったことなかったけれど。
「歩行器に名前をつける」なんてやりそうもないキヌコさんが名前をつけたのがとても不思議で。そういうことなのかな?って。ふっと思ったんです。
ほら「ミシンと金魚」って本で、介護士のことを「みっちゃん」って呼ぶおばさんがいて、実は幼少の頃に亡くなった自分のムスメが「みっちゃん」だったってのあるじゃないですか。
ふっとそれと重ねてしまったのです。
よく見るとキヌコさんは、ベビーカーでも押すように丁寧に歩行器を押している。ブレーキだってきちんとかける。
ゆりちゃんが歩行器にの中にいるのかなあ。
なんてことを思いながら、自宅でキヌコさんの歩行器移動を見ていたら、カーブを曲がれず転倒してしまって。
めずらしくわたしの介助で起き上がっていただきました。
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