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2025年10月10日07:49

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クルマ0501 超人的働き(1931年ル・マン)

戦前のレース記を読んでいるとEarl Howe(ハウ伯爵)という人物が度々登場します。Lord Howe(ハウ卿)と表記されている場合もあります。

https://share.google/ujGiNocB0HnqVwDGI

本名をFrancis Richard Henry Penn Curzon(フランシス・リチャード・ヘンリー・ペン・カーゾン)というイギリス貴族の彼の数多のサーキット伝の中で、1931年のル・マン24時間耐久レースのことは語り草になっています。

その年の6月13〜14日に開催された 第9回大会で、ハウ伯爵はHenry Birkin(ヘンリー・バーキン)と組んでゼッケン16を付けたアルファロメオ8Cを駆り、3017.654kmを走破して優勝しました。

https://images.app.goo.gl/BQsC39tNz4bbVkpU6

https://images.app.goo.gl/RRcyfrCyze15mBd27

下写真は優勝直後のふたりの姿です。右の白い革ヘルメットを被っているのがハウ伯爵、ゴーグルを頭に載せている左の人物がバーキンです。

https://images.app.goo.gl/GarusKTjyPyMWqbj7

スーパーチャージャー付き2336ccDOHCエンジンを搭載するアルファロメオが、これまたスーパーチャージャーで武装した7069ccOHCエンジン(3倍以上の排気量)のメルセデス・ベンツSSK(本稿0044)に勝ったのはハウ伯爵の素晴らしいドライビングの賜物ですが、陰でスタート前日の徹夜でのエンジン・リビルドがあったのです。アルファロメオの滅法複雑なあのエンジンを。メカニックの超人的働きには感服です(走ることなく棄権すると思われていました)。

スーパーチャージャー付きレーシング・エンジンは、できるだけパワーを出すために引火性が極めて高いベンゾール(ベンジン)がガソリンに混ぜられるのですが、長距離耐久レースでその混入比率が50%を超えることはあまりありません。
しかし点火トラブルに見舞われた伯爵のアルファロメオは、本番前日6月12日の練習中に点火改善のためにベンゾール100%でのテスト走行を敢行しました。

この試みは状況的に間違っていなかったのでしょう。しかし恐ろしいほどのパワーと高回転だったと思われます。エンジンが壊れました。
フル・リビルドが必要ですが、レースは翌6月13日の午後4時スタートです。この、極めて特殊で複雑なスーパーチャージャー付きエンジン・リビルド、限られた設備と工具と部品しかないピットでの作業で間に合うのでしょうか?

https://images.app.goo.gl/XpeyF4NSQ1MvbuJ2A

「極めて特殊で複雑」というのは、直列8気筒DOHC というエンジン構造に起因します。クランクシャフトはすこぶる長くなり捻れが生じます。
だから前後に2分割(4気筒分ずつ)し、その連結部分、即ちエンジン中央から出力が取り出されているのです。

天才エンジニアVittorio Jano(ヴィットリオ・ヤーノ)が手掛けたこんなエンジンのオーバーホール、想像しただけで卒倒しそうです(笑)。

結果的にエンジン・リビルドはレース当日の午前中に完了しました(速!)。その後、調整とテストをやり遂げてレースに臨みました。
そしてメルセデス・ベンツに7周の差を付けて過去最速(平均速度125.735km/h)で優勝したのです(ル・マン初のイタリア車の優勝でした)。

https://images.app.goo.gl/5sK4K

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