人間がさまざまな動物に変異してしまう奇病が発生した近未来を舞台に家族の絆を描き、本国フランスで観客動員100万人を超えるスマッシュヒットを記録したSFスリラー。
近未来。原因不明の突然変異により、人間の身体が徐々に動物と化していく奇病が蔓延していた。さまざまな種類の“新生物”は凶暴性を持つため施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。ある日、新生物たちの移送中に事故が起こり、彼らが野に放たれてしまう。フランソワと16歳の息子エミールは行方不明となったラナを捜すが、次第にエミールの身体に変化が起こり始める。
「彼は秘密の女ともだち」のロマン・デュリスがフランソワ、「Winter boy」のポール・キルシェが息子エミールを演じ、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロスが共演。2014年のデビュー作「Les Combattants」で高く評価されたトマ・カイエが監督・脚本を手がけた。(映画.comより)」
<2024年12月22日 劇場鑑賞>
<ネタバレあり>
「✕-men」みたいだな、と思いました。人間は異質な生き物を受け入れません。また、それに特殊な能力があったり、自らより優秀かもしれない、あるいは少し狂暴に見える、などとなると、根拠なく恐怖心を抱き、滅ぼそうとします。まさに「✕-men」「猿の惑星」の世界です。この映画もそんな印象を受けました。
なんらかの突然変異で、人が徐々に動物に変異してゆくようになりました。全員がそうなるのではありません。が、誰がどのような理由でそうなってしまうのかは、まだわかっていません。なので、常に自分にもその可能性はあるわけです。家族にもね。この映画の主人公、ロマン・デュリスは、妻がその奇病にかかり隔離されています。でも、まだ病院のような施設に入院しているだけなので、面会に行くこともできます。しかし、身体が徐々に動物化することにより、話す能力やこちらのことを理解する能力は、後退しているように見えます。
街では、みんな奇病がはやっていることは知っているのに、何事もなかったような顔をして日常生活を送っています。パニックになっている様子もありません。「罹患すれば隔離すればいいし」くらいに思っているのでしょうか。
森に少し入ったようなところに、新しい隔離施設ができました。より進行した症状の人を入れる施設のようです。ある日、そこに入れるために患者たち(?)を移送していた車が事故に遭い、横転してしまいました。ほとんど”獣”となってしまっていた患者たちは、野に放たれることになりました。ロマン・デュリスの妻もその一人です。彼は息子と一緒に妻を探し回ります。
ところで、ロマン・デュリスの息子も、徐々に体が変わってきていました。母もそうだったし、自分でも「そうかも」と思っていますが、なかなか父にも打ち明けられないし、友人にも隠しています。そんな彼は、森で母親を探している最中、友人かもしれない”鳥”と出会います。果たして、完全に”鳥”となってしまっていた友人でも、意思疎通することはできました。うまく飛べない彼を助けることもありました。どうやら森の中に、彼らのコミュニティが存在するようです。そう思うと、これから必ず変態してゆく自分にも、生きる希望があるかもしれません。そんなことも考えていたのではないでしょうか。
妻のために、施設の近くの職場に転職までしてきたロマン・デュリスは、しかし、最終的には熊?みたいな妻と会えても何も言えなかった。でも、熊は彼をきちんと認識していただろうことはうかがえました。そして、自分と違う動物になっていても、息子のことはちゃんと認識できただろうことも。
最終的には、ロマンは息子を逃がすしかありませんでした。そうですよね。映画はそこで終わります。が、この先、人間界はどうなって行くのでしょうね。奇病はなくならない。そして一度かかると人間には戻らない。とすると、このままいくと、やがて人類は死滅?それとも、ワクチンなんかが発明される?そうなると、映画の話が変わってきてしまいますね。個人的には、お互いに危害を加えることなく共存できる道はあると思いたい。この辺は、映画を作るにあたっての普遍的なテーマなのかもしれません。
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