mixiユーザー(id:8729247)

2024年12月28日16:54

434 view

学会所属は一種の「品質保証」

学会に所属することの意味のひとつは「ルールの徹底」だと思う。
ワシは不妊症専門でやってた経歴があって今も日本不妊症学会には所属してる。
学会そのものには参加しなくなったが(開催場所が遠いから)
学会雑誌は送られてくるし、読む。
もちろん今の診療には役立たないけど「最新の手技」はわかるので、
ウチの患者で不妊に悩む人にアドバイスくらいはできる。

で、今はそうじゃないと思うんだけどさ。
ワシが大学の不妊グループにいたときは、学会に所属しないで
不妊治療をやってる医者とか施設とか、けっこうあったのね。
そういう医者や施設でも参加費払えば学会会場で発表できる。
当然マスコミの取材も来ているから「ウチはこんなに妊娠率が高い」とか
「ウチの治療は他ではやってない」とか宣伝できるわけ。
今はずいぶん保険のきく治療が増えたけど、当時は自費が多くてね。
金儲けのためにはなんでもやるという、今でいう美容整形みたいなやつらが
いたもんだよ。

とある学会で、某施設の医者が発表したのは
「卵巣機能に問題があってなかなか排卵しない」患者に対して
大量にホルモン剤をぶち込んで無理に排卵させ、
体外受精で受精卵をたくさんつくって、というやつ。
まあここまでなら今もやるかもしれない。
今は受精卵冷凍技術がものすごく高いので、冷凍卵での妊娠率が上がっている。
当時も冷凍はやってたがやはり「受精したて」の卵のほうが着床率が高かった。
そこで、その施設では受精卵を一度に4から5個も子宮に送り込んでいた。
当然、妊娠率は高い。

運不運もあるけど多胎になる可能性が高く、多胎は母体への負担がかなりでかい。
多胎にしておいてあとで胎児にカリウム注射して子宮内で死なせる、みたいな
「何それ??」としか言いようのない医療行為も行われた時代。

当時のボスがかみついて「今の主流は単一受精卵移植ですよね」と言った。
発表の若い医者は「でも患者の強い希望でごにょごにょ」と返事したので
「あんたは患者が希望したからって命の危険のある治療をするのですか?」
とウチのボスが言った。会場の医者はほぼ全員が「うんうん」とうなづいていた。
つまりその医者は「主流」がなんだか知らなかったし、
その施設のトップはこの発表内容を恥ずかしいとも思わなかった、ってこと。

学会は確かに一種の利権団体だが、全体に知っておいてほしい知識とか
守ってほしいルール(当時だと「法律的に結婚した夫婦以外には治療しない」とか
「患者が連れてきた人間の精子提供は受けない」とかあった)
(今は「事実婚カップル」には不妊治療をする、という流れが強い)
を徹底する役割がある。
多数の受精卵を一度に移植して母体の生命を危険にさらすのはダメ、ってのも
当時の学会ではほぼ当たり前のルールであった。
この施設ではそれが守られていない、しかも自分のやってることを
誇らしげに会場で発表してる、他の施設では数年前からやってないのに。
学会に所属しないってのはそういうことだ。

そういうわけで、この記事によると
グアムでの解剖を話題にした某美容整形女医は、学会員ではないそうだ。
学会員でないから腕が悪いとは言わない。
それを言うならブラックジャックなんか学会どころか医師免許もないぞ(違う話)。
でも、学会に所属するってのは確かに「わたしは大きな団体の一員です」
「学会全体のルールを守ります」という意思表明で品質保証みたいなもん。
自費診療だから医学の基本なんかどうでもいい、好きなようにやる、っていう
考え方をもししてるなら、少し考えなおしてほしい気がする。

追記;
小さい学会もいくつかあるが、大きい団体はふたつ。
「日本美容外科学会」と「日本美容医療学会」。
このふたつのどちらか片方だけでも所属してる美容外科医は
全美容外科の50%程度だそうだ。

美容整形を扱う病院では「学会所属施設」であることを院内に表示している。
学会員である表示、専門医や指導医の資格があるという表示、
そういう表示がある病院なら安心ですよ、とホームページで書いていることもある。


日本美容外科学会、献体写真公開騒動をめぐり声明発表「倫理観著しく欠き、断じて容認できない」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8149978
14 9

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年12月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

最近の日記

もっと見る