ワシら医者は「死んだ人間」を見慣れている。
まず、学生時代の解剖実習で山のように見る。
見るだけじゃなく触って切って分解して頭つっこんで観察する。
ウチの大学は約6か月間の実習であったが、平日だけではやりきれず
(見るべき課題が多いからね)授業のない土日も解剖室に行ったし、
長期の休み(連休とか)もほぼ毎日通った。
たいてい数人の仲間がいるんだけど、たまーにワシが一番乗りのときは
解剖助手のおっさんに頼んで鍵をあけてもらい、電気をつける。
120人学生で4人に1体なので平たく計算して30体のご遺体が、
ステンレスの解剖台にのっかってるわけだ。
実習中以外は乾燥を防ぐために布でぐるぐる巻きにしてあるけど、
自分ひとりとご遺体30で大きな部屋にいるってのは、なかなか独特の感覚だ。
で、医者になったとする。
科によって病名は違うけど、どこの科も病気が悪化して亡くなる患者さんがいる。
どんな病気もなおせるわけじゃないから、これは仕方ないことだ。
死んでいくしかないコースに入った患者さんの相手をどうするか、
たとえば毎日の回診で何の話をするか、テキストがあるわけではない。
自分で考える、けっこう大変。
そしてついにご臨終を迎えると、家族にもお話をするし、死亡確認して
死亡診断書を書き、霊安室まで見送って、霊柩車が出ていくまでおじぎをする。
場合によっては「医学の発展のため」に病理解剖に同意していただき、
霊安室に近い病理解剖室で病理の先生と解剖をする。
つい昨日まで元気でおしゃべりした患者さんの腹の中が
がん転移の塊と腹水でいっぱいになり、肺もつぶれかけていたりすると、
「にこにこしてたけどどれだけ苦しかったか」とつらい気持ちになる。
自分が十分にこの人を思いやれたかどうか考え込む。
これを年に3人はやりますよね、大きい病院勤務だと。
ワシは勤務15年なので50人近く見送ってる計算ですね。
産婦人科なので胎児死亡だの生まれてすぐの新生児死亡もあるしね。
それだけ見送れば度胸と根性と覚悟ができますよ。
こういうふうにやりたい、こういうことは言ったりやったりしてはいけない。
ひとり見送るたびに積み重なりますよ。
そして美容整形。
美容整形で扱うのはいわゆる「疾患」じゃないから
通院してる間に状態が悪化して死ぬ、ことがない。
そのぶん気楽だろうな、とは思うけど、
ワシら一般保険医みたいに、「お亡くなりになった方」への態度だの気持ちだの
積み重ねはないと思われる。
経験がないなら仕方ないね、とは言えない。
経験がないならより一層慎重に行動しないとダメじゃないかと思う。
経験のある人間が「こういうのはダメだからね」と教えないとな、と思う。
私立だろうがなんだろうが、医学部出て医師免許とったなら
ある程度の知能と思考能力があるはず。
もうちょっと自分で考えることができなかったんだろうか?
この院長も、部下にそういうことを言ったりしなかったんだろうか?
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https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8149352
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