55分の小作品なんで、朝にさくっと見てそのあとでクリーニング出してそれから、
とか考えてたら
全部吹っ飛びました
震災映画なのは知ってたし、タクシーが浜辺の街でひとりの女性客を乗せて、
という話らしいので「幽霊話」であろうことも見当がついてた。
こちとら被災地ど真ん中在住でそんな話はいっくらでも聞いておりやすぜ。
さあどう来るんだ?みたいな感じで臨んだわけですが。
まさか登場人物で生きてるのは一人だけとはね。
まあ、そういうこともあるさ。
がんばれがんばれ、って何をどうがんばればいいのかわからない。
そう言われるのに疲れてしまった、もうがんばれない。
忘れたくて、特別な日にしたくなくて、海外旅行したりしたけど
忘れることができない。
そういうのも、聞いたし、わかるわ。
生きてる娘にお父さんが言う。
「そんなにつらいなら、お父さんといっしょに来るか?」
娘はにっこりしてうなづく。
「マッチ売りの少女」あたりにこういうシーン、あったな。
でもこの話は童話じゃないから、娘はやっぱりひとりで残される。
あの日のままに残ってる海岸のコンクリートの階段を上ると、
夜明けで、海がまぶしい。穏やかに波が打ち寄せる。
こんなにいい場所なのに、好きな場所なのに、ねぇ。
ポケットには、お父さんが握ってくれたおにぎりの、アルミ箔。
がんばれがんばれ。それしか言えないのは困ったもんだが。
もう一歩、前に進め。もう1日生きろ。
別れる前に渡せなかった交通安全のお守りをバックミラーに大事に下げて、
お父さんのタクシーは今日もきっと浜辺の道を走ってる。
いつかきっとまた会える。
そのとき、いっぱい話をするために、今日を大事にしよう。
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