「知の爆発」では、ほぼ同時期に、ソクラテスが生まれ、釈迦が生まれ、孔子が生まれ、およそ人間が考えることのできるほとんどすべてのものがこの時代に生まれました。カール・ヤスパースという哲学者は、この時代を「枢軸の時代」として、知の爆発を「奇跡」 と呼びました。しかし、奇跡でも何でもありません。生活に余裕が生まれたからです。
紀元前500年前後は、鉄器が波及した時代です。同じ時代に地球が暖かくなります。鉄があって、鍬やスコップをつくれて、暖かい。がんがん農地を開墾すれば米や麦がたくさん収穫できて、豊かになります。
人類史上初めての高度成長が始まり、生活に余裕が出てきたので、「勉強したいやつには勉強させておこう。ご飯ぐらい食べさせてやる」となるわけです。知の爆発は必然でした。ギリシャでは「イオニアの自然哲学者」という人々が現れて、「万物の根源は何か」を考え始めます。
タレスは「水」と考え、ピュタゴラスは「数」、ヘラクレイトスは「火」と考えました。自然哲学者の興味は「外界」に向いていました。ところが、ソクラテスという人物が現れて、「自分は何者か」という問いを投げかけます。
ソクラテスは、人間の「内面」に、興味を向けたのです。これがソクラテスによる「転回」です。自然科学から始まった哲学は、自分の内面を問うことで、人文科学を生み出した。そういっていいと思います。
その後、プラトンという大天才が現れて、アテネ郊外にアカデメイアという学校をつくります。その弟子のアリストテレスは、リュケイオンという学校をつくりました。プラトンとアリストテレスの2人で、西洋の学問の根底にある論理的な思考方法はほぼ完成されたといわれています。
ホワイトヘッドという哲学者は、「西洋の哲学的伝統についての最も穏当な一般的特徴づけは、それがプラトンへの一連の脚注からなっている、というものである」という言葉を残しています。
現代では、プラトンやアリストテレスが活躍した時代にはすでに、ペルシャ文化とギリシャ文化が交流・融合するヘレニズムが始まっていたと考えられています。アテネはパルテノン神殿で有名です。また、ギリシャ悲劇は人々の心の奥に潜む葛藤を見せつけました。
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