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2024年07月27日15:42

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あんのこと

「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。

売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。
「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。(映画.comより)





<2024年6月9日 劇場鑑賞>

 悲しいお話です。実際に会った話を元にしているらしいのですが、「誰も知らない」に匹敵するほどやりきれませんでした。子供は親を選べません。どんなにひどい母親でも(父親はこの映画には出て来ない)親はその人しかいないのです。子供には、一人で自活するすべもお金もないし、どんなにつらくてもそこにいることしかできません。

 この映画の主人公あんは、乱暴で暴力的な母親に育てられたため、小学校もろくに行ってません。しかも、母は体を売るにしても、ホテルに行く金がなくて狭いアパートの部屋に男を連れ込むしかないようなレベルの男を相手にする商売をしていて、そんな姿を見て育ちました。もちろん早くからクスリもやってます。今回は、ホテルの部屋で男に体を売っている最中に、男がクスリのやりすぎで意識を失い、その男が捕まったのを機に芋づる式に逮捕されたのでした。警察での事情聴取で、あまりに怠惰なその姿を見かねた刑事(佐藤二朗)が助けの手を差し伸べます。

 最初は逃げようとしていたあんですが、その刑事多々羅の真摯な態度に、だんだんと態度を軟化させます。そしてもう一人、多々羅を取材するためにいつも一緒にいるジャーナリスト桐野がいます。彼も優しい普通の人で、いろいろとあんのこと、助けてくれます。彼らの知り合いも協力的で、いろいろな人の助けを得て自立しかけたあん。でも、ことはそう簡単には覆りません。人生は、そう単純な造りではないのです。

 最後は最悪な結果となります。なぜ彼女がここまで追い詰められなければならなかったのか。もちろん、原因はちょうど起きたコロナのせいだけではありません。それは確かに大きな要因でしたが、もっと根本的な問題があったのだと思います。





<ここからネタバレ>

 彼女は一時シェルターに住んでいました。いろんな境遇の女性たちが住んでいるシェルター。想像できないことが起きるのはある程度仕方がないのかもしれませんが、あんは突然2歳?くらいの子の世話を一方的に押し付けられ、母親に逃げられてしまいます。確かに、母親はお金を少し置いて行きました。でも、子育て経験も出産経験もない、全くの他人にこんなことするなんて想像できないし、それだけでもだいぶ驚いたのに、さらに驚いたのは、あんがビビりはしたものの、すんなり育児に溶け込んだことでした。子供の食物アレルギーを把握、おもちゃ買って、バギー買ってね。これはウソだと思いました。昔からこんな描き方、「女性は母性本能があって当たり前」と信じている男性監督の所作、と言われてきたのに(ダルデンヌ兄弟の「ある子供」とか)、いまだにこんな描き方をされるなんて。あるいは、今の子はみんなこんな感じなのかな。小さい頃から”ポリティカル・コレクトネス”を叩き込まれてる、とかで。よくわからないけれど、私個人的には「そんなことないんじゃないかな」と思いました。

<ネタバレ終わり>



 佐藤二朗さんのラスト近くのセリフで「ヤクをやめられない奴は死なないんだよ。またやりたいと思うから。やめれた奴ほど死ぬんだよ」というものがありました。なるほど、と思って心底怖かったです。

 世界中の子供たちが幸せになれる世を願ってやみません。
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