症状が軽いうちは診断できないことは、研修医でなくてもナンボもある。
新型コロナ感染症だって、はじめの受診じゃ検査陰性で、
3日後くらいにひどくなってまた行ったら陽性って言う話は何度も聞いた。
別に1回目の検査がミスなんじゃない。
病気が軽いうちは診断つかない、難しいっていうだけのこと。
この高校生も最初に午前4時に救急外来行ったときは
「診断がつかない、難しい状態」だったと考えても不思議はない。
胃が拡張してるだけじゃイレウスかどうかわかんないよ。
でもね、この記事にないんだけど、
やっぱり具合悪くて昼前にもう一度受診してるんだよね。
大きい病院だから予約なし急患だと昼間でも救急外来でみる、まではいいとして、
ワシら医者の原則で「同じような症状」で受診しても
短期間に2度来たら2回目は慎重に、っていうのがあるんだよね。
たとえば1回目はCTでみて異常ナシなら、2回目は腹部単純レントゲンとって、
一応上級医もしくは指導医といっしょに朝のCTも見直すとかさ。
‥ちなみにそのときも「重症じゃないから開業医に行け」って言われて、
翌日開業医受診したらそこの先生が真っ青になって紹介状書いたらしい。
つまりすでにかなりやばい状態になってたってことだね。
ここで一応書いておくと、今、大きい病院は紹介状がないと受診できない。
救急外来に行ってもすぐ入院必要なくらい重症じゃないと、
昼間の外来は受診できない。
いったん開業医に行って紹介状もらえってのはだから間違った指示じゃないんだけどね。
開業医の先生は腹部単純レントゲンをとったんじゃないかな。
イレウスは、実はCTでは診断しにくい。レントゲンだとわかりやすい。
今の若いもんは(年寄りふう)(笑)すぐにCTに頼るけどね。
「上腸間膜症候群」なんてそうめったにある病気じゃないけど、
イレウスなら診断も治療もできるし、
入院させてイレウス治療してる間に「イレウス原因を詳しく検査」もできたと思う。
ワシが研修医のときは、自分がへぼなことやって
患者に迷惑かかったら困る(自分に責任問われたら困る)っていつも思って
呼べる限り上の医者を呼び、聞ける限り聞いたもんだ。
自分ひとりで外来出てエラそうにするより、勉強になる。
まあとにかく、
2回目受診のとき「一応上級医を」ってやらなかったのはまずかったね。
やっとけば「研修医のせい」にならなかったのにね。
医者人生の一番はじめにミソがつくとは気の毒な。
‥でも、もしかしたらそもそもそういう「医者に向かない」研修医
だった可能性もあるんだな。
プライドばかりでかくて上級医(自分が1年目だと3年目くらい)を
バカにしてるやつはときどきいる。
経験上で知ってるし、今頭に顔も浮かんでるけど、
そいつ、親の病院ついで数年でやめて繁華街で飲み屋やってるってさ。
追記;
「誤診した医者の名前を出せ医師免許取り上げろ」っていうコメントあるけど、
医者も人間だからミスはある。
自分がミスしたのは命にかかわらないから許されて
医者のミスは許されないとか言い出すと、医者になる人間いなくなるし、
場合によっては今医者やってる人間も全員医師免許はく奪かもよ?(笑
で、こういうとき大事なのは「なんでこうなったか」の検討。
2回目受診には上級医を呼ぶ、をルールにするとか、
そういうルールがあったのなら、改めて全員に徹底するとか。
ミスもしないで一人前になった医者などいないからさ。
…まあこの話は「2回目受診したとき上級医呼べよ」っては思うけど、
高校生が帰り道に内科開業医によって紹介状書いてもらっていたら、
当日の本院(救急じゃなく)外来でみてもらえて助かったかもしれない。
その意味では、患者である高校生(とその家族)のミスもあるんだよ。
別な記事で「翌日に開業医を受診」するよう言われたって書いてあったけど、
具合悪いならいつ行ってもべつに犯罪じゃない。
翌日に開業医受診したときはショック状態だったらしいので、
夜中にがまんしないで救急車呼ぶとかしたらよかったかもなぁ。
さらに追記;
書くまでもないか、とは思ったけどやっぱり書く。
上腸間膜症候群はけっこう珍しい病気。
しかも症状が出たりひっこんだりする(普通はあまり重症化しない)から
うつ病とか心因性疾患とかに診断されてしまうことも多い。
研修医が診断できなかったのはまあ、仕方ないとして
上級医や指導医でも、きちんと診断できたかは怪しい。
さらにさらに追記;
治療も書いとく。「太ること」。
十二指腸は大動脈と上腸間膜動脈の間を通っているんだが、
普通は血管周囲に十分な脂肪組織があるから圧迫されない。
急激にやせると(成長期とか思春期やせ症とか他の病気で痩せるとか)
血管周囲の脂肪がなくなり、太くて固い2本の動脈が
柔らかい十二指腸を圧迫して通過障害を起こすわけ。
仰向けじゃなく、うつ伏せとか左を下にして横向け寝すると症状が軽くなる。
やせてて嘔吐を繰り返し姿勢で症状軽くなる患者をみて
「上腸間膜症候群じゃないの?」と思いながら診察しないと、わからないこともある。
■研修医が誤診、高校生死亡=上級医に相談せず―日赤名古屋第二病院
(時事通信社 - 06月17日 21:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=7904895
ログインしてコメントを確認・投稿する