孤立を深めている中東のイランの最大の宿敵といえば、アラブの盟主・サウジアラビアです。1979年にイラン革命が起きるまでは、「同じ親米国家」として良好な関係にあったのですが、イラン革命が起きると革命がサウジアラビアに波及することを警戒し、対立するようになりました。
2016年、サウジアラビアでシーア派の指導者が混乱を引き起こしたという罪で死刑になってからは、国交を断絶していました。イエメン内戦も、いわばサウジアラビアとイランの代理戦争です。
サウジアラビアが政府軍を支援し、反政府側をイランが支援しているのです。ところが近年、サウジアラビアとイランが関係改善に動いています。2023年3月、サウジアラビアとイランが国交を正常化したのです。中国の仲介でした。
サウジアラビアはジャーナリスト殺害事件以来、アメリカのジョー・バイデン大統領から人権問題を批判され、アメリカと距離を置くようになりました。「敵の敵は味方」というわけです。
2018年、反体制派のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が、在イスタンブール・サウジアラビア総領事館で殺害された事件について、アメリカ政府は「皇太子が殺害を承認していた」という報告書を公表しました。
これに対しサウジアラビア政府は「事実無根だ」と猛反発しました。両国の関係は冷え込んだままです。そんな中、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、石油価格が高騰しました。
アメリカでも物価が高騰し、2022年11月の中間選挙を前に、バイデン政権に対する批判が高まっていました。そこでバイデン大統領は、「人権問題を棚上げするから、石油を増産してほしい」と、恥を忍んでムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に原油の増産を要請します。
ところが、OPECプラスはなんと減産を決定してしまいます。バイデン大統領の面子は丸つぶれです。両国の溝をますます深めることになりました。
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