2022年9月、イランの首都テヘランで「ヒジャブ(女性が髪の毛を覆うスカーフ)を適切に身に着けていなかったから」という理由で道徳警察に拘束された女性が、その後、死亡してしまうという事件がありました。イスラム教が国教のイランでは、女性のスカーフ着用が義務付けられているのです。
殺害されたという証拠はないのですが、この事件をきっかけに大勢の女性がヒジャブを脱ぎ捨て、さらにイランの体制に対する抗議デモが広がりました。当局はデモに参加した市民を次々に捕まえ、治安要員を負傷させた人に対して死刑を執行していきました。これに対し、欧米はイランへの追加制裁を公表しました。抗議の声が高まりました。この騒乱を受けてイランは、 服装規定違反などを取り締まる道徳警察は「廃止された」と発表。
さらに、2023年2月になってイラン最高指導者のアリー・ハメネイ師は、反政府デモなどに参加し罪に問われている被告や収容されている数万人の受刑者に恩赦を与えることを決定しました。イランには選挙によって選ばれる大統領よりも強い権力を持つ「最高指導者」(任期は終身)という役職が存在します。
ハメネイ師による恩赦は、革命から4年の記念日を控えた措置とのことでしたが、制裁を強める欧米の批判をかわすことが狙いだとの見方もあります。ただしデモ参加者のうち、公共施設の破壊や放火などの行為をした容疑者らは恩赦の対象外。実際、何人に恩赦が与えられるのかは明らかになっていません。イランは核開発を進めています。
世界中が批判をする中、イランは追い詰められると核兵器を持とうとするのではないか。イランが核を持つと、サウジアラビアも、そういうリスクも高まっているということです。2022年は中東で初のサッカーワールドカップが開催されました。開催地カタールも人権問題で批判されました。
イランと対立する中東の盟主・サウジアラビアは、サウジアラビア政府に批判的だったジャーナリストのジャマル・カショギ氏殺害をはじめとする人権問題をめぐってアメリカと距離を置くようになり、最近は中国に急接近しています。
2023年3月上旬には、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交正常化を果たしました。アメリカの中東での影響力が低下しているということです。「アラブの春」からすでに10年以上が経ち、民主化の成功例として語られてきた北アフリカのチュニジアでも、コロナ対策としてロックダウンが宣言されたことをきっかけに、反政府デモが激化しました。アメリカの影響力が低下した中東はどこへ向かうのであろうか。
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