今や世界的には4分の1のシェアを占める自然エネルギーです。日本では技術はあっても一向に普及しないのはなぜか? 太陽光も風力も、電力会社と経産省が「取り組んだフリ」をし、結局は潰しにかかっているという現実があります。
ポテンシャルがあるのに普及しない原発の安全神話が崩壊した今でさえ、なぜ「それでも原発に頼らざるを得ない」と思っている人が、かくも多いのでしょうか。理由はいろいろ考えられますが、原子力に替わるエネルギーは何か、ということが実感を持って想像できないという問題が大きいと言えるでしょう。
その引き受け手は、地球温暖化や持続可能性を考えると、もはや自然エネルギー(再生可能エネルギー)のほかにありません。あらゆる電源による世界の容量のうち、自然エネルギー由来の電力容量は4分の1を占め、2009年には世界の電気の18%を供給しました (水力含む)。これは、原子力を上回る数字です。
特にドイツや北欧では「第4の革命」と言われるほど自然エネルギーが普及しており、そのため皆が「これで供給は満たせる」ということを実感しているからです。しかし日本では、自然エネルギーによる電力供給は水力が8%、そのほかは1%しかありません。
電力会社と国が自然エネルギーを普及させまいとあらゆる手を尽くし、こうした無残な状態へと追い込んできたために、「普及している未来」が想像できないのです。実際には、日本には太陽光発電、風力発電を導入できる余地が十分にあります。
2011年春に発表された環境省の「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」によると、住宅の屋根を除いた太陽光発電のポテンシャルは約1億5000万kWとされています。住宅の屋根を加えた試算では、およそ2億kWの潜在量が見込まれています。
風力発電に至っては、陸上で2億8000万kW、洋上で16億kWという途轍もなく大きな導入可能性があることがわかっています。つまり、あとはそれをいかに実現するかが問題なわけですが、そのために乗り越えなければならない壁はひとつやふたつではありません。全量買取制度を徹底すれば自然エネルギーは定着するのです。
まず必要なのは、自然エネルギーを原発に代わるベース電力として育てるために、普及を促すことです。そこで大前提となるのが、「全量買取制度(フィード・イン・タリフ)」です。全量買取制度とは、風力や太陽光などの発電事業者から電気を決まった価格で一定期間、すべて買い取ることを電力会社に義務づけ、自然エネルギーが産業としてテイクオフするのを助ける仕組みです。
日本では奇しくも、東日本大震災の当日に当たる3月11日の午前、全量買取法案 (電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案)が閣議決定され、国会に上程されました。これが与野党合意の下で成立するのは、エネルギー政策の抜本的な転換のためにきわめて重要なことです。
ただし、自然エネルギーの本格的な普及のためには、この法案の微修正と政省令レベルでの制度の抜本的な改善が不可欠です。政府案では、制度のスタートを目指す来年度の買い取り価格について、住宅用の太陽光発電の場合は1kWh当たり300円台後半、太陽光発電以外の自然エネルギーの場合、一律20円近くの水準とする方針でした。
しかし、ひとくくりに自然エネルギーと言っても、それぞれの特徴は大きく異なります。太陽光や風力発電は初期投資が大きく、ランニングコストが小さくなりますが、バイオマスはまったく逆です。
開発期間にしても同様で、太陽光や風力、バイオマスは比較的短くてすむのに対し、地熱発電は長い時間を要します。そのうえ、地域・自然の条件によっても発電量がだいぶ違ってきます。
そうした特徴の大きく異なるものを、同じ価格で競わせるのはまったくナンセンスです。 普及を目的とするならば、自然エネルギーの種類・規模・地域の実情を踏まえたうえで、それぞれ一定の利回り (15〜20年で6〜8%程度)を見込めるよう、コストに基づいた価格を設定すべきなのです。
ISEPでは、自然エネルギーの普及を進めるため最低限の買取価格および買取期間についてのように提言しています。これは何も、自然エネルギーを特別扱いしろと言っているのではありません。全量買取制度で普及を促す目的は、「技術学習効果」にあります。
スマートフォン、携帯電話、パソコン、液晶テレビなどと同じように、普及に従って性能が上がり、コストが下がる効果が生まれれば、自然エネルギーは経済性においても、既存の電源と互角以上の競争力を持つことになるのです。
ログインしてコメントを確認・投稿する