手書きのハガキを見る機会も少なくなりましたが、何十年か前には不幸の手紙というのが有りました。
確か、「この手紙が届いたら、一週間以内に5人に同じ文面の手紙を出さないと不幸が降りかかる。それを無視した人が死亡した事が有る」といった内容だったでしょうか。
実際に目にした事は有りませんが、あちこちで紹介されていましたから、その文面も広く知られておりました。
ちょっと考えてみればすぐ分かるように、毎回皆が5人に出していたとすると、それをx段階進んだ先の人数は5のx乗です。
すると12段階後の人だけで2億を超えますし、しかもそれ以前の段階での累積が有りますから、11段階後には日本の総人口を上回ります。
出す人がギリギリまで悩んで、7日で出していたとしたら、配達にかかる日を考えても100日以内でしょう。
ところが、実際には私が見た事無い程度にしか流通していない訳です。
そうした事をする層は限られていて、その層の中でのみ繰り返し繰り返し流通し続けていたと考えられなくも無いですが、大多数の人が無視していたと考える方が自然です。
そもそも、最初に書いた人というのが必ずいる筈ですが、同じ文面で〜という事ですから、最初の不幸の手紙も内容はそっくり同じだった筈であり、であれば「無視して死んだ」人の話など出てくる道理が有りません。
このように不幸の手紙は矛盾だらけで、まともに相手する価値が無いと断言出来ます。
また、メカニズムは似たようなものですが、「ギネスブックに挑戦している」という名目のチェーンレターというのも有りました。
こちらは私も貰った事が有ります。
ハガキを繋いだ順に1〜5番まで名前が乗っており、1の人に「チェーンレターは順調である」旨のハガキを出し、リストから1の人の名前を消して5番までの名前を繰り上げ、空いた5の位置に自分の名前を入れて、同じ文面で5人の人に出す。
そして途中で止めるとチェーンレターが壊れるので、決して止めないで…というモノだったと思います。
不幸の手紙に比べれば良心的とも言えるかもしれませんが、やはり無視しました。
理由は、不幸の手紙と同様に皆が出していることは有り得ない、同じ文面というのが矛盾しているという事に加えて、「順調である」旨連絡貰った1の人がどうすべきか、そして、「ギネスにチャレンジの」過程、結果を誰がどう検証するのかといった事が全く不明である…などです。
また、本当にチャレンジの目的が有ったとしても、一方的に赤の他人を巻き込む事が必至なのに、お願いや感謝の気持ちどころか、「絶対に止めないで」と、実に高慢な態度であること。
同じ文面のまま繋がっている筈ですから、最初の段階からそうした高慢な文章だったのでしょう。
このチェーンレターも、相手してあげる価値が全く有りません。
それにしても…
こんな下らない事を始めたのは何処のバカなんだ?というのは、多くの人が思っていた事でしょう。
ミステリーではその犯行によって最も得をする人物が一番怪しいという原則が有ります。
とすると?
得をするのは郵便関係者しか考えられませんが…
さすがに郵政省が黒幕とは考え難いので、普通の地方郵便局の誰かが身の回りでやったのが、意に反して広がってしまった…という事ではないかと思いますが、果たしてどんなものでしょう?
今さら証明のしようも有りません。
さて
近年、横溝正史氏の金田一耕助シリーズをけっこう読んでいますが、短編「黒い翼」には、「幸福の手紙」なるものが出て来ました。
不幸の手紙と似たようなモノですが、違うのは、文面が同じ内容の手紙を7人に出せば幸福になれるというもの。
人数が7人と言うのはともかく、手紙を出す事で不幸を避けるor幸福になるという意味で、方向性は同じであるものの、貰った側の気分は正反対です。
それにしても「幸福の手紙」?
聞いた事無い…
その時代には有ったのでしょうか(・_・?)
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