さらに悲惨になるロシア、人口減の悪夢
コロナ禍と戦争が拍車、小さく貧しく教養の低い国に
2023.3.15(水)
The Economist
何十年も続く危機がウクライナでの戦争でますます深刻になった。
ロシアで人口学的な悲劇が進行中だ。
この3年間に失われた人口は通常想定される水準を約200万人上回った。戦争、病気、国外脱出の結果だ。
15歳のロシア人男性の平均余命は5年近く短くなり、ハイチと同じレベルになった。
2022年4月に産まれた子供の数は、ヒトラーに占領された時期のそれと同程度でしかない。
おまけに、兵隊に取られる年齢の男性があまりに多く死亡したり外国に逃げ出したりしているために、今では女性が男性より少なくとも1000万人多くなっている。
戦争はこうした問題の唯一の原因ではなく、最大の原因ですらないが、事態をひどく悪化させている。
西側の推計によれば、ここ1年間におけるロシア兵の死傷者は17万5000〜25万人に上る(ロシア側の数字はこれより少ない)。
国外に脱出することで戦地の殺戮を逃れた人も、教育を受けた若者を中心に50万〜100万人いるとされる。
人口学的な問題がほかになかったとしても、これほど短い期間にこれほど多くの人がいなくなればダメージは大きい。
実際には、戦争による損失は、縮小し衰える人口にさらに重い負担をもたらしている。
ロシアは今や、人口学的な衰退という破滅のループに突入しつつあるのかもしれない。
衰退へ向かう破滅のループ
ロシアの危機の発端は30年前にさかのぼる。
人口は1994年に1億4900万人でピークに達した。その後は小刻みな変動を繰り返しながら減少し、2021年時点では1億4500万人だった。
(国連によるこの数字は、ロシアが2014年に併合して国家の統計に加えたクリミアの住民240万人を含んでいない)
国連の予測によれば、現在のパターンが続けば、ロシアの人口は50年後にはわずか1億2000万人に落ち込む可能性がある。
実際にそうなれば、1995年に世界で6番目に人口の多い国だったロシアは第15位に後退する。
ロシア統計局にかつて勤めていたフリーの人口統計学者アレクセイ・ラクシャ氏によれば、平時だけを見るなら2022年4月に登録された出生数は18世紀以来の低水準だった。
4月は特に残酷な月だったが、慢性的な問題が垣間見える瞬間でもあった。
人口減少が著しいのはロシア民族
人口減はロシア特有の現象ではない。ロシアほどではないが、旧共産諸国のほとんどで人口が減っている。
こうした国の人口の減り方は緩やかで、まだ対処できる範囲にとどまっている。
それに対し、ロシアではここ数十年間、人口が急激に減少し、部分的に持ち直した(旧ソ連諸国からの移民が多かったことや、2007年以降の児童手当引き上げのおかげだ)後、また減少に転じている。
ロシア統計局によれば、ロシアの人口は2020年、21年に合計130万人減少した。死亡数が出生数を170万人上回った。
(国連のデータでも減少しているが、減少幅はこれより小さい)
2021年の国勢調査によれば、減少幅が最も大きかったのがロシア民族で、2010〜21年に540万人減っている。国民全体に占める割合も78%から72%に縮小した。
ルースキー・ミール(ロシア世界の意)を拡大させていると言うプーチン氏の自慢は、実はこの程度のものだ。
新型コロナによる死者は世界第2位?
すべてはウクライナでの戦争以前に始まったことであり、ロシアでのぞっとするようなパンデミックを反映している。
ロシアの公式統計によれば、この国での新型コロナによる死者は38万8091人だった。
その通りなら比較的少ないが、本誌エコノミストの推計では、2020〜23年の超過死亡数は計120万〜160万人に上った。
この超過死亡数は、人口が格段に多い中国や米国の死者に匹敵する数字だ。
実際、ロシアは新型コロナによる死者数がインドに次いで世界で2番目に多く、人口10万人当たりの死亡率は850〜1100人で世界最悪だった模様だ。
パンデミックの死者に戦争の犠牲者、動員を逃れて国を出た人々を足し合わせると、ロシアは2020〜23年に通常の人口減に加えて190万〜280万人を失った計算になる。
人口が年にざっと50万人ずつ減った2000年代初頭よりもさらにひどい事態ということになる。
ロシアを待ち受ける未来
この事態はロシアの将来にとって何を意味しているのか。
人口動態は必ずしも運命ではない。実際ロシアでも、2010年代半ばには人口が増加に転じた局面があった。
ロシアの軍事動員が示しているように、人口の変動の影響は複雑であることが多い。
徴兵の対象年齢(これまでの18〜27歳から21〜30歳に引き上げられている)のロシア民族が減少していることで、ロシア軍が4月に始まる定例の春の徴兵を行うことが難しくなる。
そうした複雑な状況にもかかわらず、人口減少の総合的な影響はロシアという国を大きく変えることになる。それも悪い方向に変える。
人口減少に苦しむ国のほとんどは、大規模な社会的大変動を何とか回避してきた。
ロシアは別かもしれない。人口の減少ペースが異様に速く、今世紀半ばまでに1億3000万人を下回る可能性がある。
人口の減少に伴って痛みが増す。
ロシア人男性の平均寿命は2019年の68.8歳から2021年の64.2歳へと急激に短くなっている。これは新型コロナのせいでもあり、アルコールがらみの病気のせいでもある。
ロシアの男性は今や、バングラデシュの男性より6年早く、そして日本の男性より18年早く死亡する計算だ。
高学歴の若者が逃げ出す国
おまけにロシアは、ほかの国々を高齢化とともに豊かにする要因にも手が届かなくなるかもしれない。高度なうえにレベルがますます高くなる教育がそれだ。
米ワシントンのシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の人口学者ニコラス・エバースタット氏は、ロシアは第三世界の死亡率と第一世界の教育とを併せ持つ特異な国だと論じている。
確かに、25歳以上のロシア国民の学歴は一部の分野で世界のトップクラスに入る。
だが、高度な教育を受けた若者の脱出は、この優位性を損なっている。
ロシアの通信省によれば、2022年には情報技術(IT)分野の働き手の10%が国を出た。その多くは若い男性だった。
この脱出により、ロシア国民の男女比はさらにいびつになっている。2021年時点でさえ、男性100人に対する18歳超の女性の数は121人に達していた。
プーチンの征服欲は衰えないが・・・
この人口学的な破滅のループは、プーチン氏の征服欲をまだ弱めるには至っていない模様だ。
だが、このループのためにロシアは急速に小さく、教育のレベルも低く、かつ貧しい国に、そして若者が次々と逃げ出して男性が60代で死ぬ国になりつつある。
侵攻は人的大災害に発展している――しかもそれは、ウクライナ人だけにとっての話ではない。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74344
ロシアは圧倒的に女性が多くなり、中共は一人っ子政策の副作用で男性が圧倒的に多くなり、共に人口減が深刻です。
日本以上に高齢化が進むので若年層の介護疲れは半端ないです。
日本も他人事じゃないです^^;
ログインしてコメントを確認・投稿する