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2023年03月07日17:50

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対峙(Mass)

  高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対話を描いたドラマ。

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生。多くの同級生が殺害され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。事件から6年。息子の死を受け入れられずにいるペリー夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をすることに。教会の奥の小さな個室で立会人もなく顔を合わせた4人はぎこちなく挨拶を交わし、対話を始めるが……。

加害者の両親をドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のリード・バーニーと「ヘレディタリー 継承」のアン・ダウド、被害者の両親を「ハリー・ポッター」シリーズのジェイソン・アイザックスと「グーニーズ」のマーサ・プリンプトンが演じる。「キャビン」などの俳優フラン・クランツが初監督・初脚本を手がけ、密室で繰り広げられる4人の会話劇を緊迫感たっぷりに映し出す。(映画.comより)





<2023年2月26日 劇場鑑賞>

 とてもよくできた映画なんだけど、しんどかった。リアルすぎるというか、辛すぎるというか。上にもありますが、銃乱射事件を起こした高校生(本人は図書室で自殺)と、その被害者高校生の両親が、お互いに面会するという設定。こういうこと、現実にあるのかな。6年も経てば実施されることもあるのかな。でも、個人的にはちょっと考えられないし、お互い辛すぎるし、そんなこと試みる必要はないように思います。もちろん、当事者の気持ちは、なってみないとわからないのですが。

 実際、映画が始まってしばらくは、彼らに関わったカウンセラー(セラピスト)と、場所を提供した教会の女性(と若い男性助手)が、ピリピリしながら、それでも一生懸命準備する様子が映されます。普通の会合ではないですから、みな手探りで、でも、誠意をもって準備しています。そして到着する二組の夫婦。お互い、少し年輩です。

 差しさわりのないことから始まる会話。でも、やっぱりそのために集まったのですから、事件のことを話さないわけにはいきません。辛いです。見ているほうも本当に辛く、「こんなこと、する必要ある?」と真剣に思いました。どちらの肩を持つわけでもありませんが、もちろん、殺された生徒になんの落ち度もありません。たまたまそこにいただけです。しかしながら、犯人は早くからそういうポリシーを持って大人を騙していたのであって、ある意味頭のキレる子だったわけです。成績もよく、友人もいたし、仕事で忙しい父親との会話も問題ありませんでした。もちろん、ふとしたこと(何だったか忘れたが)で、セラピーを受けさせたこともあったのですが、かの国では、ちょっとしたことでもセラピー受けるのは普通だし、”こういうテストはこう答えればこう判断される”なんてことは、調べれば簡単にわかることで、頭のいい彼は、そうやってセラピーに臨み、「大きな問題はない」子供と判断されていたわけです。

 後から思えば、友人の家に猟銃があった、とか、結論から言えばそれを持ち出したわけですが、そんなこと、その時に問題視する人なんていません。「息子の友人が将来盗みに来るだろう」なんて誰が予想するでしょうか。結果、”後から論”になりますが、「私たちは完全に騙されていた」と父親が吐露するまでになるわけです。

 本当に、どちらの両親も、ありとあらゆる可能性を追求し、医学的な文献まですべて読んで、被害者生徒の父親に追及されたポイントは、加害者側の親もすべて検証してありました。客観的に分析できる加害者側の父親に感心しました。かなりのインテリ層かと。もちろん、だからと言って許されるものではないわけですが、彼らだって息子を失い、社会的制裁をかなり受けているのです(息子の葬儀は教会でやってもらえなかった、とか)。

 どちらもいたたまれなくて、辛くて、見ていられなかった。私がどちらかというと加害者側の両親の立場に立って見てしまうのは、一時は発達障害と診断された息子がいるからです。私たちは愛情を持って育てているつもりだし、今はとても温厚な子。それほど頭がキレる子ではないので、そんな知恵はまわらないと思ってはいるのですが、やはり不安はついて回ります。親の欲目で、見えないこともあるだろうし。

 そして、迎えたラストシーン。もう帰り支度をしていた彼らなのに、加害者側の母親が帰って来て告白した内容に、涙が止まりませんでした。きっと私も彼女と同じことを思うでしょう。



<ネタバレ。その告白>

 正確には覚えていませんが、だいたいこんな感じだったかと。

ある時、何かを息子に注意し言い争いになった。その時の彼の形相があまりに怖くて、主人も仕事でほとんどいなくて、恐怖を感じた私(母)は、思わずその場から逃げ出し、自分たちの部屋に入って、鍵をかけてしまった。あのとき、逃げ出さずに正面から向かっていれば、息子がどれほどの暴力を振るう男なのか、認識できたかもしれないのに、私は逃げてしまった。殺されてでも向かって行くべきだったのに。

涙ながらにそう訴える母親を被害者側の母親が抱きしめるのです。私がどちらの母親だったとしても、同じことを思ったでしょうし、したでしょう。辛すぎる映画でした。

<ネタバレ終わり>



 一度失った命は絶対に戻りません。こんなこと、あってはいけないのです。どういう理由があっても、どれだけ強いポリシーがあっても、人の命だけは絶対に奪ってはならない、このことはやはり何人も叩き込まれるべきですね。


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