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2022年06月08日14:26

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英雄の証明(A Hero)

 「別離」「セールスマン」でアカデミー外国語映画賞を2度受賞するなど世界的に高い評価を受けるイランの名匠アスガー・ファルハディーが手がけ、2021年・第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したヒューマンサスペンス。SNSやメディアの歪んだ正義と不条理によって、人生を根底から揺るがす事態に巻き込まれていく男の姿を描く。イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され、服役している。そんなある時、婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所できるラヒムにとって、それはまさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは、金貨を落とし主に返すことを決意する。そのささやかな善行がメディアに報じられると大きな反響を呼び、ラヒムは「正直者の囚人」という美談とともに祭り上げられていく。ところが、 SNSを介して広まったある噂をきっかけに、状況は一変。罪のない吃音症の幼い息子をも巻き込んだ、大きな事件へと発展していく。(映画.comより)





<2022年6月4日 劇場鑑賞>

 都会で上映終了した映画を地方で上映してくれる一種の”名画座”。ほんの限られた劇場でのみですが、ここ和歌山でも時々やってます。映画ヲタクの私は、これが楽しみで毎回待ち焦がれています。今回は「英雄の証明」です。最初から夕方と夜だけの2回上映でしたが、これを逃すともうどこでもやってない、ということで、夕方の回に馳せ参じました。

 イランのアスガー・ファルハディー監督と言えば、もう名声の確立した有名監督ですが、今回の作品は、確かに名作なのですが、本当に疲れました。日本と価値観が違うから、主人公が刑務所に入っている理由もあんまり理解できないのですが(個人的には”保証人”となった男が、娘の持参金まで使って肩代わりしなければならなかったのが悔しいのは理解できるのですが、それなら働いて返してもらったほうが得策では?と思いました)、あまりにも皆が(刑務所の役人たちや同僚、警察やNPО法人の人たちなど)自分の価値観でのみ行動し、相手を責めてばかりいるので「なんで?」と思いました。自分に事情があるのなら、他の人も同じ。統一された法ではなく、感情論が先に出てしまうお国柄なんでしょうね、きっと。そこへSNS動画を拡散させる奴、世間の目ばかりを気にする組織、妬み、そして本当の悪人が混じるから、ますます収拾がつかなくなる。

 コアの話は、お金で解決できる問題を持つ主人公が「金貨を拾った」と、婚約者に言われる。一度は換金して自分で使おうと思ったが、やっぱり良心が痛むから広告を打つ。すると女性が名乗り出て、泣きながら感謝を述べて一件落着。それだけのこと。でも、メディアが注目。刑務所もそれに乗っかる。妬む奴が出て来る。悪いうわさを流される。信じていたことが覆されてゆく。皆、自身の保身と得のために態度をコロコロ変える・・・。

 個人的に一番気に入らなかったのは、主人公を雇い入れるはずだったNPО法人(?)の人事担当の男。月並みな感想でゴメンだけど、ハナから人を疑ってかかることしか知らないような態度で、どれだけ話を通しても「確認しないと」ばっかり。最初から雇うつもりがないなら、話なんか聞かなければいいのに。SNSやメールの告げ口をいちいちすべて確認するわけ?本人の話はまともに聞かないくせに。

 最終的には、一般社会よりも刑務所のほうがずっと住みやすかったんじゃなかろうか、と思ってしまった私でした。いやもちろん、刑務所仲間にも”妬んでる奴”とか世間ウケしか考えてない上司がいるんですけどね。生きづらいですねぇ、なんででしょうね。
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