プーチンは5月9日の「戦勝記念日」に「ウクライナに勝った」宣言をしたいという。
この本は、生きて戦後を迎えた女性たちの証言でできているので、
戦勝記念日についての証言もある。
「戦争に勝ったらどんなにうれしいかと思ってた。
でも、今は、毎年5月9日が来る前に洗濯物をためこんでおいて、
5月9日は朝早くからずーっと洗濯している。
洗濯が終わると夜になってて記念日も終わっている。」
戦争に勝った日すら怖い、その日までにあったことを思い出してしまいそうで、
とこの女性は言う。
「前書き」に「原稿の段階で削除した部分」がいくつか書いてある。
つまりそれは、今はもう削除されていない、ということだ。
「その重症者は「朝まで持たない」と医者が言ってた。
夜勤だったので「何かしてほしいことは?」と聞いたら
「女房と離れてずいぶんになるんだ、おっぱいを見せてくれないかな」と言われた。
にっこりと明るすぎるほほえみだった。
恥ずかしくなってその場を離れ、1時間後に戻ったとき、患者は死んでいた。」
「夜中の空襲で船のへさきに火がついて、水に飛び込んだ。
泳ぎが得意だったので、負傷者がいるならひとりでも救いたかった。
近くに浮いたり沈んだりしている気配があって、捕まえたらぬるぬるしていた。
全裸の負傷者だ、と思って必死にかついで岸にたどりつき、爆撃の明かりで、
それが傷ついて死にかけた大きなチョウザメだとわかった。」
「パルチザンの宿営地が密告されて、茂みの中の沼に隠れた。
長い時間、喉元まで水につかっていた。
無線通信兵は最近赤ちゃんを産んだばかりで、赤ちゃんはおっぱいを欲しがっていた。
母親は、赤ちゃんを水に沈めて、長いことじっとしていた。」
「部隊にドイツ捕虜が連行されてきたとき、すぐには銃殺しなかった。
簡単に楽にさせてやるわけにはいかない。金串で刺し、少しずつ肉を切り取った。
痛さのあまり、捕虜の目が、破裂せんばかりに見開くのを見ていた。
こういうことの何があんたにわかるって言うの?
やつらはわたしのお母さんとお姉さんを村の真ん中の焚火で焼き殺したんだ。」
「スターリングラードの周囲はあまりにもたくさんの死体が転がっていて、
普通は死体をよけて歩く馬もよけなかった。
味方の死体は集めたが、ドイツ兵の死体は氷におおわれてそのまま。
砲弾を運ぶ車の運転をしていると、車輪の下で頭蓋骨が割れる音が聞こえた。
うれしかった。」
「パルチザンが来て、村長とその息子を引き出して、鉄のバールで頭を殴った。
倒れても殴るのをやめなかった。
パルチザンの中に兄がいて、兄はわたしを抱きしめようとした。
「俺だよ」と言ったが「近づかないで!人殺し!!」と悲鳴を上げた。
それからまる一か月、口がきけなくなった。兄は戦死した。」
「村に戻ったとき、勲章2つと褒美のメダルをいくつももっていた。
家に帰って4日目の朝、母が私を起こしてこう言った。
「荷物を用意したから出て行っておくれ。妹ふたりが嫁に行けなくなる。
男たちの中に4年もいたってことをこのあたりの人間はみんな知ってるから」
勲章のことだけ、本に書いてちょうだいね。他の作家のように。」
「父は行方不明だった。身内が戦死したら何かもらえたが、わたしは役場で脅された。
お前の父親はドイツでよろしくやってるんじゃないのか、人民の敵だ、と。
40年たってゴルバチョフの時代に、父の戦友から「英雄的に戦死した」と手紙がきた。
母の墓の前でその手紙を読んであげた。裏切者の妻、人民の敵の妻と言われた母に。」
「戦争が終わったらすべてがよくなると信じていた。
ところが、列車が次々にシベリアの流刑地に人を運んでいた。
ドイツの捕虜となり収容所を耐え抜いた人たちが逮捕され、送られていた。
ソ連以外に共産主義国はなく、どんないい家に住み、どんな立派な道路があるか、
コルホーズなどどこにもない、とかしゃべってしまうかもしれないから。」
(以上引用)
削除された部分はそれなりに強烈にこの本の性質を語っていると思った。
これは、前書きにあるけれど削除された部分でなく、作者の思い出だ。
おばあちゃんと、大きな畑のそばを歩いているときのこと。
「戦争が終わってから、長いことこの畑には何も生えなかった。
ここで2日間戦闘があって、死体が枕木のようにころがっていたんだよ。
ドイツ兵も、ソ連兵も。埋めてやるのに1か月かかったよ。」
追記;パルチザンについては説明が必要なように思う。
ベラルーシとウクライナの多くの地域はドイツに占領されていた。
パルチザンは占領された場所で隠れて戦った住民たちで、
ドイツ兵に居場所や人数を密告する住民もいた。
自分が助かりたい一心の行動ではあるが、
同じ国、同じ村や町の住民たちが、ふたつに分かれていたのだ。
戦後、「占領された土地にいた人間はドイツのスパイだった」と言われることもあった。
■プーチンの思惑がはずれ、対独戦勝記念日はロシア国内で反戦運動が広がる契機となる!?
(日刊SPA! - 04月26日 08:51)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=81&from=diary&id=6936208
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