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2021年12月09日15:23

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TOVE トーベ(Tove)

 「ムーミン」の原作者として知られる、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生をつづったドラマ。日本をはじめ各国で愛されるキャラクターのムーミンたちがいかに生み出され、成長していったか、そしてトーベ・ヤンソン自身の人生のあり方や創作への情熱を描いていく。1944年のヘルシンキ。戦時中、防空壕の中でおびえる子どもたちに語った物語からムーミンの世界を作ったトーベ・ヤンソンは、爆風で窓が吹き飛んだアトリエで暮らしを始める。彫刻家の厳格な父の教えとは相反する型破りな彼女の生活。そして、自分の表現と美術界の潮流とのズレが生じていることへの葛藤、めまぐるしいパーティや恋愛を経て、トーベとムーミンは成長していく。そして、トーベは舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い、互いに惹かれ合っていく。(映画.comより)







<2021年12月5日 劇場鑑賞>

 小さい頃、日曜日の夜のテレビは「カルピス劇場」なるものがあって、「ムーミン」だけではなく「アルプスの少女ハイジ」や「あらいぐまラスカル」「フランダースの犬」など、名作が結構放映されていました。「ムーミン」も見ていたのですが、肝心なことはあんまり覚えてなくて、トーベが込めた普遍的なテーマやスナフキンの名言などはちっとも覚えてないのです。アホですみません。日本のチラシには「大切なことは、自分がやりたいことが何か、わかっていることだよ」と書かれていて、スナフキンは偉かったんだなぁと思う次第です。

 しかしながら、今回の映画は、その「ムーミン」誕生秘話みたいなものではなくて、作者であるトーベの人生をかいつまんで現したような、そんな感じでした。著名な彫刻作家の娘として生まれたトーベは、小さい頃から芸術の才能を開花させるのですが、厳格な父は”絵画”、いわゆる”純文学”的なものしか芸術として認めようとしません。もちろんトーベにも絵を描く才能はあったのですが、なかなかに不遇の時代を過ごすのです。ムーミンみたいなかわいらしいキャラクターが書けるのに、父に認めてもらうため、”絵画展をやれるような絵”をいっぱい描くトーベ。それでも、彼女のイラストを気に入ってくれる人もいて、「父の誕生日パーティがあるのだけれど、招待状のイラストを頼みたいわ」という女性(ヴィヴィカ)が現れます。地位のある男性と結婚している、裕福なこの女性は、これがきっかけでトーベと生涯を通しての友人(あるいは恋人)となります。

 この映画で突出して描かれていたのは、トーベの性的魅力だったと、私は思っています。ごく若い頃は、気に入った男性を既婚であっても構わず誘い、彼が本気になります。でも、そうこうしているうちにヴィヴィカと知り合い、恋人に。女性同士のラブシーンも描かれます。でも、ヴィヴィカは恋多き女性。トーベは、男に悩むことはなかったようですが、ヴィヴィカには翻弄されたようです。先ほどの男性は、妻と離婚してでもトーベと一緒になるのですが、トーベの心が満たされていないことに気付くのです。優しい男性ですね。

 話の後半では、パリで開かれた知人の展覧会に参加したトーベが、そこである女性と知り合うようすも描かれるのですが、もう、その女性(トゥーリッキ)のトーベを見る目線が違うのです。本当に魅力的な女性だったのですね。ヴィヴィカの勧めで、絵本を書いたり、ムーミン劇を上演するなどし、成功してゆくトーベ。恋多きヴィヴィカを独占することはできなかったようですが、トゥーリッキと住み、優しい(元)夫を含め、すべての人たちと生涯友人だったそうです。

 父の死後、父がスクラップしていた自身の記事(イラストなども含む)の数々を母に見せられたトーベ。トーベは涙していましたが、認めている(あるいは気にかけている)のなら、より若い頃にそう言ってあげれば、トーベは劣等感を抱き続けずに済んだのではないか、人生が変わっていたのかもしれないのに、と思ったのは私だけでしょうか。まぁ時代の価値観っていうのもあったのかもしれませんが。親って、面倒くさい(笑)。

 ともかく、これほど奔放で魅力に溢れる女性だったこと、知りませんでした。さすが、芸術家。うらやましいです。


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