カイコの名前だと知っている人もいると思う。
日本古来からの品種で、正倉院の御物修復の際にもこの糸が使われた。
小さいカイコ、食欲も旺盛でなく病気も多い。
繭も小さい。
日本で主流の繭は絹糸が1キロメートル取れるが、小石丸はせいぜい300メートル。
細い糸なので機械で繭引きができない。
ただし糸は丈夫でつやとこしがあり、天然染料の染色と手織りに向く。
皇室で養蚕が行われていることも、知っている人が多いと思う。
4種類のカイコが飼われており、そのうち1種類が小石丸だ。
主任ひとり助手4人は卵から繭づくりまでの期間、ほぼ帰宅できないほど忙しい。
昭和の終わりころ、小石丸はあまりにも手がかかるのでやめたらどうか、
と提案があったが、皇太子妃であった美智子さまが反対した。
当時、皇后さまはすでにカイコの世話ができる状態でなく、
美智子さまが引き継いでいらしたので、美智子さまの意見が通った。
2020年に美智子さまは雅子さまにカイコの世話を引き継いだ。
5月のことだ。
2020年5月は、非常事態宣言の真っただ中だ。
5人いたカイコの世話係は、感染予防の観点からなのか
主任ひとりに減らされた。
ひとりでは体力の限界もあり、カイコの種類も小石丸1種類になった。
1種類になったとは言え、他品種より格段に手間がかかる小石丸を
決して若くない主任ひとりで世話するのだ。
苦労してないわけがない。
4種類のときは15万匹ほどのカイコがいたそうだが、
小石丸1種類になっても1万匹くらいはいるのではないかと思われる。
引退直前に美智子さまがカイコの世話にいらしたときの映像を見た人が
「付き添ってた男の人がいかにも、早くやれ、みたいな態度だった」
「美智子さまは、最後だから丁寧にやりたい、と作業していた」
と日記に書いていた。
男の人、とはこの主任さんだろう。
ひとりですべてしなくてはならないのだから、美智子さまの作業は
のろのろした効率の悪いものに見えても仕方あるまい。
美智子さまが帰ったあとですごく急いで他のことをしなくてはならないが、
小石丸はデリケートな品種なので、急ぐにしても気を使うだろう。
イキオイ、上皇后という地位の女性をせかすようなことにもなってしまっただろう。
そういう場面を放送したテレビ局が意地悪だな、と思ったのだが、
その日記を書いていた人はこともあろうに
「ディープステートが日本の皇室を滅ぼそうとしている」からこんなことが、
と続けて書いていた。
世の中で起きることはすべて、ディープステートが決めているんだそうだ。
この前の米大統領選挙もトランプが指定されてたそうだけど、負けたね。
まあそれはいいけど、カイコの世話を主任さんがひとりでするようになった、
ってことをこの人は知っているんだろうか?
…もし知ってても、人員が減らされたのは新型コロナのせい、
コロナを流行らせたのはディープステート、とか言いそうだ。
コロナワクチンはディープステートの陰謀で、スティーブジョブズが手先で、
ワクチンに人類を操る物質を仕込んで、とか前に日記に書いていたので
ああもうダメか、と思ってこの人の日記にコメントするのをずっとやめていたが、
「バカの研究」を読んでから、こういう人からは「離れる」のが正しいと認識した。
人間は自分の信じたいことを信じることができる。
それはいい。
わたしは、5人で世話してたのを自分ひとりに減らされ、
小さい貴重な古代のカイコと数か月合宿している主任さんが
じゅうぶんな手当をもらっているか気になるだけだ。
追記;
上皇后さまがカイコの世話を(正式に)最後になさったのは2018年のようだ。
2019年は退位即位の行事が重なって養蚕は行われず、
雅子さまが正式に養蚕を始めたのは2020年、このとき美智子さまが付き添った。
だから「付き添いの男の人がせかした」
「美智子さまは最後だから丁寧にやりたいと言った」は2018年かもしれない。
このころはまだ主任ひとり助手4人だったので人手は足りていただろうが、
相手は15万匹である。忙しいことこの上ないだろう。
2018年の美智子さまの作業の映像がまだネットにあったので見てみたが、
別に「せかされている」ような印象はなかった。
「せかされている」シーンをわざとはずして編集したかもしれないが、
主任さんはきちんとしたスーツにネクタイ姿で礼儀正しく行動してたように見えた。
2020年は雅子さまといっしょに作業して、いっしょに食事も、と記事があり
美智子さまひとりでカイコに触れた場面はあったかどうかわからない。
昔の映像を見て「せかされている」「皇室を滅ぼす陰謀の一端」と思うのも
見ている人間の心の中ひとつ、本当はそうでないもんが見える、
こともあるかもしれないと思った。
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