先日、新戸雅章さんの「江戸の科学者」と言う本を読みました。
江戸時代に様々な分野で研究を行った科学者の列伝です。
取り上げられていたのが、高橋至時、志筑忠雄、橋本宗吉、関孝和、平賀源内、
宇田川榕菴、司馬江漢、国友一貫斎、緒方洪庵、田中久重、川本幸民の11名です。
新書版で11人ですから、述べられている事は簡潔ですが、
それぞれ出て来る名前などをウィキペディアで調べながら読んでみました。
ウィキペディアの方が詳しく述べられている点などもありました。
この11名、その多くは蘭学との関りがありますが、
関孝和のように中国の算術の本などを元に研究を行った人もいました。
一番興味を引かれたのが、子弟関係です。
例えば高橋至時は、伊能忠敬の師匠になりますが、
忠敬が50歳の時に入門した天文学者で、忠敬よりも19歳年下でした。
その高橋至時は、やはり天文学者の麻田剛立に師事しています。
そうした子弟関係などの、人の繋がりによって
研究が進んでいく過程が面白いと思いした。
関孝和は、経歴などに不明な点もありますが、
当時の数学書である吉田光由の『塵劫記』を独学して和算の大家になった人物です。
円周率を小数点第11桁まで算出していますが、
これは当時のヨーロッパの数学よりも進んでいたようです。
和算は全国的に普及し、神社などに算額として問題を奉納する事も行われました。
江戸時代の数学は、僕には到底理解できないようなレベルだったようです。
当時の蘭学者が困ったのが言葉の問題で、
オランダ語の意味は分かるのだけれど、それに合う日本語がありません。
様々な造語を生み出したようです。
引力(当初は求力と言っていたようで、万有求力とも使っています。)
重力、遠心力などの言葉を作っていますし、
面白いのは、鎖国と言う言葉も作りだしています。
言葉では、蘭学者の宇田川榕菴が、
酸素、水素、窒素、炭素、白金などの元素名、
元素、金属、酸化、還元、溶解、試薬といった化学用語、
圧力、温度、結晶、沸騰、蒸気、分析、成分、物質、法則などの
科学用語を作り出しています。
これらの科学者が順風満帆の人生を送ったかというと必ずしもそうではなく、
幕府政府からの圧力、特にシーボルト事件が大きな影響を与えたようです。
特に大阪の蘭学者で、エレキテルの様々な実験を行った橋本宗吉は、
大阪東町奉行所の与力、大塩平八郎からキリシタンの疑いをもたれ、
詮議を受けたとの事です。
ともかく、江戸時代の科学のレベルは、かなり高度なものだったようです。
各科学者について簡潔に分かりやすく述べられているので、
格好の入門書のような気がしました。
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