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2020年09月12日14:23

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台風3連発で北朝鮮の食料事情が深刻♬

台風3連発で北朝鮮に甚大被害、逼迫する食料事情
東アジア「深層取材ノート」(第52回)
2020.9.11(金)
近藤 大介

 北朝鮮では、「9」の数字は、特別に縁起がよいとされている。これは「九州」(中央+八方)に、あまねく統治者の徳が行き渡るという儒教の教えに基づくものだ。それで1948年の9月9日に、金日成(キム・イルソン)首相が、現在の朝鮮民主主義人民共和国を建国した。

 それから72年を経た栄えある建国記念日の9月9日、朝鮮労働党中央委員会機関紙『労働新聞』がトップで伝えたのは、前日に孫の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第6回拡大会議を招集し、指導したというニュースだった。

 だがそこには、建国72周年の慶祝ムードなどなく、こんな書き出しで始まっていた。

<朝鮮労働党中央軍事委員会は、わが国の東海岸と北部内陸のいくつかの地域に甚大な影響を与えた台風9号によって、咸鏡南道(ハムギョンナムド)検徳(コムドク)地域で多くの被害が発生したことと関連し、9月8日午前、党中央委員会本部庁舎で、拡大会議を招集し、国家的な被害復旧対策を討論した>

官製メディアが「惨状」伝える異例報道

『労働新聞』の報道によれば、「敬愛する最高領導者同志(金正恩委員長)におかれましては、会議で深刻な被害を出した検徳地域の状況を、詳細に通報された」という。それは、以下のような内容である。

<初歩的に把握した資料によれば、検徳鉱業連合企業所と大興青年英雄鉱山、龍陽鉱山、白岩鉱山で、2000あまりの世帯の住宅と数十棟の公共建造物が被害に遭い、浸水した。45カ所で60�劼瞭始�が流出し、59カ所の橋が引き裂かれ、31カ所、3.5�劼△泙蠅龍茣屬療監擦力�盤と、2カ所、1.13�劼△泙蠅離譟璽襪�流出した。

 このように交通が完全に麻痺し、非常事態に直面。検徳鉱業連合企業所の沈殿池の堤防が破壊され、多くの設備が流出するなど、莫大な被害を受けた>

 北朝鮮の官製メディアが、台風9号によっても日本海側で大きな被害が出たことを認めたのである。北朝鮮では、吉事は針小棒大に、凶事はごく控え目にという「大本営発表」が定着しているので、実際の被害状況は、こんなものでは済まないだろう。

 というより、その前の8月の台風8号による被害も深刻だったと認めたばかりである。加えて、今週初めに朝鮮半島に上陸した、さらに大型の台風10号による被害も深刻だったはずだ。

当該記事には、こんな記述も見られる。

<敬愛する最高領導者におかれましては、予想外に襲ってきた台風の被害のため、やむをえずわれわれは、国家的に推進してきた年末闘争課業などを全面的に見直し、闘争の方向を変更せざるを得ない状況に直面していると仰った>

 このように、常に「強気、強気」の北朝鮮が、いつになく弱気なのである。今月後半の収穫期を前に、3つもの台風が直撃したのだから、好戦的な言葉も影を潜めるということなのだろう。

大同江が再び決壊、金日成広場も被害に

 実際のところ、「台風3連発」で、北朝鮮の被害状況はどうなっているのか。改めて平壌在住の人に聞いた。

 まずは平壌市内の状況について、このように語った。

「大同江(平壌を東西に分ける大河)が再度、決壊した。その結果、わが『革命の首都』の聖地である金日成広場までが、見苦しい状態になってしまった。そこで市民総出の徹夜作業で、金日成広場を掃除した。

(平壌の2大ホテルの)高麗ホテルは、まだ何とかもっているが、羊角島ホテルの方は、浸水がひどく、使用不能となってしまった。平壌駅も浸水被害に遭い、列車が全面的にストップしている。

 市内の停電が続いているため、地下鉄やトローリーバスも運休している。職場や学校なども、全面的に休業、休校状態だ」

 首都・平壌でさえこうした有り様なので、地方ではさらに深刻な被害が出ていることは、容易に想像がつくし、前述の『労働新聞』も報じている。だが、復旧作業をすればすべてが元に戻るというわけにはいかない。

 何と言っても今後の喫緊の問題は、今月後半に迫った秋の収穫である。北朝鮮では、年間650万tの食糧が必要とされるが、韓国政府などの試算では、一昨年が490万t、昨年は450万tまで落ち込んだ模様だ。

「想像するのも恐ろしい」今年の収穫

 それでも過去2年は、今年ほどの豪雨や台風被害は起こっていない。今年の収穫は、いったいどうなってしまうのか?

「それは、想像するのも恐い。少なくとも、今世紀に入って最悪の状態であることは間違いない。

 ニュースでは、台風被害が大きかった地方に朝鮮人民軍を派遣し、復旧作業にあたっていると強調している。だが、平壌市民たちが噂しているのは、あの人たち(軍人)の食糧は、どうなっているのだろうということだ」

 つまり、被災地域に派遣された朝鮮人民軍の兵士たちの食糧さえ、ままならなくなってきているというわけだ。

 北朝鮮では、金日成主席が死去し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代を迎えた1994年後半から1997年にかけて、3年飢饉が発生。数百万人が餓死したと言われる。これを北朝鮮では「苦難の行軍」と呼ぶが、金正恩時代にも、再び「苦難の行軍」が到来しつつある。

 だが、1990年代の「苦難の行軍」の時は、やはり3年にわたった1950年代の過酷な朝鮮戦争を経験した世代が、まだ多く生存していた。そのため、苦境でも何とか生き抜くことができた。

 ところが、国連人口基金(UNFPA)と韓国の人口保健福祉協会が今年7月に公表したデータによれば、北朝鮮の平均寿命は72歳。つまり、いまや朝鮮戦争世代の多くが、すでに物故者だ。

 それどころか、「苦難の行軍」の時期に生まれ、栄養失調気味に育った世代が、いまの北朝鮮の若者たちである。もともとが虚弱体質だったり、身長・体重が劣っていたりする。

 いずれにしても、2017年以降の国連による強固な経済制裁、今年の新型コロナウイルスに加え、豪雨と台風被害による未曽有の食糧危機が、北朝鮮を襲うことになる。日本も含めた関係各国は、「北朝鮮は果たしてもつのか」という議論を、そろそろ始めておくべきではなかろうか。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62059
核武装を解除するとは思えないので、捨身で38度線を突破するかも知れません^^;

米中冷戦の影に隠れたダークホース的存在が北朝鮮です^^;
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