向井田みお「やさしく学ぶ YOGA哲学 バガヴァッド・ギーター」より。
第10章 至上神(かみ)は全存在(すべて)の源
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に続きます。
アルジュナはクリシュナに、「イーシュヴァラ(全体世界)」の輝きとその現れを聞き、聖者たちから話に聞く「ヴィシュヴアルーパ(宇宙相)」を見てみたいといいました。クリシュナは真摯で誠実に話を聞いていたアルジュナの理解の助けになるだろうということで、彼に特別な視覚「ディッビャ・チャクシュ(知恵の目)」を与え、その姿を見せました。
アルジュナは1つの姿の中に宇宙全体を見ました。多くの口と眼を持ち、荘厳で神々しい装飾をつけ、たくさんの神聖な武器を振り上げ、花輪と衣服をつけ、香油を塗り、あらゆる方角に顔を向け、太陽と月を眼とし空に広がる驚きの宇宙の姿を見せました。1000個の太陽が一斉に輝いたような光を放っていました。アルジュナは驚き、恐れ敬い合掌し、敬礼しました。
アルジュナはこの姿の中に恐ろしい世界の破壊という光景を見ました。ドウルヨーダナ軍のすべての戦士たち、ビーシュマ、ドローナ、カルナも「イーシュヴァラ(全体世界)」の口という大海に注ぐ川のように物凄い勢いで流れ、歯の間に加えられ、頭を粉々に砕かれているのを見たのです。
蛾が大急ぎで燃える火に入ってその身を滅ぼすように、すべてが一方的に流れ、滅亡してゆく様子を見ました。この世の破壊をアルジュナは一度に見てしまったのです。
しかも、一番アルジュナに恐怖を与えていたのは、彼が自分を「イーシュヴァラ(全体世界)」と離れた存在であると思い込む考えでした。アルジュナがもし自分を破壊であれ、創造であれ、「イーシュヴァラ(全体世界)」と一体であるものとして見ることができていたら、恐れは抱かなかったでしょう。しかし彼は、自分自身と世界についての “無知” があり、恐怖を覚えたのでした。
アルジュナは恐れ、クリシュナに合掌して震える手足で何度も敬礼しました。
アルジュナのみた「ヴィシュヴアルーパ(宇宙相)」は、心と知性が完全に浄化されず、自分自身に関する “無知” と「イーシュヴァラ(全体世界)」に関する疑問や惑いがある状態で見たとしたら、その人は莫大な衝撃を受けるでしょう。一度に宇宙の “創造・維持・破壊”を見ることは個人の理解と限界を超えています。自分と「イーシュヴァラ(全体世界)」を別のものとして「ヴィシュヴアルーパ(宇宙相)」を見たアルジュナは恐怖に慄きました。その当時世界で一番勇敢な戦士といわれた彼が髪を逆立て、手足を震わせるほどに恐ろしいと思える光景が展開されたのです。アルジュナはこの戦いの結末も見ました。彼が見た戦争の行く末について、クリシュナは、「アルジュナよ、見ての通りこの戦場の人々は、すでに私によって破壊されている。展開する世界の流れの一部として、君はただの道具となり、戦うのだ。どのみちすべての物事は定められているのだ」といいました。
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