えっと、某ミニコミ誌に載せた、「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」の映評です。掲載号が届きましたので、ブログへの掲載も、解禁とします。
「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」佐古忠彦監督(2019年、日本、128分)
前作「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」は、公開時、知花昌一さんへのインタビューに行った沖縄で、観た。平日の昼間にも関わらず、会場の桜坂劇場は、ほぼ満席で、同作の沖縄での人気の高さを、物語っていた。
その感想を、私は次のように、書いた。
「アメリカ占領下の沖縄で、那覇市長として、一歩も引かずに占領軍と対峙し追放、被選挙権まで剥奪された、瀬長亀次郎の生涯を、TBSが保有する膨大な未公開資料やインタビューを交えて描いた作品で、その亀次郎の不屈の闘いを、今日の辺野古の闘いや、翁長知事の、日本および米政府への姿勢の、いわば原点として、描いている。やや硬直した、紋切り型の手法が気にはなったが、テレビでよく観ていた佐古さんの、真面目な性格がよく出た、よい作品だと、そう思った」
それから、二年後の今年、続編である「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」が、公開された。今回は、渋谷のユーロスペースで、観た。やはり、平日の昼間。観客はまばらで、しかも、私と同じ、高齢者が大半だった。確かに、沖縄でも高齢者の比率は高かったように思ったが、東京ではほぼ全員が高齢者、という感じだった。
瀬古監督は、同作のパンフレットの中で、前作の感想で、「家庭でのカメジローの顔を知りたい」「かっこいいカメジローは分かった。かっこ悪いカメジローもみてみたい」等という声があったことをあげて、まずは亀次郎が残した二三〇冊以上におよぶ日記を熟読することから始めたと、書いている。つまり、前作の山場であった、一九七一年の国会での、当時の佐藤首相との、一歩も引かない対峙に至る、亀次郎の歩みを、その日記と、関連する映像資料、そして、当時の亀次郎をよく知る、次女の千尋さんや、関係者へのインタビューを通して、丹念に追った作品である。
結果として、「かっこ悪いカメジロー」は、あまり、描かれていない。ただ、「うちはいつテレビ買うの?」といった、末娘の「はてしがない」追及に、タジタジの亀次郎といった、家庭での微笑ましいエピソードは、それなりに、追加されている。
結論的にいうと、ドキュメンタリー作品としての完成度からいえば、やや荒削りの感があった前作に比べ、より精緻度を増したと、思う。しかし、基本的には、前作のくり返しの感が強いし、その闘いを、沖縄の大地に深く根を張るガジュマルの樹に、たとえてはいるが、辺野古や、故翁長知事の闘いに直接ダブらせるといった、前作のストレートな表現は、姿を消した。少し、寂しさもあるが、でも、なおかつ、出来のよい作品であると、十分、評価出来る作品ではある。
(土方美雄/年金では生活出来ない生活者)
ログインしてコメントを確認・投稿する