某ミニコミ誌に書いた映評の再録です。
「キャプテン・マーベル」
アンナ・ボーデン&ライアン・フレック監督(二〇一九年、アメリカ、一二四分)
北欧の映画を二本続けて紹介してきて、なんで、よりによって、ハリウッドの超大作なんだと、お思いの方もいるだろう。
マーベル・コミック実写化作品の、文字通り、集大成にして、「アベンジャーズ/エンドゲーム」へと続く、新ヒーロー、その名もズバリ、キャプテン・マーベルの、誕生を描く超大作である。「ブラックパンサー」で、初の黒人ヒーローを誕生させたマーベルが、本作で登場させたのは、女性のスーパー・ヒーロー。白人至上主義者や、男性優位主義者の怒りを大いに買いつつも、マーブル・コミック&スタジオの目指す方向性は、鮮明だ。
地球から遠く離れたクリー帝国の女性戦士ヴァースが、その任務の途中で、不時着した一九九〇年代の地球。そこで彼女が出会ったのが、のちのアベンジャーズの生みの親、シールドのニック・フューリーだった。しかし、過去の記憶がまったくない彼女の脳裏に、この見知らぬ異境=地球での過去の思い出が、フラッシュバックのごとく、次々と、甦る。果たして、彼女は、一体、何者なのか?ノンストップで続くアクションと、大どんでん返し、そして、何度、挫折しても、再び、立ち上がる不屈の主人公。物語の舞台を、女性の社会的進出に、大きな壁が立ちはだかる時代に、あえて設定したこともまた、この映画のキモである。
主人公のヴァース=キャプテン・マーベルを演じるのは、アカデミー主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン、そして、お馴染みのニック・フューリーに、サミュエル・L・ジャクソン、そして、ヴァースの上司であるクーリー帝国軍の司令官(ハイ、悪役で〜す)に、ジュード・ロウという配役。そして、謎の猫グースも登場。
エンドロールの途中で、「アベンジャーズ/エンドゲーム」でも、キャプテン・マーベルが、その物語の中心になることが、あかされる。あえて、黒人や女性をリーダーに据えて、新しい時代への目配りを忘れないところが、さすが、商売上手のマーベルである。現実はともかく、少なくとも、アメリカの映画界では、トランプ的な存在は、批判の対象である。
ほぼ同時期に公開されたアニメ映画「スパイダーマン/スパイダーバース」も、スパイダーマンであった、白人のピーター・パーカーが、宿敵との戦いで命を落とし、たまたま、その場に居合わせた、黒人の少年マイルス・モラレスが、新たなスパイダーマンとして、成長していく物語である。未熟な新スパイダーマンを助けて活躍する、異世界からやって来たスパイダーマンたちは、やはり、女性だったり、日本の女子高生だったり、はたまた、人間ですらない、豚だったりする。少なくとも、「アメリカ・ファースト」ではない世界観が、そこでは示されている。
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