坂井律子さんの「〈いのち〉とがん 患者となって考えたこと」(岩波新書)を、読了。著者の坂井さんは、本書を書き終えたあと、逝去された。くり返される転移・再発と、抗がん剤治療の大変さに、正直、読んでいて、へこむ。
私も、大腸と胃に出来た腫瘍を切除し、もう1度は、手術に伴う、脱腸状態を矯正するため、開腹し、メッシ状のものを入れる手術もした。3度めの胃の腫瘍切除では、その腹部に入れたメッシ状のものの隙間から、手術をしなければならず、メッシ状の網が細菌感染する危険性があり、その場合は、再び、感染した網自体を腹部から取り出す手術をする必要があると、主治医から告げられた。幸い、感染はなく、網を取り出すこともなかったが、手術した胃の機能が、なかなか回復せず、退院後、たった1日で、再入院するハメになった。でも、幸い、腫瘍が悪性のものでなかったため、転移・再発の恐れもなく、今も定期的に検査は続けているものの、副作用を伴う、抗がん剤治療をする必要もなかった。大腸に出来た腫瘍は7センチ以上もあったので、悪性のものであったとしたら、転移は必至だっただろう。そういった意味で、「ラッキー」だった。
今の私の体調では、今後、癌になったとして、果たして、どこまで闘うことが出来るか、そう考えると、慄然とする。癌は、今や、3人か2人に、1人がなる病気で、決して、他人事ではない。概して、明るく前向きな闘病記(そういう、前向きの人だからこそ、闘病記を書くことも出来るのだろうが)が多い中で、坂井さんの著書の、自分を突き放し、客観視した「報道者」としてのリアルさは、余計、ズンと、胸にこたえた。
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