米国の対中関税、国内回帰した米工場を直撃
Ruth Simon 2018/10/15 15:25
米トランプ政権は、中国製品に輸入関税を課すことで、米製造業の拠点が国内に戻ってくると主張する。だが、拠点を米国に戻した一部の中小メーカーは、関税が自分たちの事業を支援するどころか、悪影響を与えていると話す。
自転車製造のケント・インターナショナルは2014年、サウスカロライナ州マニングの新工場を稼働させ、ウォルマートなどの小売店に卸す自転車の一部を組み立て始めた。現在、167人の従業員がいる。
同社は来年、この工場を拡張し、中国からカット済みのスチールパイプを輸入して塗装と溶接を行う予定だった。新たに30〜40人を増員する計画もあった。同社が世界中で販売する年間約300万台の自転車のうち、約30万台をここで組み立てている。
「関税が話題になり始めたとき、材料のパイプが関税の対象になることを確信し、計画を中止した」。同社の過半数株式を保有し、30年余り前から最高経営責任者(CEO)を務めるアーノルド・カムラー氏はこう語る。同氏はタイやベトナム、カンボジア、フィリピン、台湾などを巡り、関税の影響を受ける中国製品に代わる新たな仕入れ先を探しているという。
「このような状況では米国に雇用を戻すことはできない」とカムラー氏は言う。「東南アジアの国々に雇用を移転しているだけだ」
トランプ政権は関税の狙いを、中国企業に米競合企業を上回る優位性をもたらす不公正な貿易慣行に対抗するためだとしている。米製造企業の一部では、関税の影響で顧客がサプライチェーンを見直したため、売上高が伸びたという。
製造請負会社アライド・テクノロジーズ・インターナショナル(本社オレゴン州テュアラティン、従業員57人)では、昨年に比べて受注数が30%増加した。「関税による価格ショックに加え、もっと重要なのはサプライチェーンにリスクが生じたことだ」。同社のトーマス・ビジュー・アイザックCEOはそう話す。
対中関税についての最新の動きとして、米国は2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品(自転車と自転車部品も含まれる)に対する10%の追加関税を9月に発動した。年末には税率が25%に引き上げられる予定だ。これまでに鉄鋼やアルミニウム、竹製の家具、旅行かばんをはじめ、計2500億ドル相当の中国製品が関税対象となった。これに対し、中国は1100億ドル相当の米国製品に報復関税を課した。
だが国内に生産拠点を戻した米製造企業は、関税によってコストが上昇し、自分たちの競争力が低下しているとこぼす。
「ここで何かを作るのは難しい」とJLオーディオ(従業員約500人)のバイスプレジデント、マンビル・スミス氏は話す。「政府はわれわれを苦しめるのではなく、助けてくれればよいのだが」
スミス氏やその他の小規模な製造業者は、現行の関税ルールでは自分たちが不利になると主張する。同じ部品を使う中国製の最終製品の多くは、そうした税金を払わずに米国市場に入ってくる。そのため、中国製のスピーカーが関税を免れる一方で、JLオーディオのフロリダ工場で組み立てたスピーカーは来年、主要部品に対して課される25%の関税に直面するという事態が起きる。欧州製スピーカーも同様に、たとえ中国製の部品を使っていても関税を回避できるだろう。
ピーターソン国際経済研究所によると、最終製品を作るための部品や材料である中間財は、関税対象となる2500億ドル分の中国製品の約半数を占めている。
ただ、米国が輸入する残りの2670億ドル相当の中国製品にも関税を発動するという米政権の脅しがもし実行されれば(米消費者への影響に配慮し、この措置は今のところ回避されている)、中国からの最終製品は、中国製部品を使う米国製品に対する優位性を失う可能性がある。
米国通商代表部(USTR)は本記事に関するコメントを差し控えた。
関税の負担がのしかかる企業は、コスト上昇分を単に値上げで相殺するわけではない。企業オーナーの一部は、米国工場の拡張計画を先送りにするほか、製品の種類を減らしたり、工場の海外移転を検討したりしている。
「米製造業全体が、短期的には関税のつけを払わされている」。製造企業の国内回帰を促進する非営利団体「リショアリング・イニシアチブ」の創設者、ハリー・モーザー氏はこう話す。
ドナルド・トランプ大統領が「貿易赤字を減らし、製造業の雇用を国内に戻そうとするのは100%正しい」とモーザー氏は指摘。だが「その目的を達成するために彼が選んだのは、最適の手段ではなかったとわれわれは感じている」
ケント・インターナショナルは1991年にニュージャージー州カーニーの工場を閉鎖。コスト削減のため、中国に生産拠点を移し、自転車生産台数の約半数をそこで製造していた。カムラーCEOが米製造業を後押しするウォルマート後援のイベントに出席した後、同社はサウスカロライナ州に工場を新設した。ウォルマートは同社にとって最大の顧客でもある。
ウォルマートはUSTR宛ての書簡で、中国製の部品に対する関税は、国内回帰を促進する同社の取り組みを「阻害する可能性がある」と訴えた。「現政権は米国の製造業と雇用の拡大を目標に掲げているのに、中間財に関税を課すというのは理屈に合わない」とした。
JLオーディオは1990年代に小型車載スピーカーの生産を始め、2000年代初めにウーファー(低音再生用スピーカー)の低位機種の生産を国外に移転した。その後、技術の保護と製品の品質向上のために国内に拠点を戻し始めた。製品の販売価格は最高で1万6000ドルだ。売上高の約45%を占める電子機器や低位機種のカーオーディオは今も中国で生産している。
同社は今夏、米国での生産体制の拡大を視野に3万平方フィート(約2800平方メートル)の敷地を追加で賃借した。またフロリダ工場を2シフト制にし、船舶用スピーカーの新たな生産ラインのために中国から機械設備を購入した。
関税発動の影響でこの機械設備の購入費用が5万ドル上昇した。さらに9月、鍛造金属部品や被覆ワイヤなどの部品に対する支払金額が10%高くなった。同社は最近、顧客に値上げを通知した。関税が25%に引き上げられた際は、さらなる値上げの可能性があると注意を促した。
同社バイスプレジデントのスミス氏は「ここで偉大な製品を作ることが当社の願いだ」と言う。「だが利益が出なければ、実現に向けた別のやり方を模索せざるを得ないだろう」
https://www.msn.com/ja-jp/news/other/米国の対中関税、国内回帰した米工場を直撃/ar-BBOoDii
空洞化して久しいので、支那製品だけを引き離そうとすると製品が完成しなかったり競争に負けたりと色々ある様です^^;;
米国と支那との冷戦は避けられそうにないです。
出来る限り支那からの調達販路を変更する事をお勧めします。
これは米国だけでなく日本も同様です。
支那に付く企業はこのままでいいでしょうが、米国市場を失います。
それだけなら問題無いですが、米ドル口座を凍結されたら最悪です。
世界に金融を支配しているのは米ドルだという事をお忘れなく^^;;
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