もうなんの反応もしてくれなかつたし
目もあけてくれなかったけれど、
とても幸せな終焉を迎えるのはたしか。
ひろい個室でレースのカーテンが中庭の風を静かにはこんでくれて
母の手はやわらかくとてもきれいで、ふっくらしていた。
職員の方たちもとても感じよく笑顔で
いま、みんなの悩みの種は弟
お母さん子の弟は会社が終わるとすぐ母を訪ね、
足をさすつたり顔をふいたりしているという。
係の方が、足をそんなに強くもむといたいですから
といっても、聞かない。
困ったものだ。
これでもし母が逝ってしまったら 弟はどうなるんだろう
そんなことを心配しながら弟のつれあいとため息をついて
帰ってきた。
私にはとてもあんなきれいな逝き方はできないだろうな。
母はしあわせだつた。
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