いま子どもたちは、「キレル」といいあらわされる、やりきれない思いのいっぱいつまっている心をかかえ、その思いをあらわすことにとまどい、そして、言葉にもできずにいると思えてなりません。
そんな子どもたちに、豊かな人間性をもってもらいたいという思いをこめて、詩を紹介したいのです。
子どもたちが、ながい年月と日々の生活の大半の時間をすごす、学校での教育のなかで、思春期前期の子どもたちの思いに応えるような、生きることや人間について学ぶ教科はありません。
「道徳教育」と名づけた、しつけ教育はなされていても、人間の生きかたなどを学ぶことは、学校教育のなかからはずされているのです。
子どもたちが、生きることの意味について思い悩み、人間とはなんだろうと考え、自分自身を見つめるようになったときに、一遍の詩をそっとさしだしたいのです。
子どもたちに詩を紹介したいのは、生きるとはどういうことか、人間とはなにかと、子どもたちの心のなかで育っている気持ちに、詩は応え得るものであると思うからです。
詩は言葉の芸術です。
言葉の魔法、といってもいいでしょう。
ほかの文芸作品が、たくさんの文章を使って、ものごとの意味を伝えようとするのに対して、詩は、たった一つの言葉で、あらわすことができます。
それは、詩の世界が、言葉のイメージで作られているからです。
子どもたちに、言葉の芸術ことばの魔法である、詩にであわせることによって、すこしでも心の思いをあらわすことができるように、言葉を使う力を育ててあげたいとも思います。
それとともに、子どものために書かれた詩は、おとなも癒されます。
それは、子どもの詩には、向日性があるからです。
お子さんに、詩を読んであげたいと思われる方と、ご自身が子どものために書かれた詩を読んでみたいと思われる方のために、子どもが書いた詩、子どものために書かれた詩を紹介します。