1927年フランクフルト国際現代音楽協会フェスティヴァルに於いて、フルトヴェングラー指揮、バルトーク本人がピアノを演奏する彼のピアノ協奏曲第1番の初演が行われた。このときホーレンシュタインは、フルトヴェングラーのためにオーケストラの下稽古を行い、そのときの印象を後に彼自身が英語で語ったテープが現存する。下記はその一部の邦訳である。
バルトークはいってみればハンガリー版ヴェーベルンといった態で、とても几帳面な音楽的原則であり、人間というよりはむしろ歩く百科全書だった。対照的にニールセンは人間的以外の何者でもなく、ヤナーチェクに至っては、オーストリアかチェコの旅館か喫茶店のオーナーという感じで,ウェストコートにチェーンをぶら下げたブルジョワ、ただし中の下のそれだが、とにかく彼はブルジョワだった。
フルトヴェングラーが到着してから行なったリハーサルは二度。一度はドレスリハーサル,一度は私が彼のためリハーサルしているのを彼が見ていた。私はフルトヴェングラーに注目されたくて、オーケストラを何度も止めて注意を出した。だが後でフルトヴェングラーに「君は一曲を通して演奏することの大切さを過小評価している」と駄目だしされた。これはいい教訓になった。
このようにユーモラスに語る彼の紡ぎだした音楽は、しかし、フルトヴェングラーを中心として見ればその時代精神やパラダイムに忠実である。今の標準からすると古臭いくらいかもしれない。だが彼のこのインタビューを甘く見てはいけない。音楽の巨匠たちの作曲した数々の曲をホーレンシュタインがその手にかけるとき、密かにこのインタビューと同じようなシニカルな音色が忍び込む。
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