アリ-(Alli)は2007年2月に米国食品医薬品局(FDA)に認可された、処方箋薬Xenical(orlistat)のOTC(OVER THE COUNTER)と呼ばれるカテゴリーに入る薬です。
一般の人が、サプリメントのように医師への相談なしに購入できる薬なのですが、非処方箋ダイエット薬でFDAが公認したのは このAlliが初めてです。
医師の判断を必要としない安全性とダイエット効果の両面をアメリカ政府が公認したことになります。
Alliの成分は、 すでにアメリカで認可販売されている処方箋薬Xenicalと同じorlistat(オルリスタット)で、Xenicalは1カプセルでorlistatが120mgであるのに対してAlliは1カプセルが60mgと、成分が半量になっています。
2003年の日本の厚生労働省による「医薬品安全性情報Vol.1 No.38 (2003. 12.26)」でもオルリスタットの有効性と安全性が確認されていますが、xenicalの場合は、人によっては常にお尻から油が流れ出して外出できないといったような人がいたため爆発的に普及することはありませんでした。
Alliはこれを半量に抑えたためヒットしたのですが、xenicalが油分を30%カットするのに対し、 alliも25%とさほどかわらないのも魅力です。
ちなみに、orlistatは体に必要なミネラルやタンパク質、炭水化物には影響を及ぼしません。 ただし、油に溶ける一部の油脂性ビタミンがいっしょに便に排出されてしまうためマルチビタミンを併用するように呼びかけています。
orlistatには、胃腸の中の「リパ−ゼ」と呼ばれる脂肪分解酵素の働きを長時間にわたって抑える働きがあり、 orlistatは食欲を抑制するのではなく、体内での脂肪の吸収を抑える事によってダイエット効果を発揮します。
従来のダイエット薬のような食欲抑制を行うものではありません。
orlistatは腸内に作用し約20〜30%(投与量により異なる)の脂肪の吸収を妨げるメカニズムをもったお薬です。
そもそも食事による脂肪は小さな脂肪酸が集まった大きな分子で、体内に吸収される前にリパーゼと呼ばれる酵素によって分解される必要があります。つまりリパーゼの働きを抑制すれば脂肪は体内に吸収されることなく、体外に排泄されるというシステムなので、極めて合理的なダイエット作用が期待できます。
巷に出回っているダイエットサプリは勿論、今まで開発されたダイエット薬とは根本的に異なります。
脂分に限らず摂取した栄養の大半は小腸で分解、吸収されますが、胃で分解したトリグリセリドの状態では分子が大きすぎて小腸壁を通過できません。このとき、リパーゼがトリグリセリドをグリセロールと脂肪酸に分解して吸収させる働きをします。orlistatはトリグリセリドが分解される前にリパーゼと結合してしまうために、リパーゼによって分解されるはずのトリグリセリドは吸収されずに、そのまま排出されます。
したがって食事と一緒にorlistatを服用すると、orlistatがこれら脂肪分解酵素の働きを妨げ、食事で摂取した脂肪の約25%が消化吸収されない様になります。
余分な栄養分を体内に吸収させずに体の外に出してしまうのが特徴で、体内で吸収されなかった脂肪は便とともに排泄されます。
orlistatを服用した最初の 1 週間ぐらいは、軟便になる事があり、一部の脂溶性ビタミンの吸収を阻害するので、マルチビタミンの併用が勧められています。
米国食品医薬品局(FDA)によると臓器移植を受けた人は、服用しないように、また血液の抗凝固薬を服用している人、糖尿病、甲状腺疾患の人も、事前に主治医に相談するように注意しています。
一日に三度、食事中もしくは食後一時間以内に1カプセルを水で服用して下さい。
orlistatを服用する時は、果物や野菜をたくさんとり、バランスのよいカロリーコントロールした食事をして下さい。 一日の脂肪、炭水化物、蛋白質の摂取は、三度の食事にバランスよく分けて摂取してください。 また、スナック菓子など脂肪分を多く含む間食を避けて下さい。
orlistatは食事に含まれる脂肪に対して作用しますので、食事をとらなかった場合には、服用する必要はありません。
orlistatはすぐに体重を減らす薬ではありません。長い時間をかけて、運動と健康的な食事を組み合わせて減量するために開発されたお薬です。
○含有成分
主成分:Orlistat(オーリスタット) 60mg Alli
120mg Xenical
脂肪分解酵素リパーゼ阻害剤
その他:結晶セルロース、グリコールスターチナトリウム、ポビドン、ラウリル硫化ナトリウム、タルク
○効果・効能
食後、脂肪分を腸から吸収されるのを防ぎ、分解前のまま25%以上を便と一緒に体外へ排出させます。脂肪は蛋白質や炭水化物よりも高カロリーなので、効率の良いダイエットが出来ます。便と一緒に排出される脂肪分の多さに驚かれる程、効果は強烈です。ただし脂溶性のビタミン類の吸収も阻害される可能性があります。
○使用方法
食事中から遅くとも食後1時間以内に、水と一緒に服用します。 コレステロールの代謝が活発になるのは夜なので、夕食後の服用がより効果的と思われます。
※一部のビタミン吸収も妨げますので、マルチビタミン各種との併用を推奨致します。
○副作用
・ビタミン不足(特にβカロチン・ビタミンA・D・E・K)
・胃のもたれ、腸の不快感
・脂肪分が便と排出されるため、便の性質が変わったり、便通の回数が増えることがありますが、これ自体には問題はありません。
○服用に適さない方(以下の方は使用しないでください)
・胆嚢に異常がある方
・慢性の腸管吸収異常がある方(消化不良)
・妊娠中、または授乳中の女性の方
・他の体重減少を目的とした薬剤を服用されている方
・本薬剤にアレルギーがある方
・拒食症等の摂食異常がある方
○注意事項
・orlistatは脂肪と融合しやすい栄養素の吸収を妨げてしまいます。特にベータカロチンとビタミンEは吸収されにくくなるので、野菜や果物をたくさん摂取するバランスのよい食生活を心がけて下さい。
・妊娠中の方、これから妊娠する予定のある方は医師に相談して下さい。
・授乳中の女性は母乳にどのような影響を与えるかわからないので、服用しないで下さい。
○その他
・トイレ掃除が大変になります。汚い話で恐縮ですが大量の脂肪が吸収されずに便として排泄されますので便器は油まみれになります。
・あくまで脂肪の吸収を阻害するものなので、食べた脂肪はそのまま排泄されますが、デンプンと蛋白質はしっかり吸収されるので、安心して食べ過ぎると意味はありません。
絶食などの無理なダイエットをせずとも良いというだけで、カロリー制限は必要なことです。
困ったときには