■ミルドレッド・ベイリー
■ジャズ・シンガー
ヒット曲にちなんで『ロッキンチェアー・レディ』という愛称で親しまれた。
1907年2月27日、ワシントン州テコワにインディアンの血を受けて生まれ、ローカルラジオ局で歌い始め、1929年、ポール・ホワイトマン楽団の歌手として起用され初吹込みをしている。
ジャズ・ヴォーカリストを名乗る白人女性などいなかった時代に、彼女は黒人ブルース歌手のレコードやジャズメンの演奏を聴いて,ジャズのスピリットを体得した白人初のジャズ・ヴォーカリストだった。
33年に独り立ちとなって、ベニー・グッドマンの吹き込みに加わった後、サイロフォンによるジャズの草分けだったレッド・ノーヴォと結婚、1930年代なかばには【Mr. and Mrs. Swing】と呼ばれ、ノーヴォのバンドや彼女自身のコンボで活躍し数多くのレコードを残している。
同じ時代に名を上げた、かのビリー・ホリデイやリー・ワイリー、エリントン楽団の専属歌手だったアイヴィ・アンダーソンと並ぶ、ジャズ・シンガーの大先駆者である。
そのユニークなヴォーカルスタイルは後進に大きな刺激と影響を与えたが、健康に恵まれず44才の若さで惜しくも世を去った。
彼女の艶のあるメランコリックな歌声は、今でも多くのジャズヴォーカル・ファンに愛されている。