● 東京都青少年健全育成条例改正問題についての簡単な解説 ●
<東京都青少年健全育成条例とは?>
正式名称は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(以下、都条例)です。超大雑把に言えば、「東京都当局が青少年に悪影響を及ぼすと判断した“不健全な作品”(いわゆる不健全図書)の販売を規制する」という条例です。
先日、石原慎太郎都知事と都当局は、今年3月に実施予定の都条例改正によって暴力描写などの反社会的表現を含んだ作品への規制強化と共に、児童ポルノ撲滅運動の一環として「非実在青少年」による性的表現を含んだ作品も規制していくという方針を表明しました。(石原都知事の答弁。ニコニコ動画版 ・ Youtube版)
<「非実在青少年」とは?>
東京都当局による新造語です。「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」を指します (はてなキーワード)。要するに年齢設定が18歳未満である少年/少女のキャラクターの事です。また、たとえ成人のキャラクターであっても、外見上が18歳未満であればこの定義に含まれる可能性があります。
もし都当局が示した原案通りに都条例が改正された場合、今年の7月1日(施行日)から少年/少女のキャラクターの下着姿・裸体姿・性描写が含まれた作品のうち、都当局から「不健全」と裁定されたものは「不健全図書」として規制を受ける事になります。
<この改正案を考えたのは一体誰?>
東京都の諮問機関「東京都青少年問題協議会」(以下、青少協)です。この青少協は、児童ポルノ法改正による漫画・アニメ・ゲームの規制の必要性を強硬に主張している警察関係団体幹部、キリスト教団体顧問、大学教授、PTA会長などの委員ばかりで構成されています。ちなみに青少協で行われた都条例改正案の議論では、数多くの差別発言と暴言が飛び交っていた(例:「オタクは認知障害者」)事が一次資料で明らかになっており、大きな波紋を呼びました。詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい。
<この改正案で規制されるジャンルは?>
漫画、アニメ、ゲーム、映画、小説、つまり全ジャンルです。
<規制されるのは成人向けの作品だけ?>
成人向けから一般向けまで全ての作品が規制対象になります。少年向け、少女向け、青年向け、レディース向け、ボーイズラブ(BL)等々、例外はひとつもありません。特に都当局は、以前から成人向け漫画と同じようにBL漫画も問題視している為に(青少協でもBL漫画を批判する声が上がりました)、改正案成立を契機にしてBL漫画を徹底的に締め付けてくる懸念があります。詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい。
<声優の演技まで規制?>
18歳未満の少年/少女のキャラクターを表現した声によるセクシャルな演技が含まれるアニメ、ゲーム、ドラマCDなどが、不健全図書として規制される可能性は大いにあります。なお、音声までをも規制対象とする事になったのは、キリスト教団体「ECPAT/ストップ子ども買春の会」の顧問である青少協委員(元警察官僚)が強く働きかけたからではないかと指摘されています。その根拠として、「ECPAT/ストップ子ども買春の会」が10年以上前から政府に対し、児童ポルノ禁止法に絵と文章、そして音声を含めるように要求し続けているという事実が挙げられています。 (参照)
<同人誌や同人ソフトも規制?>
青少協で行われた都条例改正案の議論の中で、都当局の担当者が「企業ではなく個人が発行している同人誌や同人ソフトを審査し、規制する事は事務的に難しい」といった趣旨の発言をしていますが、何らかの形で規制をかけてくるものと思われます。最も可能性が高いと指摘されているのは、東京都内で同人誌即売会を開催する事への規制です。コミケット準備会もその点を危惧しているようです。 (参照)
<東京都の規制だから他県には関係ないのでは?>
厄介な事に、この規制の影響は全国に及びます。都当局から不健全図書として処断された作品は、流通会社が取り扱わなくなる為に他県での販売が非常に難しくなるからです。これはこの国の特殊な流通事情が原因です。 (参照)
<規制に反対するのにはどうすれば良いのか?>
詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい。都議に反対意見を伝える為の各手段の効果を単純に比較すると「直接陳情>電話>手紙・葉書>電子メール」になります。現在、各都議のもとに電子メールが殺到している状態だという話なので、手紙か葉書を送った方が目に留まる確率が高いです。FAXは厳禁です。都議側に経費的負担をかけるので絶対に止めて下さい。
次回の審議開始は3月30日、残り時間はあと僅かです。
ちなみに、管理人は元オタクですので、あしからず...
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