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ペット遺伝病コミュの犬遺伝病12 白内障 Cataract

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犬の眼疾患の中でも特に多く発生するもののひとつ。
多くの型があり、それぞれ原因も異なる。
全犬種および全年齢層において罹患しうるが、特定の犬種に特徴的な型も存在する。
白内障の治療法は外科的手法のみであるが、施術する対象を正しく選択すれば予後は良い。

■白内障とは何か?

水晶体(カメラでいうレンズ)を構成する繊維の配列が乱れるために、水晶体が白くにごるまたはひび割れた氷のような様相を呈する。

■核硬化症 Nuclear sclerosis

診療の現場では、高齢な飼い犬の白内障を訴える飼い主に良く遭遇するが、それらの多くは白内障ではなく、核硬化症という正常範囲の経年変化である
核硬化症では水晶体が少し灰色がかったように見える。これは両眼において同時に認められ、6歳以上の犬に多いが、視覚に大きな支障をきたすことはなく治療はほとんど必要ない。

■白内障はどのようにして起こるか?

白内障にはいくつかの原因と型があるが、それぞれの発症機序は似ている。
水晶体では水を水晶体外に排出するポンプ機構のおかげで、水分含量が通常低く保たれている(水分66%、たんぱく質33%)
この機構が障害されたとき、水晶体に入ってくる水分が増加し、また、不溶性のたんぱく質が増えるために、水晶体が濁る。

■発症年齢

発症年齢によって白内障のタイプを分類する。特定の犬種では、遺伝性かどうかも判断できる。

※先天性白内障
生まれつき発症しており、たいてい両眼に認められる。生まれつきだからといって必ずしも遺伝病とは限らない(胎仔期の感染、中毒)。母乳を充分に摂取しなかった仔犬で発症することがある。

※発達(早発型)白内障
若齢で(6歳以下?)発症するタイプ。先天性白内障と同様に、必ずしも遺伝病ではなく、外傷、糖尿病、感染症、中毒などを原因としうる。

※老年性(後発型)白内障
6歳以上で発症するタイプ。犬では人ほどではないが、8歳以上で見られることが多い。核硬化症とよく混同される。

■遺伝性白内障

遺伝性白内障は他の疾患に関連して起こるもの(糖尿病など)と関係なく単独で起こるものがある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omia/335?ordinalpos=8&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Omia.Omia_ResultsPanel.Omia_RVDocSum

以下に遺伝性白内障を認める犬種および発症年齢を挙げる。

アフガン・ハウンド、6-12ヶ月齢
アメリカン・コッカー・スパニエル、6ヶ月齢
ボストンテリア、先天性
チェサピーク・ベイ・レトリバー、1歳齢
ジャーマン・シェパード、8週齢
ゴールデン・レトリバー、6ヶ月齢
ラブラドール・レトリバー、6ヶ月齢
ミニチュア・シュナウザー、先天性または6ヶ月齢
オールド・イングリッシュ・シープドック、先天性
シベリアン・ハスキー、6ヶ月齢
スタフォードシャー・ブルテリア、6ヶ月齢
スタンダード・プードル、1歳齢
ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル、先天性
ウエストハイランド・ホワイトテリア、先天性

■治療

一度白内障で混濁した水晶体を透明にする治療方法はないとされている。
外科的な水晶体の摘出および眼内レンズ(intraocular lens 、IOL)の移植が行われる。
技術および医療機器の向上により水晶体の摘出術はより一般的になりつつあるが、
まず手術の前に、外科治療の適応かどうかを見定めることが非常に重要である。
糖尿病の、また状態のよくない患犬は外科の適応にならない。また、白内障手術後に(一時的ではあるが)緑内障を発症する症例が30%にも上ることから、前もって隅角(眼房水の排出口)の検査が行われる。
時に、水晶体摘出はできても、眼内レンズの移植ができないこともある。

※N-acetyl carnosine 点眼薬

白内障を改善するとの報告がある。白内障の型によっては効果があまり認められないとされている。
「The effect of a topical antioxidant formulation including N-acetyl carnosine on canine cataract: a preliminary study」 Vet Ophthalmol. 2006 Sep-Oct;9(5):311-6.

■予後

手術の成功した犬では、完全ではないが正常に近い視力を取り戻す。成功率は90−95%。
しかし、手術後、瘢痕組織形成、緑内障、網膜剥離などで視力障害ないし失明を起こすリスクも少なからず存在する。
時には眼球摘出が必要になる場合もある(稀)。

ちなみに、水晶体摘出後に眼内レンズの移植ができなかった場合でも、視力が完全に失われるわけではない。
角膜において焦点調節(フォーカス)の3分の2が行われるためである。

白内障は眼内の炎症を引き起こす(水晶体過敏性眼内炎)。
白内障手術を行うかどうかは飼い主の選択によるが、手術を行わない場合、生涯にわたる抗炎症剤の点眼と、定期健診が必要である。水晶体過敏性眼内炎は緑内障や網膜剥離につながる可能性があり、また、白内障手術の成功率を下げる。 白内障を呈する水晶体の除去は早く行うほど良いとされている。

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