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心電図を読むのが好き!コミュの心筋梗塞で心室細動が起きるわけ

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僕が(20年以上前)医者になって半年を過ぎたころ、急性心筋梗塞の患者が内科病棟に担ぎ込まれてきました。その病院は、市内の唯一の総合病院でしたが、CCUはありませんでした。心電図ではII,III,aVF誘導でST上昇が認められて、典型的な下壁の心筋梗塞でした。心筋を栄養する冠動脈が閉塞したのでしょう。僕らは、血栓溶解療法として、ウロキナーゼを投与しました。(その当時、閉塞した動脈を再び血液が流れるようにする方法は、ウロキナーゼの静注しかありませんでした。急性期にカテーテルで治療することは、まだ、ほとんど行われていませんでした。)そして、隣のナースステーションで観察していると、30分後、看護師に「先生!来て!」と呼ばれました。急いでベッドサイドに行くと、患者は「ウー」と唸って、体を硬くし、意識を失っていました。僕は「これは、心室細動だ!DC持ってきて!」と叫びながら、胸部圧迫を開始しました。DCというのは、Direct currentのことで、直訳すれば、直流電流のことですが、いわゆる電気ショックを与えるための機械、直流除細動器のことですね。看護師が持ってきた除細動器を患者の胸に当てて、通電すると、患者の状態が落ち着いてゆくのがわかりました。眼球は正面を向き、瞳孔は小さくなり、脈をとると触れることができました。1分もすると意識が戻り、そして心電図を記録すると、上昇していたSTレベルがほとんど基線に戻っていたのです。僕は、血栓が溶けて、閉塞していた冠動脈が再疎通したのだと確信しました。モニターの記録紙をあとから確認すると、確かに、心室細動がおきており、電気ショックの後、正常な心拍に戻っていました。(僕には、対処する間、モニターの波形を確認している余裕などまるでなかったのです。)

多くの医療者は同じような経験をしているのではないでしょうか。

このような経験を通じて、僕らは、心筋梗塞は心室細動が起きやすいのだから、目を離してはいけないんだということを肝に銘じているわけです。

では、なぜ、心筋梗塞では心室細動が起きやすいのでしょうか?

このトピックでは、心筋梗塞で心室細動が起きる理屈が、現時点で一般的にどのように説明されているのか、しらべて行きたいと思います。

コメント(13)

再灌流障害の心室細動ですよね。
CCUができて予後が良くやったのは、不整脈死が減ったからだとききました。

あんまり考えたことなかったです。ちょっと調べます!
「Braunwald's Heart Disease」は、循環器医のほとんどが持っている教科書ですが、そこには、以下のように書かれています。

"Within the first minutes after experimental coronary ligation, there is a propensity to ventricular arrhythmias that abates after 30 minutes and reappears after several hours. The initial 30 minutes of arrhythmias is divided into two periods, the first of which lasts for about 10 minutes and is presumably directly related to the initial ischemic injury. The second period (20 to 30 minutes) may be related either to reperfusion of ischemic areas or to the evolution of different injury patterns in the epicardial and endocardial muscle. Multiple mechanisms of reperfusion arrhythmias have been observed experimentally, including slow conduction and reentry and afterdepolarizations and triggered activity."

つまり、虚血による障害と再潅流による障害が不整脈を起こしやすくする。そして、再潅流にともなう不整脈の多様なメカニズムが実験的に観察されていて、そこには、伝導遅延とリエントリー、そして、後脱分極と誘発活動が含まれる、としています。

さらに、以下に進みます。

"At the level of the myocyte, the immediate consequences of ischemia, which include alterations of cell membrane physiology, with efflux of K+, influx of Ca2+, acidosis, reduction of transmembrane resting potentials, and enhanced automaticity in some tissues, are followed by a separate series of changes during reperfusion. Those of particular interest are the possible continued influx of Ca2+, which may produce electrical instability; responses to alpha or beta adrenoceptor stimulation, or both; and afterdepolarizations as triggering responses for Ca2+-dependent arrhythmias. Other possible mechanisms studied experimentally include formation of superoxide radicals in reperfusion arrhythmias and differential responses of endocardial and epicardial muscle activation times and refractory periods during ischemia or reperfusion. The adenosine triphosphate–dependent K+ current (IK.ATP), which is inactive during normal conditions, is activated during ischemia. Its activation results in a strong efflux of K+ ions from myocytes, markedly shortening the time course of repolarization and leading to slow conduction and ultimately to inexcitability. The fact that this response is more marked in epicardium than in endocardium leads to a prominent dispersion of repolarization across the myocardium during transmural ischemia. At an intercellular level, ischemia alters the distribution of connexin43, the primary gap junction protein between myocytes. This alteration results in uncoupling of myocytes, a factor that is arrhythmogenic because of altered patterns of excitation and regional changes in conduction velocity."(Braunwald's Heart Disease 8th Edition)

つまり、細胞からのKイオンの流出、カルシウムイオンの流入、静止電位が浅くなること、異常自動能などが、その原因として挙げられていて、さらに、ATP感受性Kチャンネルの活性化によって、Kイオンが流出し、伝導遅延が起こるなどと書かれています。

しかしこれでは、あまりにも要約されすぎて専門用語の羅列になってしまっていて理解が難しいと思いますから、もうすこし、説明をおぎなうべきだと思います。

まずは、単純化して、Kイオンが流出すると静止電位が浅くなって、興奮の伝導が遅くなり、リエントリーが起きやすくなる、というところから始めたいと思います。
さて、Kイオンの話からはじめます。

細胞は、膜で覆われていて、イオンは自由に出入りすることはできません。細胞膜には、イオンを通す、穴があります。穴といっても、ただの穴ではなく、たんぱく質のトンネルのようなものです。イオンを通すたんぱく質には、いろいろな種類があります。たとえて言えば、イオンは人で、イオンを通すたんぱく質は乗り物だと考えてもよいでしょう。世の中には、人を運ぶ乗り物はいろいろなものがあります。自動車や飛行機も乗り物ですが、そりやヨットも乗り物で、さらにエレベーターやエスカレーターも乗り物です。それぞれ人を運ぶ性質が違います。イオンを通すたんぱく質は、いろいろな種類があるだけではなくて、環境によって形を変え、性質を変えます。たとえば、膜の内側と外側の間に電圧をかけると、その電圧によってイオンの流れやすさが変わります。先程の乗り物のたとえで言えば、冬のゲレンデでは、そりはいきおいよく人を運ぶことができますが、夏の草の生い茂ったゲレンデでは、まるで滑らなくなってしまうようなものです。(あまり、たとえがよくないなあ。きっと、あとで書き直します。)

このようなたんぱく質のトンネルの複雑な性質のおかげで、結果として、細胞の内側と外側では、イオンの濃度がまったく違ってしまっているのです。乗り物の話をすれば、新幹線の終点がみんな東京になっているから、人も東京に集まっているようなものです。(これは、風刺が効いてなかなかいいたとえじゃありませんか?でも、細胞に置き換えることができないからだめか。涙

Kイオンだけの話をしますと、Kイオンは細胞の中では濃度が高くて、細胞の外では濃度が低くなっています。
ぶたちん先生、おはようございます。
丁度、今、RN〜BSNの大学のクラスで、Physiologyを取っていて、これから、筋肉、心臓のところがテストです。L-type calcium channel, F-type sodium channelは、?ちんぷんかんぷんで、今の教科書は絵が少なくて分かりにくい。今日、今からテストを受けようと思っているのですが、ここはとばしてしまおうかと思っています。(笑)

講義、待っています。
F-typeってのは知らないです。

残念ながら、ゆっくりしか書きませんよ。他にも、やることがあって忙しいんです。

L-type calcium channelは、静止電位が浅いところで開き、流入は遅い、fast sodium channelは、静止電位が深いところで開き、流入は早い。障害心筋ではL-type calcium channelがメインになるので、流入が遅くなり、伝導速度も遅くなる。リエントリーが起きやすくなる。っていう説明も、きっとちんぷんかんぷんでしょうね。

まあ、ゆっくり書きます。
細胞内の方が、細胞外よりもKイオンの濃度が大きいという話をしました。

つまり、細胞内にKイオンが多いってことです。

もし、ここで、細胞にKイオンを通す穴が開いたら、どうなるでしょう?

普通は、細胞内と細胞外のKイオンが同じになるように、Kイオンが細胞内から細胞外に移動すると考えますよね。こういうのを「拡散」っていうんだって、中学校の理科で習いましたよね。

ところが、そうはならないんですよ。そうはならないっていうのは、Kイオンを通す穴が開いても、細胞内と細胞外のKイオンの濃度は一定にはならないってことです。
なぜ、細胞にKイオンを通す穴が開いても、細胞内のKイオンと細胞外のKイオンの濃度が同じにならないかというと、Kイオンを細胞内に引き戻すような力が働くからなのです。

それは、電気による引力です。

Kイオンは、プラスの電荷をもちます。ですから、マイナスの電荷を持った粒子に引き寄せられるのです。

細胞にKイオンを通す穴が開きましたが、陽イオンであるKイオンが細胞内から細胞外に流出すると、細胞内には陰イオンが残ることになり、Kイオンを細胞内に引き寄せることになるのです。

つまり、濃度による拡散の力で、細胞内から細胞外に出ようとするけれど、電気の引力が働くので、出るに出られない、ということになるのです。

細胞内から、陽イオンがたくさん出て行って、細胞内に残された陰イオンの数が多くなるほど、陽イオンは出て行きにくくなるのは容易に想像がつきますね。

細胞内と細胞外の濃度の違いが大きいほど、拡散によって細胞内から細胞外に出て行こうとする力は強くなります。

ですから、ある程度Kイオンが細胞内から細胞外に出て行くと、拡散の力と電気的引力とがつりあって、細胞内と細胞外の濃度が大きく違うにもかかわらず、Kイオンはそれ以上細胞外にはでて行かないということになるのです。

このように、細胞にKイオンを通す穴が開いても、細胞内と細胞外のKイオンの濃度は同じにはならないのです。

地方から東京に来た人々は、そのひとりひとりは本当はこんな窮屈な場所で暮らしたくはないと思っているけれども、そこで家族と呼べるような関係ができてしまうと、それを振り切って東京を離れることはなかなかできなくなってしまう。そんな感じでしょうか。
実際、刺激を受ける前の状態(静止状態)の心筋細胞では、Kイオンは自由に出入りできる穴が開いているのです。しかし、細胞内のKイオンの濃度は、細胞外のKイオンの濃度に比べて、圧倒的に高い。つまり、自由に行き来できる穴が開いているにも関わらず、Kイオンは、細胞内に多く、細胞外に少ないのです。

Kイオンの移動を妨げているのは、電気的引力です。細胞内と細胞外に電極を置いて、電圧を測定すると、70mVの電圧があることがわかります。そして、細胞内が、細胞外にくらべて電位が低い、つまりマイナスです。電線で橋渡しをすると、マイナスの電子は、細胞内から細胞外に流れようとするということです。細胞外にくらべて、細胞内は、陽イオンが少ない(あるいは、陰イオンが多い)ということです。

静止状態では、細胞内がマイナスなので、陽イオンは、細胞内に引き寄せられます。Kイオンは陽イオンです。だから、Kイオンは、細胞内に多くあるにも関わらず、電気的な引力のために、細胞外に出て行くことができないのです。
僕も最初よくわからなかったのですが、このマイナスとプラスが引き寄せられる力は、非常に大きいのですね。

最近話題の、「はやぶさ」に搭載されていたのは、「イオンエンジン」ですが、これは、イオンに電圧をかけて、加速させて噴出させることで推進力にするわけです。普通の化学エンジンは、酸化、つまり燃焼、によって得られた運動エネルギーを推進力に使うわけですが、イオンエンジンは、化学エンジンにくらべて圧倒的に単位燃料あたりに得られるエネルギーが大きいようですね。

まあ、何を言いたいのかというと、拡散という運動エネルギーに比べて、プラスマイナスで引き寄せられる電磁気力によるエネルギーの方が大きいのだということです。ですから、確かに、濃度は大事なのですが、イオンが流出したり流入したりするときにより大きく影響するのは、濃度差なのではなく、電位差なのだということです。
もうすこし言い換えれば、わずかなイオンの数の偏りが作る電位差が、大きな濃度差を維持するのだ、ということです。
ふだちん先生、

生物学における化学反応での量子化学と、物理学で扱われる量子力学は
もう完全にわすれているので誤解しているかもしれませんが。

9 において、はやぶさのイオンエンジンをKチャネルの話題の例題にされている点、
ちょっと飛躍がありすぎとおもいます。

生物学(生化学)でのイオンの議論は量子化学の範疇(イオン結合等を電子雲で考える)であり、
はやぶさのイオンエンジンはプラズマ化での量子力学に依存していると思います。

両方とも電荷が基本ではありますが。

P.S. コメントがあまりに少ないのでw、患者サイドからのコメントですw。
つっこみ、ありがとうございます。電荷による力が、極めて強いものなのだ、ということを言いたかっただけなのです。たしかに、飛躍のしすぎです。肝に銘じます。(でも、きっと、また、変なたとえ話をすると思います。そうしたら、また、つっこんでください。)
僕に、メッセージが来ました。

濃度差よりも、電荷による力の方が大きいのだ、という僕の説明を読んで、では、血清K濃度自体は重要じゃないのかしら?と思ってしまったようです。

そんなことはありません。血清K濃度は、ものすごく重要です。

誤解させてしまったのであれば、あやまります。話が長くて、なかなか先に進まないのがいけないのですね。

血清K濃度が高くなると、結果的に、細胞内と細胞外の電位差が小さくなります。細胞内と細胞外の電位差が小さくなると、興奮時にNaイオンの流入量が減って、心収縮が悪くなります。伝達速度も低下します。QRSの幅が広くなります。血清K濃度がある程度以上に高くなると、Naイオンが流入できなくなって、心臓が完全に止まってしまいます。というような話は、まだ、出てきていないのです。

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