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心電図を読むのが好き!コミュのWPW症候群

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管理人にメッセージが来ました。すこし内容を整理すると、

WPW症候群で、房室回帰性頻拍(AVRT)のある患者さんでは、デルタ波が認められたり、認められなかったりするけれども、どんな状況のときに認められて、どんなときには認められないのでしょうか?

という内容の質問だと思います。

一枚、僕が心電図を提示します。

これは、WPW症候群で、心臓電気生理検査をしているときの心電図です。並びが普通と違いますから勘違いしないでくださいね。カブレラフォーマットです。それから、aVRは、-aVRの間違いです。3拍目からは、心房で電気刺激しています。それで、頻拍が誘発されています。典型的な例だと思っています。

この心電図を参考資料として、議論してみたいと思います。

皆さんの書きこみをお待ちします。

コメント(35)

最初の2拍は、洞調律です。もちろん症状はありません。デルタ波が見えていますね。

最後の5拍は、房室回帰性頻拍です。このときは、デルタ波は見えていません。このとき、興奮は、心房->房室結節->心室->副伝導路->心房の順になっています。このような順の房室回帰性頻拍を、順行性(orthodromic)といいます。
勉強に参加させてくださいるんるん
デルタ波が最初2拍見えてて、房室回帰性頻拍になったら見えなくなる
というのは刺激伝導系の順番が変わるってことなんですか?
すみませんがく〜(落胆した顔)頭の中がゴチャゴチャですあせあせ(飛び散る汗)
洞調律のときは、洞結節->心房->房室結節->心室という経路の波形と
洞結節->心房->副伝導路->心室という経路の波形の2つの波形が合わさっているのです。

副伝導路を通る分が、デルタ波になるわけですね。

房室回帰性頻拍のときは、
心房->房室結節->心室->副伝導路->心房となるわけですから、
心室の興奮は、すべて、房室結節を経由して行われます。
副伝導路を経由して心室が興奮する部分はありませんね。
だから、デルタ波はなくなります。
そうそう。心房と心室をつなぐ筋肉は、普通は、房室結節しかないのです。
WPW症候群では、もう一本、副伝導路があって、それも、心房と心室をつないでいるんですね。

ちょっと不要な情報が入ってる図ですけど、参考にしてください。
WPWから上の様な房室回帰性頻拍になるような場合は

洞結節->心房->副伝導路->心室という経路はストップしてて

また薬とかで一時的な治療したらストップしていた経路が復活するということなのでしょうか?
普通の心臓では、洞結節から信号が出て、心房の中に伝わって心房が収縮します。心房に伝わった信号の一部が、房室結節を通って、心室に伝えられます。心房と心室の間を信号が通るのは、房室結節しかありません。

さて、WPW症候群では、房室結節以外に、もう一本、心房と心室をつなぐ筋肉が存在します。それが、副伝導路、あるいはケント束と呼ばれます。

WPW症候群であっても、普段はなんの症状もありません。脈も血圧もなにもかも、完全に正常です。ただし、心電図を記録すると、普通の人とは違います。

普通の心臓では、房室結節を通って、心室に信号が伝わるといいました。
WPWでも、この経路は、普通の人と同じようにあります。WPWでは、これに加えて、心房から、副伝導路を通って、心室の一部が興奮するのです。これは、普通の心臓の場合には、ありません。心室が、違う経路で興奮すると、当然、心電図に変化が現れます。それが、デルタ波と呼ばれる波形の変化です。

WPW症候群の人は、ときに、動悸発作を起こすことがあります。ちょっとした拍子に、ドキッとしたと思った瞬間に脈がものすごく速くなります。心拍数は1分間に150回から200回くらいになってしまいます。
心電図をとると、今度は、デルタ波は見えず、QRSは普通の心臓の人のものと同じになっています。RR間隔は一定です。いわゆる発作性上室性頻拍です。

このとき、なにが起きているかというと、信号がぐるぐる回っているのです。電気的信号は、心房から、房室結節を通って、心室に行きます。心室に行った信号は、普通は行き場がありませんから、心室の端まで行っておしまいですが、WPW症候群では、副伝導路があります。この副伝導路を通って、心房に戻ることが起きるのです。心房に戻った信号は、ふたたび、房室結節を通って、心室に行きます。心室から副伝導路を通って心房に戻ります。これが、ずーっと続いてしまいます。このような状態を、房室回帰性頻拍と言います。(5の図の点線の経路になります。)

副伝導路を信号が通過する方向だけが変わったわけです。
構造は何も変わっていません。

このような頻拍は、たいがいは、きっかけが必要です。多くは、心房期外収縮や、心室期外収縮が頻拍の引き金になります。

房室回帰性頻拍は、放っておくと何時間でも、何日でも続いてしまうことがあります。心拍数が極めて多い状態が、つづくと、心臓が悪くなります。心不全になって、危険な状態になることもあります。

房室回帰性頻拍は、いろいろな方法で止めることができます。
息こらえをして、自分で止めることができる人もいます。息こらえをすると、副交感神経が刺激されて、房室結節の伝導が悪くなります。頻拍が起きているときに、息こらえをすると、房室結節で一時的に信号が途絶して、頻拍が停止するのです。
くすりで止めるときも、ワソラン、アデホス、アデノシンなどを使うのは、一時的に、房室結節の伝導を悪くすることで頻拍を止めようという考えのもとに行われます。

房室回帰性頻拍が止まると、構造はなにも変わっていませんから、いままでお休みしていた洞結節からの信号で心房が興奮し、房室結節を経由して心室が興奮するのと、副伝導路を経由して心室が興奮する2つの経路が復活することになります。心電図では、また、デルタ波が見えるようになるわけです。
洞調律のときは、房室結節を通って心室に到達した信号と、副伝導路を通って心室に到達した信号は、どこかでぶつかります。ぶつかったらそこでおしまいです。消えてなくなります。

提示した心電図では、心房に置いた電極で、刺激をして、心房性期外収縮をシミュレートしています。

心房性期外収縮が起きると、タイミングによっては、副伝導路をその信号が通過できない、けれども、房室結節は通過できる、ということが起こりえます。副伝導路と房室結節の性質が違うからおきることです。すると、房室結節だけを通過して心室に到達した信号は、今度は、副伝導路のところまで到達します。さらに、副伝導路をさかのぼって、心房に達することができるようになります。さらに、その信号が房室結節を通って、ふたたび、心室に伝わる、ということが起きれば、もう頻拍になってますよね?
副伝導路を通った結果として、心室筋が興奮した分が、デルタ波になるのです。
ふだちん先生

お忙しいのにこんなにわかりやすい説明ありがとうございます。

頭の中のモヤモヤが消えていきました。

でも申し訳ありません。もう1つよろしいでしょうか。

頻拍がなんらかの期外収縮などで引き起こされたときの房室回帰性頻拍って順行性と逆行性のどちらになるのかってその時にならないとわからないものなんでしょうか?



副伝導路と房室結節の性質と期外収縮の入り方によるのです。

たとえば、心房期外収縮がおきて、その信号が、房室結節を通れず、副伝導路を通れる場合には、今まで述べた頻拍の信号の経路と全く逆の通り方で、頻拍が起きうるわけですね。

実際には、この方向の頻拍はおきにくいので、逆行性(antidromic, 逆方向性といったほうがよいように思いますが)と呼ばれるのです。

このときのQRSがどうなるかは、もうわかりますよね?
信号というのは、ただ、となりのまだ興奮していない細胞を興奮させる、ということなのです。

分かれるとかいうわけではありません。すべての細胞が興奮するように、となりへとなりへと伝わるだけなのです。

房室結節を通って心室に伝わった信号も、副伝導路を通って心室に伝わった信号も、同じように、まだ、興奮していない細胞がある限りは伝わっていくわけです。すべての細胞が興奮すればおしまいです。
心室がどのように興奮するのかに注目してください。

房室結節を通って、そこから、全ての心室が興奮する。このプロセスから普通のQRSが形作られるわけです。

WPW症候群での順方向性の房室回帰性頻拍中も、このようにして、心室が興奮するでしょ?

だから、デルタ波は見られません。
ふだちん先生ありがとうございます。

頭の中がスカーってしました電球

逆方向性のときはkeiさんのようにQRSは延長してVTに似たような波形になるとおもいます。

学生の頃はWPW症候群=デルタ波くらいしか覚えてなかったのでもっと勉強しとけばよかったです。

最近はなんで?なんで?って結構考えるようになりました。

昔と違って今は心電図の奥深さ、楽しさがわかるようになってきました。

こう思えるようになったのもこのコミュに出会えたのとふだちん先生のわかりやすい説明を読んだからです。

これは本当ですわーい(嬉しい顔)ありがとうございまするんるん
で、せっかくなので、もうすこし。

この心電図のように、デルタ波が見えてるWPW症候群を、顕性WPW症候群っていうことがあります。と、いうのも、デルタ波のないWPW症候群が多いからです。

デルタ波のないWPW症候群は、潜在性WPW症候群といいます。これは、心房から副伝導路を通って心室へという方向には、副伝導路が信号を通さないのです。ですから、デルタ波はありません。しかし、逆方向、つまり、心室から副伝導路を通って心房へという方向には、信号を通すので、頻拍発作は起こすのです。

潜在性WPW症候群は、心臓電気生理検査をしないと、(つまり、心臓の中に電極カテーテルを入れてみないと)はっきりした診断がつきません。

それから、時々しかデルタ波があらわれない、というWPW症候群は、間欠性WPW症候群と呼ばれます。
心電図も、もうすこし詳しく見ておきましょう。

3拍目から、8拍目までは、極端にQRS幅が広いです。心房をペーシングしているのに、まるで、心室ペーシングをしたときのようです。

これは、副伝導路のそばの心房をペーシングしているからです。デルタ波が極端に大きくなったと考えればよいでしょう。

ここから、心房期外収縮で、心房の興奮の方向が変わると、デルタ波の大きさが変わるんだということがわかります。

これは、診断に応用することができます。

デルタ波が小さくて、本当にWPW症候群かどうか、はっきりしないときがあります。そんなときは、ホルター心電図検査などをして、心房性期外収縮を探します。心房性期外収縮のときに、デルタ波が大きくなっていれば(小さくなることもありますね。)房室結節とは別に副伝導路がある可能性が高いということになります。逆に、心房期外収縮があっても、QRSが全く変化していないときは、すくなくとも、WPW症候群の可能性はかなり低いということになるわけです。
さらに、洞調律のデルタ波の波形から副伝導路の位置を知ることができます。

電極に向かってくる興奮は、心電図では、上を向いた波形になり、
電極から遠ざかる興奮は、心電図では、下を向きます。

まずは、前後方向を見ます。

V1、V2を見ると、上を向いています。つまり、後ろから前に興奮が進んでいます。心臓は、右室が前に、左室が後ろにありますから、左室から右室に興奮が進んでいるということになり、副伝導路は、左室にあると考えられます。

つぎに、上下左右を見ます。

I誘導では、下を向いています。I誘導は左手の誘導ですから、左手から遠ざかる方向に、つまり左から右に興奮が進んでいることになります。
II,aVF,III誘導を見ると、上を向いています。これらの誘導は足の誘導ですから、頭から足の方向、つまり上から下に興奮か進んでいることになります。副伝導路は、左上にあります。

左室の左上ということになります。

左室側というのは、結局、僧帽弁輪ということです。

僧帽弁輪には、場所によって名前がついていて、歴史的に、左上とは言わず、前側壁(antero-lateral)と呼ばれています。

ということで、この副伝導路は、左前側壁(ひだりぜんそくへき)副伝導路が疑われるということになります。英語では、left antero-lateral accessory pathwayです。(英語では「壁」という言葉は入っていませんね。「左前側方」と訳すべきだったのではないかと思いますが、「側壁」というのが言いなれた言葉だったのでこうなったのだろうと思います。)

デルタ波が上を向いているか、下を向いているかをきちんと言うのが難しいことも多いです。

でも、この心電図のように、デルタ波がある心電図と、デルタ波のない心電図の両方があるときは、わかりやすいです。つまり、それぞれのR波の高さを比較すればいいのです。デルタ波のない心電図のR波よりも、R波が低くなっていれば、デルタ波は下を向いています。R波が高くなっていれば、デルタ波は上を向いているのです。
それ以外の治療としては、予防としては、たとえば、規則正しい生活をするとか、低カリウム血症をさける生活をするとか、発作時に停止させる方法としては、息こらえをするとか、冷水で顔を洗うとかですね。いろいろあるにはありますが、皆、効果は不十分ですね。

一般的なことを書いておきますね。

WPW症候群は、放っておくと何が困るかというと、人によっては動悸発作が起きること、動悸発作のある人では突然死する人がいることです。

ということで、治療の目標は、動悸発作を抑えることと、突然死を防ぐことです。

治療方法には、カテーテル治療(カテーテル心筋焼灼術とも、カテーテルアブレーションとも呼ばれます)、薬物治療、もうひとつ手術療法があります。

カテーテル治療は、副伝導路を高周波エネルギー(結局は熱ですが)を用いて変性させる治療法です。これは、成功率が95%程度、再発率が5%程度ですが、成功して再発しなければ、その後に追加で何かをする必要は全くなくなります。いわゆる根治療法です。残念ながら、カテーテルを体内に入れなければ行えない手技です。それから、副伝導路が房室結節のすぐそばにあったりすると、房室結節まで変性させてしまい、ペースメーカーが必要になってしまう場合があるので、そのような危険が予測される場合には、高周波通電できず、失敗(中止)に終わることがあります。

薬物療法は、根治療法ではありません。一つの方法は、薬を飲み続けて、発作を予防する方法です。フレカイニド(タンボコール)などを使います。もちろん、内服をやめれば、また、発作が起きるようになります。
もう一つの方法は、発作が起きたときだけ服用して、発作を停止させる方法です。しかし、この方法では発作が起きてしまいます。発作が起きれば、突然死する可能性も高くなってしまいますので、治療の目標に沿っているとはいえません。薬物の場合も、100%安全とはいえません。フレカイニドは、心収縮を抑制し心不全を悪化させ、場合によっては、他の致死性不整脈の原因になる場合があります。それから、すべての発作を抑制できるとは限りません。

もうひとつは手術療法です。胸を開いて、直接心臓を見ながら、副伝導路の場所を、メスで切ったり、冷凍凝固をしたりします。これは、カテーテルアブレーションが進歩したため、現在ではほとんど行われなくなりました。

治療のメリットとデメリットを勘案して、どういう人にどういう治療をするかが検討されています。現時点では、動悸発作がある場合は、カテーテル治療あるいは内服予防のどちらかを行う、というのが一般的です。動悸発作のない場合は、普通はなにもしません。普通は、と断るのは、たとえば、飛行機のパイロットなど、万が一の発作が、大惨事を引起しかねないような職業の場合には、発作が一度もなくても、カテーテル治療を行う場合もあるからです。
突然PSVT起こす人(普段は正常)の中にも潜在性WPW症候群の人がいるわけですよね。
潜在性WPW症候群はPSVT(WPWによる)の凡そ何%位いらっしゃるのでしょうか?
以外に多いと記憶しているのですが・・・
カテーテルアブレーションを受ける方については、どこかに統計があるのだと思います。1990年頃からカテーテルアブレーションが始まって、それまで、治療されずにいた人達がいっせいに治療を受けるようになりましたから、最初のうちは、カテーテルアブレーションを受ける方は顕性WPW症候群の方がかなり多かったです。最近はだんだん少なくなって来ていると思います。

平衡に達するまでにはもうすこしかかるかもしれませんから、そういった統計を見てもあまり正確なところはわからないと思います。

それに、顕性WPW症候群はすぐに発見されるのに、潜在性WPW症候群はなかなか発見されませんから、それも、影響を与えると思います。

ですから、どうせ大まかなことしかわかりません。発作性上室性頻拍は、WPW症候群と、房室結節リエントリーが、だいたい同数で、WPW症候群の中で、顕性と潜在性もだいたい同数だと思っていて、そんなに大きくは、まちがっていないと思います。
>30
ちょっと勘違いしているのかな?略語を使った文の意味が通じませんよ。
>28
ふだちんさん、有難うございました。
ついでにもう一つ
潜在性WPW症候群と房室結節リエントリーのPSVTを見分ける方法は、R-P間隔と
P-R間隔などをみて見分けると書いてある本を見たような気がしますが、簡単に
見分ける方法はありますか?(WPWの逆伝導や脚ブロックが無いものとして)
ナローQRSの頻拍発作は色々あるとは思いますがそれはそれとして。
QRS幅の狭い頻拍の鑑別につきましては、「頻脈」のトピックでかなり議論しましたので、参考にしてください。真ん中くらいのところに、あると思います。

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