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スーパーロボット レッドバロンコミュの第17話「悪魔の書いた話」

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【物 語・1】

 ロボット時代の21世紀直前、田舎の山間には、まだのどかに走る蒸気機関車が走っていた。サイクリングを楽しむ熊野が手を振れば、機関車は高らかな汽笛で応える。
 汽車を見送り、自転車を止めた熊野に、修理工場で働く健からの通信が入る。
「警部、どうですか?」
「お〜お、紅君か〜。天気は晴朗、気分は爽快、実に楽しい!汗と油にまみれている君たちに、この空気を送ってやりたいね。ふ〜っ!ふ〜っ!」
 マイクに小鳥のさえずりを聞かせ、空気を送る熊野。本当に楽しそうだ。

 健は大郷の眼を盗んで腕の通信機に小声で話し続ける。
「ものは相談なんですが、警部、何か事件ありませんか?」
「事件?」
「そ。僕のための事件」
 要は、健は修理工の仕事をちょっとサボって抜け出したいのだ。

 健を軽くあしらう熊野。
「おい紅君。若いうちからそんなこっちゃいかんよ。今は、一に仕事、二に仕事。わしの若い頃にはなあ…」
 長い説教がはじまりそうになり、あわてて話を切る健。
「ああ、もういいですよ。わかりました。わかりました」
 通信を終え、くさる健。
「ちぇっ、一人だけ休暇を楽しんじゃって。いい気なもんだよ」
「おい健、スパナ取ってくれ」
 大郷にスパナを渡しつつ、窺うように尋ねる健。
「ねえボス。我々の休暇は…いつですか?」
 勿論SSIの休暇という意味だろう。健の考えを見透かし、いたずらっぽく笑う大郷。
「休暇?へへん、残念でした。俺の辞書にはな…休暇という言葉はない!」
 健の望みをばっさりと切り捨てる大郷であった。

 山では急に雲は厚くなり、遠くから雷鳴が聞こえだす。
「紅君の恨みが通じたのかな?雲模様が怪しくなってきた。こりゃいかん」
 急いで退避する場所を探す熊野。そうこうしているうちに、たちまち稲光が頭上に走り出す。弱った熊野は手ごろなほら穴を見つけて退避する。
 ふと穴の外を見ると、雷鳴の轟く中、幼い少女が一人、大きな人形と戯れている。
「あ、危ない!」
慌てて外へ出ようとする熊野だが、崖が崩れてほら穴の入り口は落石で塞がれてしまう。暗がりで途方に暮れる熊野。
「えらいことになったぞ。止むを得ん。頼みはSSIだ」
 熊野は思い切って通信機のスイッチを入れる。

 相変わらず修理工の仕事に励む健。また通信機が鳴る。
「おお、紅君!助けてくれ!洞窟に閉じ込められてしまった〜」
「さすが警部!話が判る。ちょっと待って下さい」
 熊野の気も知らず、健は熊野が気を利かせて誘ってくれたとでもいうような喜びようだ。
「ボス…いや社長、大変です。警部が助けを…」
 健は真剣そうな表情を一生懸命作って訴えるが、大郷も慣れたものだ。
「そうかそうか、警部が雷にヘソでも取られたのか。…休暇はダメ!!」
 取り付くしまもない大郷。聞こえてきたやり取りに慌てる熊野だが、通信はあっさり切れてしまう。
「ちぇ、人が生きるか死ぬかという時に。もう奴らには絶対頼まんぞ!…しかし、弱ったな、こりゃあ」

 ほら穴の中でいつの間にか眠り込んでいた熊野。雷雲はいつの間にか過ぎ去っていた。
「…おじちゃん、おじちゃん」
 目覚める熊野。誰かが洞窟の外から声をかけている。
「おじちゃん頑張って。今助けてあげる」
「こりゃ、天の助け!」

 熊野を助けたのは、雷の下で遊んでいた少女だった。
「いや〜君に助けられるとは思わなかったよ。本当に、ありがとう。…君のお名前は?」
「あずさ」
「あずさちゃん!いい名前だ〜」
「おじちゃんは?」
「おじちゃんは、熊野一平。クマちゃんだ」
 あずさの爛漫な笑顔に、熊野もすっかり相好を崩している。

「ほらほら、つかまえるぞ〜」
 晴れ間の戻った野山で追いかけっこをして遊ぶ二人。熊野はあずさに追いつくと、高い高いをしてあげる。あずさもキャッキャと大喜びだ。

 この二人を遠くから双眼鏡で監視する目があった。
「警視庁科学捜査課の熊野だ。間違いない!」
 女山伏姿の鉄面党指揮官と、配下のメカロボ軍団だ。

 あずさを肩車してはしゃぐ熊野。だが、突然あずさが熊野を引きとめる。
「クマちゃん、そこダメ!ダメだってば!」
「ははは、大人をからかうもんじゃないよ」
 あずさがふざけているだけだと思っている熊野。あずさは咄嗟に手にしたぬいぐるみを草むらに投げつける。鋭い金属音と共に、狩猟用の鉄の罠がぬいぐるみを咥えこむ。ハッとする熊野。
「ごめんよ、言う事をきかないで」
 熊野の肩から降りて、しょんぼりとぬいぐるみのスヌーピーを見つめるあずさ。
「あたしのスヌーピー…」
 熊野は罠を外してスヌーピーのぬいぐるみをあずさに帰してあげる。スヌーピーを抱いて走り回るあずさ。感銘を受ける熊野。

━不思議な子だ…。私を守るために、山の神様が送ってくれた天使かな━

 熊野の帽子に花を飾るあずさ。熊野は語りかける。
「ははは、君はサンシャインだよ」
「サンシャインってなに?」
「お日様のことだよ。おじさんの心を温めてくれる」
「うふふ…あたし、クマちゃんのサンシャインね」
「そう、おじさんのサンシャイン」
 熊野はあずさの不思議な雰囲気に引きこまれていく。
「ね、クマちゃん。あたしお願いがあるの」
「何だい?君の言うことなら何でも聞いてやるよ」
「ほんと?」
「ああ、本当だとも」
「じゃ、げんまん」
 ちいさな小指を差し出すあずさ。
「よ〜し、げんまん」
「げんまん、げんまん、げんまん…」
 願いを熊野に語るあずさ。
「ねえクマちゃん、あたし、空を飛んでみたいの」
「え?空を?空を飛ぶ?」
「ねえクマちゃん、サンシャインのお願い、聞いてくれるでしょ?」
「空を…ねえ」
 思わず大きな空を見上げる熊野。

 大郷が熊野から再々度の連絡を受けたのは、SSI本部にメンバー全員が揃って、私服のティータイムを楽しんでいる頃だった。熊野はレッドバロンであずさの願いを叶えたいと申し出たのだ。
「え、レッドバロンを?」
「クマちゃん…あ、いや熊野一平、一生のお願いだ。頼む!」
 カップを配りながら、真理も勧める。
「健、行ってあげなさいよ」
熊野の一風変わった願い事に、最初は躊躇する健。哲也が後押しする。
「レッドバロンは本来戦闘用じゃなかったはずだぜ」
 大作も指を鳴らして同意する。
「こういうことに使ってこその、レッドバロンの使命じゃないのかな」
 大郷も笑顔でメンバーの会話を眺めながら、熊野に返答する。
「お聞きの通りですよ、行かせますよ」
 大郷は健に向かって合図する。
「健」
「はいっ!!行ってきます!!」
 大郷の許しを得て、急に満面の笑顔で飛び出していく健。苦笑する大郷。
「あいつ、休暇が欲しくてしょうがなかったんだ」
 呆れながらも得心する真理。
「どうりで。あの返事の良かったこと!」
 SSI本部に明るい笑いが広がる。

「来たぞぉ〜。ほ〜ら!」
 熊野があずさの目隠しを取ると、そこには颯爽と飛んでくる赤い巨人・レッドバロンの雄姿。あずさの顔が輝く。
「あ、レッドバロンだ!」
「そうだ。あれに乗って、自由に大空を飛びまわるんだ」
「クマちゃん…」
 心から感激したらしいあずさは、熊野の頬にかわいらしいキスをすると、レッドバロンに向かって駆け出していく。

 熊野に抱かれて操縦席に現れたあずさを、暖かく迎える健。
「やあ、いらっしゃい」
「こんにちは」
 あずさを自分の子のように紹介する熊野。二人に予備の座席を勧めながら、健は熊野をからかう。
「警部には不釣り合いですねえ」
「いやあ、この子に会ったお陰で、楽しい休暇になりそうだよ」
 ご機嫌な熊野。健はあずさがシートについたのを確認すると
「ようし、行こうか」
「空に行って、小鳥のように飛んでみたいの」
「OK!」
 あずさの願いを聞き届ける健。熊野もいっしょになってはしゃぐ。
「そ〜ら、飛ぶぞお〜!」
「バロンフライト」
 大空へ上昇するレッドバロン。監視を続けていた鉄面党の女山伏が不気味に笑う。その目的は…

「ねえ、もっと高く飛んで!もっと」
 あずさの言葉に従って、雲を突き抜け、大空をゆったりと遊覧飛行するレッドバロン。
「お姫様が雲のお城に行くみたい。クマちゃんは、じゃあ、あたしの家来ね」
「はぁい、お姫様」
 3人の笑顔を乗せたレッドバロンは、雲のお城を飛び回り、虹の世界を駆け巡る。それは少女の奔放な想像の世界か。

 夢のように楽しいひと時は過ぎ、地上に戻って来るレッドバロン。
「さあ着きました、お姫様」
 熊野は優しくあずさをシートから降ろす。
「ありがとお兄ちゃん、ありがとクマちゃん」
 あずさは二人にお礼を言うと、ハッチから外へ出る。
「いや〜紅君、無理言ってすまんな」
「いや、戦闘でなくて飛ぶのは、いい気持ちですよ」
 談笑する熊野と健。その間にレッドバロンの肩口へ出て、その展望に感激するあずさ。
「うわ〜、高いなあ〜」
 この僅かの瞬間を狙って事件は起きた。巨大な赤い布がレッドバロンの肩をかすめる。異変を察知し、バロンの肩へ飛びだす熊野。だがそこにあずさの姿はなかった。赤い布をマントのように翻して現れる鉄面党ロボット・グランマタドール!
「この野郎、せっかくのいい気分をぶち壊しやがって!」
「おい、紅君。あの子の姿が見えんのだ!」
 血相を変えて戻ってくる熊野。轟くデビラーの声。
「フッフッフッフ…レッドバロン、良く聞け。少女は我々のものとなった。下手に手出しをすると、彼女は死ぬことになるぞ」
「くっそお!アームミサイル」
「紅君!あの子を殺す気か!?」
 とっさに健の手を押しとどめる熊野。グランマタドールは剣を構え、じりじりとレッドバロンに迫る。マタドールは赤い布を自在に巻き付けてバロンの動きを封じ、剣から強烈な電流を流す。レッドバロンをいたぶるように何度も剣を突きたてるグランマタドール。反撃しようとする健を必死に押しとどめる熊野。
「今攻撃したら、あの子は殺されるかも知れん。やめてくれ!やめてくれ!」
 その間にもマタドールの電気剣がレッドバロンにダメージを与えていく。
「警部…このまままでは…」
「止むをえん、一時退却するんだ」
 熊野の指示で空へ飛び去るレッドバロン。

「グランマタドール。元スペインのロボットに違いありません」
 SSI本部では、新たな鉄面党ロボの資料が真理によって運ばれ、作戦の検討がなされていた。一連の状況を冷静に分析する大郷。
「どうも話がうますぎると思った。健の話によると、こいつの出て来かたが気になるな」
「奴らの基地がそこにあるとすれば…出方は別に不自然じゃないわ」
 推察する真理。
「…とすると、その少女がレッドバロンをおびき出した」
 と哲也。続いて大作が結論を述べる。
「つまり、少女は囮だった」
「なんだと!」
 ムッとする熊野。大郷はあえて熊野を無視して話を続ける。
「確かに今度の事件は、その少女を中心に起こっている」
「しかもですね。警部との接触の仕方が、余りにも異常だ」
 調子づいて演説する大作。ドン!とテーブルを叩く熊野。一同の眼が熊野に注がれる。
「うるさい!君たちの目は汚れきっとる!しかも童心を忘れとる。この若さで夢がなさすぎる、夢が!…もういい。君たちに話が通じんと言うのなら、わし一人で探し出す。御免!」
 激昂し、ひとり出ていく熊野。

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【物 語・2】

 ふたたび思い出の山中を熊野の自転車が行く。だが、その行く手にはメカロボが待ち構えていた。

 熊野を追うように、SSIも全車両動員で鉄面党基地の殲滅に急行する。
「グランマタドールは、あの山陰あたりから出てきたんです」
山稜を指差す健。神社から様子を窺う女山伏。
「ふっふっふ…来たなSSI。グランマタドールを出動させろ」
 出現する敵ロボットに気づく真理。
「あっ、グランマタドール!」
「やっぱりこのあたりに鉄面党の基地があったのか」
 得心する大作。大郷の短い指示が飛ぶ。
「健!」
「たっぷりとお返しをするんだ」
 哲也の声に応えながら、ブレスレットを構える健。
「おう!…レッドバロン、出動!」
 レッドバロンが到着するまではSSIが相手だ!各車両で一斉に突撃するSSI。グランマタドールは剣から怪光を発し攻撃してくる。SSIは怪光の起こす強烈な爆撃をくぐり抜け、巨大なグランマタドール次々と砲弾を叩きこんでいく。

 熊野もメカロボの襲撃を受けていた。帽子を囮に、樹上からの仕込み刀落とし、背後からのロケット砲…と奇襲の連続で反撃する熊野。

「健、バロンだ!」
「OK!」
 砲手の哲也の声に、健は勢い良くジープを反転させる。怪光でジープを狙い撃つグランマタドール。
「いかん、援護するんだ!」
 大郷が真理と大作を率いて、グランマタドールを攻め立てる。その間に健はハンドルを哲也に託し、空中へと大跳躍。素早くレッドバロンの肩口へ飛び乗る。
「今度はカタをつけてやるぜ!ファイトレバー・オン!」
 にらみ合う両者。先制のバロンパンチはグランマタドールのマントがはじき返す。続けてバロンミサイルのレバーに手をかけた健の耳に、グランマタドールからあずさの悲鳴が聞こえてくる。
━やめて!お兄ちゃん!
 攻撃できない健。あずさはやはり鉄面党の手中にあるのか。
「ちくしょう、これが奴らの狙いだったのか」
━やめてお兄ちゃん!
━あずさを殺さないで!
 グランマタドールから響き続けるあずさの悲鳴。手出しできないレッドバロンに、グランマタドールの電気剣がじりじりと迫る。SSIも戦闘を中断し、状況を見守るしかない。憤る大作。
「少女を人質に使うなんて、なんて卑怯なやつらなんだ」
 大郷が健に指示を出す。
「健、少女が捕まっている以上、攻撃は慎むんだ」
 一方的に電気剣で攻撃されるレッドバロン。
 メカロボ群を突破した熊野は、ひとり山中にいた。自転車後部に搭載した受信装置をチェックする熊野。針が異様に触れている。
「…異常発信だ」

 健はひたすら防御に徹し、グランマタドールの執拗な攻撃を受け続ける。
「このままだとやられてしまう!どうしたらいいんだ」
━殺さないで!あずさを殺さないで!お兄ちゃーん!
 あずさの悲痛な声に、反撃のレバーを引けない健。

 アイアンホークの探知機が鳴っているのに気づく真理。やはり針が大きく振れている。
「ボス、グランマタドールへ向けて、異常な電磁波が流れています」
「なに…?リモコンの電波かも知れん。発信源を突き止めるんだ」
 すぐさま全員へ大郷の指示が飛ぶ。

 その頃、熊野はいち早く鉄面党が根城にしていた神社に辿り着く。堂内から機関銃を構え現れる山伏姿の老女。
「一歩でも動くと…お前の命がないぞ!」
 動じない熊野。
「鉄面党だな。あずさと言う少女をどこへやった」
「お前たちが手出しをしなければ、生かしておくがね。ふっふっふ」
 顔を歪めて嘲る女山伏。さりげなく自転車から傘を外す熊野。
「あんなあどけない子を…。卑怯な事をするな!」
「動くな!」
 女山伏が絶叫しながら引き鉄を引く。熊野は敵弾を素早くコウモリ傘で受けると、傘に仕込んだ銃で女山伏の機関銃を吹き飛ばす。杖を掴むと奇声と共に宙を跳ぶ女山伏。女山伏は杖に仕込んだ刀を抜く。熊野も特製の空気入れを横に構える。緊迫して睨みあう両者。

 大郷以下SSI4人も、真理の手にした小型の探知機を使って怪しい電磁波の発信源を追う。

 斬り合いの末、仕込み刀で女山伏を倒す熊野。
「おい、あずさちゃんはどこにいる」
 女山伏は熊野の質問には答えず、絶叫と共に自爆する。

 バロンフライトで上空に退避するレッドバロン。グランマタドールは剣から発する渦巻き光線でバロンを撃墜。地上に叩きつけられるレッドバロンと健。通信機から大郷の励ましが聞こえる。
「健!頑張るんだ」

「レッドバロンが危ない。一刻も早く発信源を突き止めるんだ」
 ようやく神社に辿り着くSSI。すでに熊野の姿はない。焦る大郷。

 熊野は一人、あずさの声を乗せた電磁波の発信源に辿り着く。

 とどめを刺そうと迫るグランマタドール。必死に最後の抵抗を続ける健。マタドールの剣先がレッドバロンの操縦席を刺し貫く。電流と衝撃にで身をひねった拍子に、バロンミサイルを誤発射してしまう健。至近距離でマタドールを吹き飛ばすミサイル。
 熊野の眼前で、あずさの悲鳴を発信し続けていたのは、小さな━あずさと同じくらいの体格のメカロボだった。その手には、あずさのスヌーピーを同じように抱いている。熊野は、最後の望みを賭け、確かめるように小さなメカロボに声をかける。
「あのスヌーピー…。何をしているんだ、君は」
 傘ライフルを手に近づいていく熊野。小柄なメカロボは、一旦は熊野から逃げ出すと見せて、今度はナイフで切りかかってくる。熊野の手の甲に潜血が滴る。ただのメカロボ。これがあの愛らしいあずさの正体だ。熊野は、覚悟を決めて傘ライフルの引き鉄を引いた。

 ライフルの銃声を聞きつけて、SSIの4人も駆け付けてくる。ライフルを手に立ち尽くす熊野と、横たわる小さなメカロボ。草の上に転がったスヌーピーのぬいぐるみが、あずさの悲鳴を電磁波に乗せて流し続けている。

━…あずさを殺さないで!

 熊野は動かない。異様な光景に息をのむ大郷。
「健、少女の声の謎は解けた。思う存分に戦うんだ」

「ようし、たっぷりお返しさせてもらうぞ。来い!グランマタドール」
 今度こそ反撃を開始するレッドバロン。初手のバロンビームこそ赤布で受けたグランマタドールだったが、バロンパンチに剣を折られ、アームミサイル、バロンミサイルと連続攻撃できりきり舞いさせられる。自らのマントが絡みつき、無様に動けなくなるグランマタドール。
「ようし、とどめだ。エレクトリッガー!」
 容赦ない一億ボルトに、木っ端微塵のグランマタドール。

 小さなメカロボは、あずさの姿に戻った。あずさの亡骸を抱え、思い出の山に去っていく熊野。その眼には悲しみの涙が浮かぶ。あずさとの美しい思い出が、熊野の胸に蘇っては消えていく。
熊野の後ろ姿を静かに見送るSSI。大郷がそっとつぶやく。
「警部の心の中には、今永遠の少女が蘇っているんだ。そして、その悲劇の重みに、警部はきっと耐えていくに違いない」
 果てしなく歩き続ける熊野。山の空は茜に染まりつつある。

≪つづく≫
【OPクレジット】
※(内はテロップに表記のない役名を判る範囲で記しました)

企画・制作/小林 利雄

紅  健/岡田 洋介
松原真理/牧  れい
堀 大作/保積 ぺぺ
坂井哲也/加藤  寿
大郷 実/大下 哲矢

田中 筆子(山伏姿の女)
谷藤 知子(あずさ)
伊海田 弘(デビラ−総統)
ナレーター/鈴木 泰明

レッドバロン/矢島 登喜男
グランマタドール/佐藤 栄一
擬斗/高倉 英二
   若駒冒険グループ

熊野警部/玉川 伊佐男
【EDクレジット】

プロデューサー/川口 晴年(日本テレビ)
上村  宏
田村 正藏

脚本/藤川 桂介
音楽/ボブ佐久間

撮影/関口 政雄
照明/松丸 善明
美術/桜井 克彦
制作担当/鈴木 道朗

記録/小山 三樹子
美術装飾/斉藤 英世
美粧/岩崎 芳子
演技担当/松島 武

助監督/安倍 貞雄
撮影助手/石山 信雄
照明助手/清原 昭二
制作進行/草谷 秀樹

特 撮
撮影/大岡 新一
照明/森谷 清彦
美術/山口  修
操演/白熊 栄次
制作担当/小池 一三

助監督/小宮 高広
撮影助手/宇井 忠幸
照明助手/高野 和男
記録/吉下 清子

編集/小倉 昭夫
ネガ編集/五月女 孝男
視覚効果/兵頭 文造
仕上担当/谷沢 雅俊

録音/整音スタジオ
合成技術/デン・フィルム エフェクト
音響効果/石田サウンドプロ
現像所/東京現像所

衣装/大和衣装
協力/ロイヤルモータース株式会社

主題歌
「レッドバロン」
作詞/阿久 悠  作曲/井上忠夫  唄/朝 コータロー
「S・S・I」
作詞/江利 知己  作曲/比呂 公一  唄/ミュージカルアカデミー
コロムビアレコード ポリドールレコード

「兄さんのロボット」
作詞/阿久 悠  作曲/比呂 公一  唄/音羽ゆりかご会
「戦いの歌」
作詞/尾津サチオ  作曲/ボブ佐久間  唄/朝 コータロー 音羽ゆりかご会
コロムビアレコード ポリドールレコード

原案/渡辺 一彦(日本TV音楽)
斉藤 汎司(日本テレビ)
野口 竜(竜企画)

月刊テレビマガジン たのしい幼稚園 別冊たのしい幼稚園 おともだち/講談社
冒険王/秋田書店   連載

制作協力/日本現代企画

監督/鈴木 清

制作/宣弘社

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