２０１４年の橋川文三が突きつける問題は、靖国問題である。私はそう思う。靖国に関する私の原体験は、二葉百合子の歌「九段の母」である。幼児のころから子供のころにかけて、私の母はこのレコードを持っていた。幼い私は、その歌詞よりも、台詞の部分に強い衝撃を受けた。
戦死した一人息子が祀られている靖国にやって来た田舎の母が、勲章なんかより息子に一目でも会いたいという思いをぶつける台詞である。どういうわけか、現在二葉の歌では台詞部分が見つからないが、別の歌手のものから、下記に引用しておく。
上野駅から九段まで／かってしらない じれったさ／杖(つえ)をたよりに 一日がかり／せがれきたぞや 会いにきた／空をつくよな 大鳥居(おおとりい)／こんな立派な おやしろに／神とまつられ もったいなさよ／母は泣けます うれしさに
【セリフ】“せがれや とうとう来ただよ やっと来ただよ／この命のあるうちに 足腰の動くうちに／一度は参らにゃ死ぬにも死ねん思いじゃった／病気でずーっと寝たっきりだった父ちゃんも／去年の冬 とうとうおめぇの傍へ／行ってしもうて 母ちゃん 一人ぼっちになってしもうた／せがれや 父ちゃんに会ったかや 父ちゃんに会ったら／一緒に酒でも飲んで昔話や戦地の話してやってくんろ／おめぇに先立たれて 父ちゃん 心の支えを失くした様じゃった／戦死の知らせを 聞いたときゃ／握り拳 床に叩きつけて 泪こぼしていただよ／その夜は 布団かぶって 背中震わせて／ずーっとずーっと泣いていただよ”
両手あわせて ひざまづき／おがむはずみの おねんぶつ／はっと気づいてうろたえました／せがれゆるせよ 田舎もの／鳶(とび)が鷹(たか)の子 うんだよで／いまじゃ果報(かほう)が 身にあまる／金鵄勲章(きんしくんしょう)が みせたいばかり／逢いに来たぞや 九段坂
【セリフ】“おめぇのお陰で 国さからぎょうさんご褒美もろて…／そうじゃ そうじゃ こんな立派な勲章までもろて…／それにな 村の役場の偉えお人も母ちゃんに頭を下げてくんなすった／あぁ ありがてぇ あぁ もってぇねぇ…／…でもな…でもな…勲章やお金をいくらもろても 母ちゃんちっとも／嬉しいことなんかねぇ こんな触っても冷てえ勲章より／おらぁ おめぇの温(あった)けえ／手に触りてぇ…／お国のためじゃと おめぇは勇んで行ったが／帰って来たときゃ ちいせえ箱ん中であんな姿で…／あんまりじゃ…あんまりじゃ…／玉が当たってさぞや痛かったろう…つらかったろう…淋しく死んでった／おめぇの背中 さすってやりてぇ…抱きしめてやりてぇ…／母ちゃんの作った芋の煮っ転がしを食わしてやりてぇ…／せがれや、おらぁ おめぇに会いてぇ／一目でもええ、夢ん中でもええ、母ちゃんに会いに来てくんろ／せがれや せがれや せがれやぁ…”
――…でもな…でもな…勲章やお金をいくらもろても 母ちゃんちっとも／嬉しいことなんかねぇ
これが「九段の母」、「靖国の母」の本当の偽らざる心だ。一人息子でもある私は、そう直感した。今でもこの直感は正しいと思っており、靖国問題を考える際の私の原点である。
この原点に照らして考える限り、この国の首相、安倍やその周囲の者どもの言っていることはすべて嘘っぱちだ。この嘘っぱちを、橋川文三が歴史的、思想的に暴いている。
私は『靖国問題入門』（河出書房新社）で読んだのだが、著作集２（中央公論７４年１０月号）にも収録されている「靖国思想の成立と変容」だ。
橋川は、「九段の母」の歌の部分のような素朴な靖国信仰の存在を認めた上で、吉野作造が１９２０年に提起した素朴な疑問を紹介する。ある父親と子供の知り合いに手の付けられないやくざ者がいたが、戦争に行って死んだために、靖国に神として祀られている。生前の不品行をさんざん見て来た子供にとってはどうしても納得できない。この子供の疑問に父親は答えに窮する、という話だ。橋川は、こう言う。
――靖国の神となる資格は、その人間の生前の行為の善悪にはかかわりなく、これを祭神として登録する側の認定にかかわっているという不思議な事実がここには暗示されているということです。つまり神として礼拝されるか否かの認定はそれ自体神のような国家の論理にしたがうということです。
靖国の由来を歴史的に見れば、明治維新前、戊辰戦争などで斃れた各藩兵士の招魂祭が各藩で催されたことが前身となっているようだ。この思想が明治２年の東京招魂社の設立につながった。明治１２年に靖国神社と名前を変えたが、改称の裏には、官軍兵士の心的コントロールがあった、と橋川は見ている。
しかし、靖国の思想には、敵味方の区別なく供養するという日本古来の慰霊の伝統に反するものがある、と橋川は指摘する。靖国の祭文には――
――明治元年という年よりこのかた、内外の国の荒ぶるあだどもを討ち罰め、服（まつろ）わぬ人を言和し給う時に、汝命等の赤き直き真心を以て、家を忘れ身をなげうちて、おのもおのも死亡（みうせ）にし其の大き高き勲功（いさお）に依りてし、大皇国をば安国と知食（しろしめ）す事ぞと思食す――
とある。この祭文の意味するものについて、橋川はこう指摘する。
――すべての戦死者が祀られるわけではなく、朝敵だったもの、敵国の兵士だったものはもちろん、天皇に忠であったと認められない死者は祭神たりえないという政治的差別の原理をあらわしています。その差別の認定を行うものはその時折の国家権力にほかなりませんが、その反面として、靖国の神として祀られることを拒絶したであろう人々の霊もまた、国家権力によって強制的に祀られ、それに反対することは封じられるということも生じています。
橋川は、上記の歴史的事例をいくつか挙げた上で、こう書いている。
――靖国を国家で護持するのは国民総体の心理だという論法は、しばしば死に直面したときの個々の戦死者の心情、心理に対する思いやりを欠き、生者の御都合によって死者の魂の姿を勝手に描きあげ、規制してしまうという政治の傲慢さが見られるということです。／要するに日本の個人は、天皇の国家というより大なる個に従属する分身のようなものとしてとらえられ、その魂の個別性、独自性は解消されているわけです。これは一種のアニミズムの支配といってよいものと思われます。
論の最後に、橋川は、満州や朝鮮半島に造営していた神社が、戦後すぐに放火されたり破壊されたりした事例を挙げ――
――神々を祀る神祠までが現地民族の破壊を免れなかったことは、神社神道の神々がどこまでも日本人のみを守護するものであったこと、その守護の対象が日本人の現世利益、即ち侵略にともなう日本人の特権に限られていたことを意味しております。
戦争の構造が、吉本隆明の言うように次のようなものだとしたら――
――僕は自分が軍国青年であったことを恥ずかしいとも思わなければ、反省もしない。反省なんかしたら、アメリカの無茶苦茶な原爆や空襲や戦犯裁判を認めることになってしまい、冗談じゃないと思っていた。戦争は国家の正義と正義のぶつかりあいで、共に幾分かの真理を持っています。だからどちらが正義かではなく、戦争自体が悪だと考えるべきですね。
靖国の論理は断じて認めてはならないだろう。２０１４年の橋川文三は、そう言っている。
（この文章は、私の日記にも出しております。）
戦死した一人息子が祀られている靖国にやって来た田舎の母が、勲章なんかより息子に一目でも会いたいという思いをぶつける台詞である。どういうわけか、現在二葉の歌では台詞部分が見つからないが、別の歌手のものから、下記に引用しておく。
上野駅から九段まで／かってしらない じれったさ／杖(つえ)をたよりに 一日がかり／せがれきたぞや 会いにきた／空をつくよな 大鳥居(おおとりい)／こんな立派な おやしろに／神とまつられ もったいなさよ／母は泣けます うれしさに
【セリフ】“せがれや とうとう来ただよ やっと来ただよ／この命のあるうちに 足腰の動くうちに／一度は参らにゃ死ぬにも死ねん思いじゃった／病気でずーっと寝たっきりだった父ちゃんも／去年の冬 とうとうおめぇの傍へ／行ってしもうて 母ちゃん 一人ぼっちになってしもうた／せがれや 父ちゃんに会ったかや 父ちゃんに会ったら／一緒に酒でも飲んで昔話や戦地の話してやってくんろ／おめぇに先立たれて 父ちゃん 心の支えを失くした様じゃった／戦死の知らせを 聞いたときゃ／握り拳 床に叩きつけて 泪こぼしていただよ／その夜は 布団かぶって 背中震わせて／ずーっとずーっと泣いていただよ”
両手あわせて ひざまづき／おがむはずみの おねんぶつ／はっと気づいてうろたえました／せがれゆるせよ 田舎もの／鳶(とび)が鷹(たか)の子 うんだよで／いまじゃ果報(かほう)が 身にあまる／金鵄勲章(きんしくんしょう)が みせたいばかり／逢いに来たぞや 九段坂
【セリフ】“おめぇのお陰で 国さからぎょうさんご褒美もろて…／そうじゃ そうじゃ こんな立派な勲章までもろて…／それにな 村の役場の偉えお人も母ちゃんに頭を下げてくんなすった／あぁ ありがてぇ あぁ もってぇねぇ…／…でもな…でもな…勲章やお金をいくらもろても 母ちゃんちっとも／嬉しいことなんかねぇ こんな触っても冷てえ勲章より／おらぁ おめぇの温(あった)けえ／手に触りてぇ…／お国のためじゃと おめぇは勇んで行ったが／帰って来たときゃ ちいせえ箱ん中であんな姿で…／あんまりじゃ…あんまりじゃ…／玉が当たってさぞや痛かったろう…つらかったろう…淋しく死んでった／おめぇの背中 さすってやりてぇ…抱きしめてやりてぇ…／母ちゃんの作った芋の煮っ転がしを食わしてやりてぇ…／せがれや、おらぁ おめぇに会いてぇ／一目でもええ、夢ん中でもええ、母ちゃんに会いに来てくんろ／せがれや せがれや せがれやぁ…”
――…でもな…でもな…勲章やお金をいくらもろても 母ちゃんちっとも／嬉しいことなんかねぇ
これが「九段の母」、「靖国の母」の本当の偽らざる心だ。一人息子でもある私は、そう直感した。今でもこの直感は正しいと思っており、靖国問題を考える際の私の原点である。
この原点に照らして考える限り、この国の首相、安倍やその周囲の者どもの言っていることはすべて嘘っぱちだ。この嘘っぱちを、橋川文三が歴史的、思想的に暴いている。
私は『靖国問題入門』（河出書房新社）で読んだのだが、著作集２（中央公論７４年１０月号）にも収録されている「靖国思想の成立と変容」だ。
橋川は、「九段の母」の歌の部分のような素朴な靖国信仰の存在を認めた上で、吉野作造が１９２０年に提起した素朴な疑問を紹介する。ある父親と子供の知り合いに手の付けられないやくざ者がいたが、戦争に行って死んだために、靖国に神として祀られている。生前の不品行をさんざん見て来た子供にとってはどうしても納得できない。この子供の疑問に父親は答えに窮する、という話だ。橋川は、こう言う。
――靖国の神となる資格は、その人間の生前の行為の善悪にはかかわりなく、これを祭神として登録する側の認定にかかわっているという不思議な事実がここには暗示されているということです。つまり神として礼拝されるか否かの認定はそれ自体神のような国家の論理にしたがうということです。
靖国の由来を歴史的に見れば、明治維新前、戊辰戦争などで斃れた各藩兵士の招魂祭が各藩で催されたことが前身となっているようだ。この思想が明治２年の東京招魂社の設立につながった。明治１２年に靖国神社と名前を変えたが、改称の裏には、官軍兵士の心的コントロールがあった、と橋川は見ている。
しかし、靖国の思想には、敵味方の区別なく供養するという日本古来の慰霊の伝統に反するものがある、と橋川は指摘する。靖国の祭文には――
――明治元年という年よりこのかた、内外の国の荒ぶるあだどもを討ち罰め、服（まつろ）わぬ人を言和し給う時に、汝命等の赤き直き真心を以て、家を忘れ身をなげうちて、おのもおのも死亡（みうせ）にし其の大き高き勲功（いさお）に依りてし、大皇国をば安国と知食（しろしめ）す事ぞと思食す――
とある。この祭文の意味するものについて、橋川はこう指摘する。
――すべての戦死者が祀られるわけではなく、朝敵だったもの、敵国の兵士だったものはもちろん、天皇に忠であったと認められない死者は祭神たりえないという政治的差別の原理をあらわしています。その差別の認定を行うものはその時折の国家権力にほかなりませんが、その反面として、靖国の神として祀られることを拒絶したであろう人々の霊もまた、国家権力によって強制的に祀られ、それに反対することは封じられるということも生じています。
橋川は、上記の歴史的事例をいくつか挙げた上で、こう書いている。
――靖国を国家で護持するのは国民総体の心理だという論法は、しばしば死に直面したときの個々の戦死者の心情、心理に対する思いやりを欠き、生者の御都合によって死者の魂の姿を勝手に描きあげ、規制してしまうという政治の傲慢さが見られるということです。／要するに日本の個人は、天皇の国家というより大なる個に従属する分身のようなものとしてとらえられ、その魂の個別性、独自性は解消されているわけです。これは一種のアニミズムの支配といってよいものと思われます。
論の最後に、橋川は、満州や朝鮮半島に造営していた神社が、戦後すぐに放火されたり破壊されたりした事例を挙げ――
――神々を祀る神祠までが現地民族の破壊を免れなかったことは、神社神道の神々がどこまでも日本人のみを守護するものであったこと、その守護の対象が日本人の現世利益、即ち侵略にともなう日本人の特権に限られていたことを意味しております。
戦争の構造が、吉本隆明の言うように次のようなものだとしたら――
――僕は自分が軍国青年であったことを恥ずかしいとも思わなければ、反省もしない。反省なんかしたら、アメリカの無茶苦茶な原爆や空襲や戦犯裁判を認めることになってしまい、冗談じゃないと思っていた。戦争は国家の正義と正義のぶつかりあいで、共に幾分かの真理を持っています。だからどちらが正義かではなく、戦争自体が悪だと考えるべきですね。
靖国の論理は断じて認めてはならないだろう。２０１４年の橋川文三は、そう言っている。
（この文章は、私の日記にも出しております。）
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コメント(37)
マックスさん
ご無沙汰しております。九段の母の台詞にそんな箇所があったとは。母のみならず、「握り拳 床に叩きつけて 泪こぼしていた」父もまた、「勲章やお金」を喜ばぬ怒りと悲しみがあったのだろうと思いました。靖国には、霊を人質（霊質？）に取ることでそうした自然な感情を「封じる」機能があったし、それはいまも続いているのでしょう。
橋川の靖国への言及としては、いかにも橋川らしい謎かけのような『「戦争体験論」の私的総括』末尾の一文が印象的です。以下に引用します（『増補版 歴史と体験』より）。
「話が少しちがってくるが、わだつみ会は靖国神社のことをどう考えているのであろうか？お盆だからいうわけではないが、前から私の念頭を去らない問題の一つであるから、ここにそれを記しておく。前に述べたことと関連させれば、柳田の靖国神社についての考えよりもより保守的であってもかまわないと私は思うし、その帰結が、日本マルクス主義者の想像を絶した思想的帰結に到達することだって考えられなくはない。もっとも、この問題については、私はあまりしっかりと考えていない。ただ、この四、五月、上野図書館に通いつめて、満州事変から日中戦争にかけての当時の戦記・記録・伝記の類をあさって見て、日本人と戦争と信仰の関係について改めて多くのことを考えさせられたからである。それは日本の戦後独占の思想状況の下で、なんらの思想問題を構成しえないという種類の発想と、私の戦争体験論とはたいへんちがっているようである。」
ちょっとわかりづらいので補足しますと、ここに至る本文のなかで、橋川はマルクス主義と柳田国男の思想を取り上げ、このように書いているのです。
「戦争体験論は（そしてここでは戦争責任論もまた）、以上二つのもっとも優秀な思想方法の間に引き裂かれている、ということもできそうである。それは、「常民」というイデーを信じえないにもかかわらず、戦争の全歴史的な特殊体験のイデー性を信ずる点において柳田よりも保守的であり、反面において、日本マルクス主義の教条楽天主義を信じえない点において、マルクス主義の急進性の左に立つ。」
橋川の追求する戦争体験論は、柳田よりも右、マルクス主義よりも左、その二つの相矛盾するかのような特質を併せ持つものー。それが靖国神社に向き合うとどうなるか。はたして、２０１４年現在まで、橋川の投げかけた謎は、解かれているのでしょうか。
ご無沙汰しております。九段の母の台詞にそんな箇所があったとは。母のみならず、「握り拳 床に叩きつけて 泪こぼしていた」父もまた、「勲章やお金」を喜ばぬ怒りと悲しみがあったのだろうと思いました。靖国には、霊を人質（霊質？）に取ることでそうした自然な感情を「封じる」機能があったし、それはいまも続いているのでしょう。
橋川の靖国への言及としては、いかにも橋川らしい謎かけのような『「戦争体験論」の私的総括』末尾の一文が印象的です。以下に引用します（『増補版 歴史と体験』より）。
「話が少しちがってくるが、わだつみ会は靖国神社のことをどう考えているのであろうか？お盆だからいうわけではないが、前から私の念頭を去らない問題の一つであるから、ここにそれを記しておく。前に述べたことと関連させれば、柳田の靖国神社についての考えよりもより保守的であってもかまわないと私は思うし、その帰結が、日本マルクス主義者の想像を絶した思想的帰結に到達することだって考えられなくはない。もっとも、この問題については、私はあまりしっかりと考えていない。ただ、この四、五月、上野図書館に通いつめて、満州事変から日中戦争にかけての当時の戦記・記録・伝記の類をあさって見て、日本人と戦争と信仰の関係について改めて多くのことを考えさせられたからである。それは日本の戦後独占の思想状況の下で、なんらの思想問題を構成しえないという種類の発想と、私の戦争体験論とはたいへんちがっているようである。」
ちょっとわかりづらいので補足しますと、ここに至る本文のなかで、橋川はマルクス主義と柳田国男の思想を取り上げ、このように書いているのです。
「戦争体験論は（そしてここでは戦争責任論もまた）、以上二つのもっとも優秀な思想方法の間に引き裂かれている、ということもできそうである。それは、「常民」というイデーを信じえないにもかかわらず、戦争の全歴史的な特殊体験のイデー性を信ずる点において柳田よりも保守的であり、反面において、日本マルクス主義の教条楽天主義を信じえない点において、マルクス主義の急進性の左に立つ。」
橋川の追求する戦争体験論は、柳田よりも右、マルクス主義よりも左、その二つの相矛盾するかのような特質を併せ持つものー。それが靖国神社に向き合うとどうなるか。はたして、２０１４年現在まで、橋川の投げかけた謎は、解かれているのでしょうか。
nos さん。お久しぶりです。私の拙い問題提起を受けたにもかかわらず、一気に橋川思想の深みにまでわれわれを導き、まことに目が覚める思いを味わわせていただきました。感謝いたします。
nos さんご指摘のように、橋川氏は『歴史と体験』において、その�気暴犬瓩燭い�つかの論文で独特の「戦争体験論」を提示しています。その「戦争体験論」というのは、西欧のようにイエスを通して神という絶対者・超越者とひとり向かい合う経験のない日本人において、今度の戦争における敗戦という「戦争体験論」が、新たな絶対者・超越者となりうるのではないか、という問題提起です。
この「戦争体験論」提起の前提には、橋川氏の師である丸山眞男の『超国家主義の論理と心理』から採った超国家主義の論理構造があります。天皇を中心とする同心円を垂直に貫く縦軸。「中心からの価値の無限の流出は、縦軸の無限性（天壌無窮の皇運）によって担保されているのである」（丸山）
ところが、敗戦によってこの「縦軸の無限性」としての国体理念がトータルに挫折し、この国で本当の歴史意識の解放がもたらされた。こう見る橋川氏は、また同時に、それまでの日本の普遍者の擬制的代位者であった国体が解体されたために、まったく新たな普遍者の形成が要請されるようになった、と見ます。そして、この先に新たな普遍者として「戦争体験論」が定位されるのではないか。橋川氏はこう考えているようです。
しかし、このような問題提起はありながらも、普遍者・超越者としての「戦争体験論」という新たな構造提起は、橋川氏によっては十分にはされていないようです。nos さんがおっしゃるように、ここから先は橋川氏がわれわれに課した宿題のようなものとなるのかもしれませんが、その前に私は、「普遍者の擬制的代位者であった国体」は本当に解体されたのか、という問いはやはり成り立つのではないか、とも思っています。
戦後すぐマッカーサーと取引した昭和天皇によって天皇制は維持され、この擬制的代位者の周辺には、戦前、戦中と変わらない連中がうごめいています。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1909790482&owner_id=19663839
あるいは三島の「文化としての天皇制」もここに含まれ、まさに靖国の素朴な祭神信仰もこの周辺にあると思います。そうした場合、「普遍者の擬制的代位者であった国体」は本当に解体されたのか、という問いはなおかつ命脈を保っているのではないか。私にはそう思えます。
と言っても、「普遍者の擬制的代位者であった国体」が事実上消滅していくのが先か、あるいは新たな普遍者・超越者としての「戦争体験論」が本格的に登場してくるのが先か、という問題でもないような気もします。いわば同時的なものなのかもしれません。
いずれにしましても、おそらくは画期的な問題提起でありながら、橋川氏は十分には論を展開していないようです。この問題、以前から nos さんが折に触れ提起され続けていらっしゃいました。nos さんにおかれましては、この問題提起に関し、思うところを存分に披瀝していただければ大変に心強いものと愚考いたします。
nos さんご指摘のように、橋川氏は『歴史と体験』において、その�気暴犬瓩燭い�つかの論文で独特の「戦争体験論」を提示しています。その「戦争体験論」というのは、西欧のようにイエスを通して神という絶対者・超越者とひとり向かい合う経験のない日本人において、今度の戦争における敗戦という「戦争体験論」が、新たな絶対者・超越者となりうるのではないか、という問題提起です。
この「戦争体験論」提起の前提には、橋川氏の師である丸山眞男の『超国家主義の論理と心理』から採った超国家主義の論理構造があります。天皇を中心とする同心円を垂直に貫く縦軸。「中心からの価値の無限の流出は、縦軸の無限性（天壌無窮の皇運）によって担保されているのである」（丸山）
ところが、敗戦によってこの「縦軸の無限性」としての国体理念がトータルに挫折し、この国で本当の歴史意識の解放がもたらされた。こう見る橋川氏は、また同時に、それまでの日本の普遍者の擬制的代位者であった国体が解体されたために、まったく新たな普遍者の形成が要請されるようになった、と見ます。そして、この先に新たな普遍者として「戦争体験論」が定位されるのではないか。橋川氏はこう考えているようです。
しかし、このような問題提起はありながらも、普遍者・超越者としての「戦争体験論」という新たな構造提起は、橋川氏によっては十分にはされていないようです。nos さんがおっしゃるように、ここから先は橋川氏がわれわれに課した宿題のようなものとなるのかもしれませんが、その前に私は、「普遍者の擬制的代位者であった国体」は本当に解体されたのか、という問いはやはり成り立つのではないか、とも思っています。
戦後すぐマッカーサーと取引した昭和天皇によって天皇制は維持され、この擬制的代位者の周辺には、戦前、戦中と変わらない連中がうごめいています。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1909790482&owner_id=19663839
あるいは三島の「文化としての天皇制」もここに含まれ、まさに靖国の素朴な祭神信仰もこの周辺にあると思います。そうした場合、「普遍者の擬制的代位者であった国体」は本当に解体されたのか、という問いはなおかつ命脈を保っているのではないか。私にはそう思えます。
と言っても、「普遍者の擬制的代位者であった国体」が事実上消滅していくのが先か、あるいは新たな普遍者・超越者としての「戦争体験論」が本格的に登場してくるのが先か、という問題でもないような気もします。いわば同時的なものなのかもしれません。
いずれにしましても、おそらくは画期的な問題提起でありながら、橋川氏は十分には論を展開していないようです。この問題、以前から nos さんが折に触れ提起され続けていらっしゃいました。nos さんにおかれましては、この問題提起に関し、思うところを存分に披瀝していただければ大変に心強いものと愚考いたします。
マックスさんが橋川文三から引用された「靖国を国家で護持するのは国民総体の心理だという論法は、（中略）生者の御都合によって死者の魂の姿を勝手に描きあげ、規制してしまうという政治の傲慢さが見られるということです。／要するに日本の個人は、天皇の国家というより大なる個に従属する分身のようなものとしてとらえられ、その魂の個別性、独自性は解消されている」という「靖国の論理」は、断じて認められないと。
これに対して、「九段の母」（靖国の母）にあるのは、戦死者を悼む日本国民の心ないし信仰であって、靖国を考えるとき、両者は峻別されねばならない。つまり、靖国の神をめぐる「論理」と「信仰」として、区別して考える必要があるわけですね。
僕自身は、個人ないし人々の心情・思念のほうに関心が傾きがちでしたが、靖国の場合は、「戦時における死者のうち誰を祭神として祀るのか、決定する存在としての、日本国家なり神社なりが存在する。
これに対して、「九段の母」（靖国の母）にあるのは、戦死者を悼む日本国民の心ないし信仰であって、靖国を考えるとき、両者は峻別されねばならない。つまり、靖国の神をめぐる「論理」と「信仰」として、区別して考える必要があるわけですね。
僕自身は、個人ないし人々の心情・思念のほうに関心が傾きがちでしたが、靖国の場合は、「戦時における死者のうち誰を祭神として祀るのか、決定する存在としての、日本国家なり神社なりが存在する。
靖国の破綻は、先に引用した橋川氏の次の二つの言葉に尽くされていると思いますね。GandhiGanjee さんのお考えも、かまいちさんのお考えも、この橋川氏のお考えと同じでしょう。
――靖国の神となる資格は、その人間の生前の行為の善悪にはかかわりなく、これを祭神として登録する側の認定にかかわっているという不思議な事実がここには暗示されているということです。つまり神として礼拝されるか否かの認定はそれ自体神のような国家の論理にしたがうということです。
――靖国を国家で護持するのは国民総体の心理だという論法は、しばしば死に直面したときの個々の戦死者の心情、心理に対する思いやりを欠き、生者の御都合によって死者の魂の姿を勝手に描きあげ、規制してしまうという政治の傲慢さが見られるということです。／要するに日本の個人は、天皇の国家というより大なる個に従属する分身のようなものとしてとらえられ、その魂の個別性、独自性は解消されているわけです。これは一種のアニミズムの支配といってよいものと思われます。
また、国家についてどんなに言葉を飾ってみても、「九段の母」や、拳を叩きつけた父親の原初的な怒りの前には何の力もないでしょう。戦後すぐの昭和天皇による政治行動などを考えただけでも、靖国なるものの詐欺性はよくわかります。
安倍やその周辺は政治的に仕方ないとしても、戦前戦後を通じてのこれだけの歴史の事実と、上記の橋川氏のような決定的な靖国否定の論理を前にして、まだ靖国の存在を擁護してはしゃぐことのできる人が存在するということに、本当に驚きを禁じえません。
――靖国の神となる資格は、その人間の生前の行為の善悪にはかかわりなく、これを祭神として登録する側の認定にかかわっているという不思議な事実がここには暗示されているということです。つまり神として礼拝されるか否かの認定はそれ自体神のような国家の論理にしたがうということです。
――靖国を国家で護持するのは国民総体の心理だという論法は、しばしば死に直面したときの個々の戦死者の心情、心理に対する思いやりを欠き、生者の御都合によって死者の魂の姿を勝手に描きあげ、規制してしまうという政治の傲慢さが見られるということです。／要するに日本の個人は、天皇の国家というより大なる個に従属する分身のようなものとしてとらえられ、その魂の個別性、独自性は解消されているわけです。これは一種のアニミズムの支配といってよいものと思われます。
また、国家についてどんなに言葉を飾ってみても、「九段の母」や、拳を叩きつけた父親の原初的な怒りの前には何の力もないでしょう。戦後すぐの昭和天皇による政治行動などを考えただけでも、靖国なるものの詐欺性はよくわかります。
安倍やその周辺は政治的に仕方ないとしても、戦前戦後を通じてのこれだけの歴史の事実と、上記の橋川氏のような決定的な靖国否定の論理を前にして、まだ靖国の存在を擁護してはしゃぐことのできる人が存在するということに、本当に驚きを禁じえません。
韃靼人さん。同感ですね。
橋川氏が何度も指摘している通り、祀るべき人間を国家が選ぶという最初の一歩から破綻しているのですね。国家などというものはまったくの幻想か、政治的な代物以外何者でもないわけですから、国家が祀っているわけではなく、その時々の政権中枢の人間だれそれが選んで祀っているわけです。はっきり言えば、そこには死者を悼む心情というものは何もなくて、その時々の政治的な都合しかないわけですね。神聖なものは何一つないわけです。こんなことは子供じゃない限り、だれもがわかっていることですね。
その反対に、家族、友人などが弔い、祀る場合、政治的な事情など一切ゼロ、悼む心情以外ありえないです。追悼施設というものは、この心情がそのままだれにでも当てはまるようなものでありたいですよね。日本国家などというケチな考えは捨てて、戦没者は誰でも悼む、あるいは戦争被害にあってなくなった方々もまったく同じ施設において悼む。これが人間の素直な感情でしょうね。
それにもかかわらず、ことさら靖国にこだわり、称揚する人間というのは、一体どのような人なのでしょうか。まったく破綻していますね。韃靼人さんと同意見です。
橋川氏が何度も指摘している通り、祀るべき人間を国家が選ぶという最初の一歩から破綻しているのですね。国家などというものはまったくの幻想か、政治的な代物以外何者でもないわけですから、国家が祀っているわけではなく、その時々の政権中枢の人間だれそれが選んで祀っているわけです。はっきり言えば、そこには死者を悼む心情というものは何もなくて、その時々の政治的な都合しかないわけですね。神聖なものは何一つないわけです。こんなことは子供じゃない限り、だれもがわかっていることですね。
その反対に、家族、友人などが弔い、祀る場合、政治的な事情など一切ゼロ、悼む心情以外ありえないです。追悼施設というものは、この心情がそのままだれにでも当てはまるようなものでありたいですよね。日本国家などというケチな考えは捨てて、戦没者は誰でも悼む、あるいは戦争被害にあってなくなった方々もまったく同じ施設において悼む。これが人間の素直な感情でしょうね。
それにもかかわらず、ことさら靖国にこだわり、称揚する人間というのは、一体どのような人なのでしょうか。まったく破綻していますね。韃靼人さんと同意見です。
もうひとつイヤらしいのは、政治家達が「国家の為に殉じた者を国家が祀らないと死んだ人たちに申し訳ない」とか言うことです。
そこには、「これから国家の為に死ぬ人を納得させるためにも」という魂胆が見え透いていることです。
さらに問題があります。
これから先に死ぬ者は自衛隊隊員です。
現在の戦争出来る国への方向転換に賛成する者があるのは、自分は戦争にはいかなくて済むということがあります。
自民党政権は徴兵制度は反対が多いので、徴兵制度にはしないと思います。
その自衛隊ですが、私が知る限り、経済的な理由で防衛大学や高等工科学校に行った者は少なくないと思われます。
すると平たく言えば、経済的に恵まれ無かった人々が戦争に行く、ということです。
そういう日本になろうとしています。
愛国者としてゾーとしています。
どうしても戦争しなければならないのなら国民皆兵にすべきです。
どうしても戦わなければならない時は、私も参加します。
今年、７０になりますが侵略に抵抗するのであれば志願します。
でも自民党政権のもとでは士気が鈍ります。
播磨國住人 韃靼人
そこには、「これから国家の為に死ぬ人を納得させるためにも」という魂胆が見え透いていることです。
さらに問題があります。
これから先に死ぬ者は自衛隊隊員です。
現在の戦争出来る国への方向転換に賛成する者があるのは、自分は戦争にはいかなくて済むということがあります。
自民党政権は徴兵制度は反対が多いので、徴兵制度にはしないと思います。
その自衛隊ですが、私が知る限り、経済的な理由で防衛大学や高等工科学校に行った者は少なくないと思われます。
すると平たく言えば、経済的に恵まれ無かった人々が戦争に行く、ということです。
そういう日本になろうとしています。
愛国者としてゾーとしています。
どうしても戦争しなければならないのなら国民皆兵にすべきです。
どうしても戦わなければならない時は、私も参加します。
今年、７０になりますが侵略に抵抗するのであれば志願します。
でも自民党政権のもとでは士気が鈍ります。
播磨國住人 韃靼人
>>[4] 皆さん
ご指摘の史実に伝は、阿川尚之の本で読んだり、NHKの番組で見た記憶があります。
実は自衛隊発足の前（！）から、アメリカの要請で集団的自衛権を行使した事実があったと。
ウシキペディア「日本の掃海艇」によれば、
＜1946年には、これら旧海軍由来の掃海部隊も取り込む形で、運輸省傘下の法執行機関として海上保安庁が設置された[1]。海上保安庁においては、まず保安局掃海課、ついで1950年（昭和25年）6月には航路啓開本部が設置されて体制強化が図られた[2]。
また同年10月には、朝鮮戦争において、国連軍の対機雷戦戦力の不足を補うため、アメリカ極東海軍から運輸大臣への命令に基づき、航路啓開本部からの抽出によって特別掃海隊が組織されて派遣されている。これらの活動はおおむね順調に遂行され、米側より非常に好評であった[2]。しかし元山上陸作戦に伴う同地での掃海活動では、第2掃海隊のMS14号艇が掃海中に触雷・爆沈し、乗組員1人が殉職、18名が重軽傷を負う被害を出した。＞
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%8E%83%E6%B5%B7%E8%89%87
ご指摘の史実に伝は、阿川尚之の本で読んだり、NHKの番組で見た記憶があります。
実は自衛隊発足の前（！）から、アメリカの要請で集団的自衛権を行使した事実があったと。
ウシキペディア「日本の掃海艇」によれば、
＜1946年には、これら旧海軍由来の掃海部隊も取り込む形で、運輸省傘下の法執行機関として海上保安庁が設置された[1]。海上保安庁においては、まず保安局掃海課、ついで1950年（昭和25年）6月には航路啓開本部が設置されて体制強化が図られた[2]。
また同年10月には、朝鮮戦争において、国連軍の対機雷戦戦力の不足を補うため、アメリカ極東海軍から運輸大臣への命令に基づき、航路啓開本部からの抽出によって特別掃海隊が組織されて派遣されている。これらの活動はおおむね順調に遂行され、米側より非常に好評であった[2]。しかし元山上陸作戦に伴う同地での掃海活動では、第2掃海隊のMS14号艇が掃海中に触雷・爆沈し、乗組員1人が殉職、18名が重軽傷を負う被害を出した。＞
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%8E%83%E6%B5%B7%E8%89%87
韃靼人さんのご意見にまったく同意します。
「靖国」を崇め奉る人は、その政治性にまったく気が付いていないか、何かの思惑があってあえて目をつむっているのですね。残念な人たちです。
一体、国家が、祀る人間を認定するということ自体に欺瞞があるということに、なぜ気が付かないのでしょうか。橋川氏が吉野作三の文章からひいた、子供の素朴な疑問でもわかるというレベルのものなのに。
カール・シュミットは、「友敵」理論の末に、国家・国民が本当に敵とみなすものについて、次のように述べています。私の日記からの引用ですが。
「――大規模な政治の頂点は、同時に、敵が具体的な判明さで敵として洞察されるような瞬間である。−（略）−私が見做すのは、――クロムウェルがカソリックのスペインに対して戦ったような、そうした敵対関係の極めて強大な勃発である。（シュミットの言葉）
（以下、私の言葉）ピューリタンのクロムウェルが、カソリックのスペインを不倶戴天の敵とみなした瞬間。そしてもうひとつ挙げたのが、「教会の聖戦と十字軍」。ここにあるのは、「道徳」ではない。そこに生まれた者はひとり残らずその精神と肉体に刻印された運命である。
シュミットの国家観は厳しい。戦争においては、国家は個人に殺人を命じ、さらには命の提供さえ求めることができる。ほかの集団であれば、どのような集団であろうとそのようなことが許されるはずがない。しかし、国家間の戦争においては、それが許される。すでにして「絶対者」と呼ぶに値する国家は、なぜそのようなことが許されるのだろうか。」
しかし、太平洋戦争の歴史を持つ私たちにとって、「 戦争においては、国家は個人に殺人を命じ、さらには命の提供さえ求めることができる」という論理はすでにまったく通用しないでしょう。
複雑な国際政治、国際経済をある程度見通すことのできる私たちの眼前には、「敵が具体的な判明さで敵として洞察されるような瞬間」というものは二度と現れないでしょう。
そして、この日本という国の政権を担当している人間たちの欺瞞性といったものは、子供でない限りイヤというほど見ているわけですね。特に現今の安倍某のものは。こんなものの認定する「靖国」などというものを崇め奉ることなどは、通常はできない相談ですね。
国家というものの欺瞞性については、安倍を見ていれば誰にでも判断のつくことだと思いますね。
韃靼人さんの鋭い感性に同感いたします。
「靖国」を崇め奉る人は、その政治性にまったく気が付いていないか、何かの思惑があってあえて目をつむっているのですね。残念な人たちです。
一体、国家が、祀る人間を認定するということ自体に欺瞞があるということに、なぜ気が付かないのでしょうか。橋川氏が吉野作三の文章からひいた、子供の素朴な疑問でもわかるというレベルのものなのに。
カール・シュミットは、「友敵」理論の末に、国家・国民が本当に敵とみなすものについて、次のように述べています。私の日記からの引用ですが。
「――大規模な政治の頂点は、同時に、敵が具体的な判明さで敵として洞察されるような瞬間である。−（略）−私が見做すのは、――クロムウェルがカソリックのスペインに対して戦ったような、そうした敵対関係の極めて強大な勃発である。（シュミットの言葉）
（以下、私の言葉）ピューリタンのクロムウェルが、カソリックのスペインを不倶戴天の敵とみなした瞬間。そしてもうひとつ挙げたのが、「教会の聖戦と十字軍」。ここにあるのは、「道徳」ではない。そこに生まれた者はひとり残らずその精神と肉体に刻印された運命である。
シュミットの国家観は厳しい。戦争においては、国家は個人に殺人を命じ、さらには命の提供さえ求めることができる。ほかの集団であれば、どのような集団であろうとそのようなことが許されるはずがない。しかし、国家間の戦争においては、それが許される。すでにして「絶対者」と呼ぶに値する国家は、なぜそのようなことが許されるのだろうか。」
しかし、太平洋戦争の歴史を持つ私たちにとって、「 戦争においては、国家は個人に殺人を命じ、さらには命の提供さえ求めることができる」という論理はすでにまったく通用しないでしょう。
複雑な国際政治、国際経済をある程度見通すことのできる私たちの眼前には、「敵が具体的な判明さで敵として洞察されるような瞬間」というものは二度と現れないでしょう。
そして、この日本という国の政権を担当している人間たちの欺瞞性といったものは、子供でない限りイヤというほど見ているわけですね。特に現今の安倍某のものは。こんなものの認定する「靖国」などというものを崇め奉ることなどは、通常はできない相談ですね。
国家というものの欺瞞性については、安倍を見ていれば誰にでも判断のつくことだと思いますね。
韃靼人さんの鋭い感性に同感いたします。
上記すべて2014年の現在において、きわめてアクチュアルなモンダイと存じます。
せっかくの皆様の問題提起ですので、今あるメンバーで今後とも議論を進めたいなと思います。
ことは困難デス。国家-民族のために死んだ人々をどうまつるのかというモンダイにつきます。
韃靼人さんと数年前、千鳥ヶ淵と靖国をおとずれたことがあるのですが、そりゃぁ千鳥ヶ淵のほうがいいに決まってます。
靖国は、韃靼人さんとも、パトリさんとも、＜行って＞います。ともに民族派であるところのお二人とも、一度も礼拝を本殿の前でしないで、「ふうん、ここでホントに<英霊＞が祀られているんかいな、という表情を示しておられたのが印象に残っています。わたしなんぞがはらはらするような感じでしたよ。
その気持ちはなんかことばには出来ないですがわかるなあと思います。
これらのモンダイ群に対して、
外野で騒いでいる人がいますが、コミュ戻られるなら受け入れますが、戻られないのなら、「外野フライ・キャッチアウト！」ですね。
久々に酔っての書き込みですが、パトリさんの背筋の凍るようなひとことを、いま、みんな、待ってますよ（笑）
あ、ＮＯＳさん！たまにはこみゅものぞいてくださいよ！ツイッターは嫌いだぁ！
せっかくの皆様の問題提起ですので、今あるメンバーで今後とも議論を進めたいなと思います。
ことは困難デス。国家-民族のために死んだ人々をどうまつるのかというモンダイにつきます。
韃靼人さんと数年前、千鳥ヶ淵と靖国をおとずれたことがあるのですが、そりゃぁ千鳥ヶ淵のほうがいいに決まってます。
靖国は、韃靼人さんとも、パトリさんとも、＜行って＞います。ともに民族派であるところのお二人とも、一度も礼拝を本殿の前でしないで、「ふうん、ここでホントに<英霊＞が祀られているんかいな、という表情を示しておられたのが印象に残っています。わたしなんぞがはらはらするような感じでしたよ。
その気持ちはなんかことばには出来ないですがわかるなあと思います。
これらのモンダイ群に対して、
外野で騒いでいる人がいますが、コミュ戻られるなら受け入れますが、戻られないのなら、「外野フライ・キャッチアウト！」ですね。
久々に酔っての書き込みですが、パトリさんの背筋の凍るようなひとことを、いま、みんな、待ってますよ（笑）
あ、ＮＯＳさん！たまにはこみゅものぞいてくださいよ！ツイッターは嫌いだぁ！
上記写真は、
1981年9月、信州馬込宿でのものです。
勿論、デジタルカメラなどない時代のものです。プリントした写真を、ぼろスキャナーでとったものです。
使用したカメラを間違えました！ 機材は、キャノンF-1！ せっかく大思想史家を撮るのだから、Ｍ大カメラクラブの友人ＫＺ（高校の同級生でもある−商学部だが…）を恐喝して、なかば強奪したものでした。
勿論、合宿後、返却しましたよ（笑）。
このときの写真は数十枚あるのですが、デジタルじゃなくて、フィルムです。
こういう貴重な写真を保存するために、フィルムスキャナーを買おうかなぁ…。
でも、完全な解像度を得られるのは高いのデスヨね！
今は、オーディオで財布はぎりぎり、夏期賞与もそこまでごまかしたら、愚妻に殺されます。
どなたか、フィルムスキャナー、お持ちの方いたら、お貸ししていただけませんか？
着払いで結構です。
スキャンしたらお返しします。
でも、本コミュ、マスコミ関係者の方もいらっしゃいますよね。写真部から、いらなくなったスキャナーを「寸借」するだけでいいんです（笑）。
35mmのものでいいんですが…。
1981年9月、信州馬込宿でのものです。
勿論、デジタルカメラなどない時代のものです。プリントした写真を、ぼろスキャナーでとったものです。
使用したカメラを間違えました！ 機材は、キャノンF-1！ せっかく大思想史家を撮るのだから、Ｍ大カメラクラブの友人ＫＺ（高校の同級生でもある−商学部だが…）を恐喝して、なかば強奪したものでした。
勿論、合宿後、返却しましたよ（笑）。
このときの写真は数十枚あるのですが、デジタルじゃなくて、フィルムです。
こういう貴重な写真を保存するために、フィルムスキャナーを買おうかなぁ…。
でも、完全な解像度を得られるのは高いのデスヨね！
今は、オーディオで財布はぎりぎり、夏期賞与もそこまでごまかしたら、愚妻に殺されます。
どなたか、フィルムスキャナー、お持ちの方いたら、お貸ししていただけませんか？
着払いで結構です。
スキャンしたらお返しします。
でも、本コミュ、マスコミ関係者の方もいらっしゃいますよね。写真部から、いらなくなったスキャナーを「寸借」するだけでいいんです（笑）。
35mmのものでいいんですが…。
>>[19]
＞馬籠はいったいどんな目的で？
島崎藤村にきまってるじゃないですか！ 『夜明け前』
あのころ橋川さんは、本当に先祖帰りしていた！
そりゃあ、国学ですよ。あの場にパトリさんがいなかったのが惜しい！ 私は平田国学について発表しました。
ほかにも、カツラブさんをはじめ、そのまま書籍になるんじゃないかという発表が相次いだ、有意義な合宿でした。
この時代の橋川ゼミは、過去のロマン主義的な（＜バカ＞−失礼！ｰ多謝）先輩たちとは断絶していた！
「ことしのゼミ生は、ものすごくいいね！」という。肉声を橋川さんからききましたよ。（夜、ちょっと呼ばれて、話こんだんです、一応先輩ですからネ（笑）。
その後の、秋田の平田あつたね墓所合宿というのも、学部ゼミ長に、院生の私が圧力をかけて実現しました。
鹿角の内藤湖南旧宅や、小田野なおたけ（『解体新書のイラスト担当の絵師）の墓にもあえてほんとうに有意義な旅でした。でもこの時は、橋川さんは体調不良で参加できず！
＞馬籠はいったいどんな目的で？
島崎藤村にきまってるじゃないですか！ 『夜明け前』
あのころ橋川さんは、本当に先祖帰りしていた！
そりゃあ、国学ですよ。あの場にパトリさんがいなかったのが惜しい！ 私は平田国学について発表しました。
ほかにも、カツラブさんをはじめ、そのまま書籍になるんじゃないかという発表が相次いだ、有意義な合宿でした。
この時代の橋川ゼミは、過去のロマン主義的な（＜バカ＞−失礼！ｰ多謝）先輩たちとは断絶していた！
「ことしのゼミ生は、ものすごくいいね！」という。肉声を橋川さんからききましたよ。（夜、ちょっと呼ばれて、話こんだんです、一応先輩ですからネ（笑）。
その後の、秋田の平田あつたね墓所合宿というのも、学部ゼミ長に、院生の私が圧力をかけて実現しました。
鹿角の内藤湖南旧宅や、小田野なおたけ（『解体新書のイラスト担当の絵師）の墓にもあえてほんとうに有意義な旅でした。でもこの時は、橋川さんは体調不良で参加できず！
>>[22]
あのころ、橋川さんは、国学がマイブームだったんすよ！丸山流にに言えば、「平田派と栄光と悲惨」という点に激しく興味を持たれたんでしょうかね？会津合宿でも「垂加神道」の祖、山崎闇齋のはにつ神社にもいきましたヨ。本当に、パトリさんもその場にいれば、もっともっと有意義なゼミになったであろうとかえすがえすも惜しまれます。時計の針はどうやっても巻き戻すことはできないんですね。嗚呼！
西郷論に関しては僕らにはあまり語られなかった。僕らにとってもあまりにも自明のことであったし、先生の未完におわった「評伝 西郷隆盛」の完成、固唾をのんで待っていましたからね。
しかし、それは叶わず、先生は急死してしまった。
残ったのは『西郷隆盛紀行』のみ。それを読み、この下書きをもとに執筆されたであろう「西郷隆盛」を想像すると、途方もない西郷論になったのではないかと思い、慄然とした思い出があります。
本当に惜しまれますよ。
最晩年には、岡倉天心に関心をシフトされていましたがね。
そういえば、最後の合宿は、茨城、「五浦」でした。
311の津波でこわれてしまった例の「六角堂」に当時特別に入れてもらい、そこで感極まって瞑目する先生の写真もあります。
だから、どなたかフィルムスキャナー貸してください（笑）。
あのころ、橋川さんは、国学がマイブームだったんすよ！丸山流にに言えば、「平田派と栄光と悲惨」という点に激しく興味を持たれたんでしょうかね？会津合宿でも「垂加神道」の祖、山崎闇齋のはにつ神社にもいきましたヨ。本当に、パトリさんもその場にいれば、もっともっと有意義なゼミになったであろうとかえすがえすも惜しまれます。時計の針はどうやっても巻き戻すことはできないんですね。嗚呼！
西郷論に関しては僕らにはあまり語られなかった。僕らにとってもあまりにも自明のことであったし、先生の未完におわった「評伝 西郷隆盛」の完成、固唾をのんで待っていましたからね。
しかし、それは叶わず、先生は急死してしまった。
残ったのは『西郷隆盛紀行』のみ。それを読み、この下書きをもとに執筆されたであろう「西郷隆盛」を想像すると、途方もない西郷論になったのではないかと思い、慄然とした思い出があります。
本当に惜しまれますよ。
最晩年には、岡倉天心に関心をシフトされていましたがね。
そういえば、最後の合宿は、茨城、「五浦」でした。
311の津波でこわれてしまった例の「六角堂」に当時特別に入れてもらい、そこで感極まって瞑目する先生の写真もあります。
だから、どなたかフィルムスキャナー貸してください（笑）。
>>[36]
本日は残念至極に候。しかれども、我らの真意は氏に届けりと存じ奉り候。屹度何らかのご連絡ありかと存じ候。
てか、平文でいえば、「兆民」さんとパトリさんが通信できればいいだけのはなし！
兆民さんは執筆に忙しくて、mixiはみてないいですよね！電話が一番。
原稿依頼すればいいんです（笑）。
電話すると、ものすごい透明な声の奥方（津軽出身）の声がきこえますが、たいがいは「もしもし、●●ですが」という、薩摩なまりの濁った声が聞こえるのが常です（笑）。
「兆民」さんとパトリさんは、あいみたがえるような感じをもちます。
「兆民さん」たまにはミクシイ見てくださいよ！
たのんますよ。
『非情の常時リストラ』（文春文庫） 読みましたよ！
さすが５６歳なのにフットワーク軽いですね。
一顧だにされない、われわれの先輩たちの、ブログや電子出版に対して、なにかいって下さいよ！
本日は残念至極に候。しかれども、我らの真意は氏に届けりと存じ奉り候。屹度何らかのご連絡ありかと存じ候。
てか、平文でいえば、「兆民」さんとパトリさんが通信できればいいだけのはなし！
兆民さんは執筆に忙しくて、mixiはみてないいですよね！電話が一番。
原稿依頼すればいいんです（笑）。
電話すると、ものすごい透明な声の奥方（津軽出身）の声がきこえますが、たいがいは「もしもし、●●ですが」という、薩摩なまりの濁った声が聞こえるのが常です（笑）。
「兆民」さんとパトリさんは、あいみたがえるような感じをもちます。
「兆民さん」たまにはミクシイ見てくださいよ！
たのんますよ。
『非情の常時リストラ』（文春文庫） 読みましたよ！
さすが５６歳なのにフットワーク軽いですね。
一顧だにされない、われわれの先輩たちの、ブログや電子出版に対して、なにかいって下さいよ！
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