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InnocentSphere FunClubコミュの2010年5月extra公演「4×4=0」

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InnocentSphere extra

『4×4=0(フォー・バイ・フォー・イコール・ラヴ)』
作・演出:西森英行


2010年5月20日(木)〜30日(日) 下北沢シアター711





私こと「まさ」のレビュー(ストーリーと感想)







○彼女の棲む場所




大学講師こと、藤原新一の妻こと、藤原倖のふたりが、結婚記念日に、ふたりの時間を過ごそうと約束をする。


その結婚記念日、藤原倖は不慮の事故で亡くなる。


そのお参りの49日の話。


夜、遅くまで呑んで藤原新一の家に帰ってきた友人達含む藤原新一は、彼等を前に、悲嘆に暮れ、悲観的に自分を責める。


彼は、倖を幸せにしてやれたのか、倖を理解してやれたのか、倖を大事にしてやれてたのか、倖は自分といて良かったのだろうか。


後悔ばかりが、彼を襲った。


胸が軋む程愛し愛されていたふたりだったというのに。


(・・・倖の「この私の気持ち、どこにいったらいいの?」という心がきゅうっ、と痛みを覚える台詞、その時に私ははっきりと劇に引き込まれていった・・・。)


それを理解するには、彼の友人達が必要だった。


倖は、倖こそ、ふたりの間に自信はなかった。


結婚記念日の日も、倖は薫の家に行った。


「今日、新一から別れをきりだされるんじゃないかしら・・・」倖はいつもの口癖を薫に言う。


「そんな事ないよ!」と倖の背中を押す薫。


更に、新一も友人の三郎に同じ事を言う。


勿論、三郎も薫と同じ事を言って励ます。


そんなこそばゆい新一と倖の関係。


倖が亡くなってから気付く幸せをあの世に送り出す前に理解する。


幽霊になった倖と一緒に深呼吸で同じ空気を吸う・・・彼等。


そして、倖に抱かれながら新一は、倖をあの世に送り出す事が出来た。


同じ空気を吸いながら。やっと安堵の面持ちを見せるふたり。






ふたりの自信のなさは、愛を示して、と言えなく、言うのが怖くて、少しでもつながっていたい気持ちに、不安がいつも溢れていたような関係なんだろうと思う。


だから、互いに、相手に対する不信感がふくらみ、それは「相手を信用出来ていない」という不信感にもつながっていた関係だったんじゃないだろうか。


“不安”を否定するのは、モヤモヤしている自分と、不安欲求を満たしてくれない相手の存在を認めない事。


だから、新一は、ありのままの自分を受け入れられず、自分を責めたり、後悔したり、ヤケになったんだと思う。


相手との“喜び”だけを受け入れ、あとの半分は受け入れていないような感情の渦を、自分の世界に巻き起こしたのではないかと思う。


そして、友人達の力によって、お互いの素直な“不安”な気持ちが分かって、やっとありのままの自分達ふたりの事を理解したんだと思う。





○命の露




死刑囚、元暴力団組員こと、源田具行は、殺人を犯した事により、死刑を予期されていた。


妻、源田仁美は、再審請求の依頼を弁護士こと、佐々木に頼む。


死刑囚こと、源田具行に佐々木は駄目元で、面会するが、佐々木弁護士は、源田具行の顔なんてみていない。


源田具行は「こっち見ろよ!」と怒る。


当然だ。理由はなんにせよ、人の顔を見ないで話を進めて、はい終わり帰ります、なんてのは腹立たしい。


で、意外にも源田具行の口から出たものは、「TVもラジオもない。情報が入ってこない。そこでだ、あんたに頼みたい。野球!どうなってる?!」「今、○○戦で・・」と佐々木。


「おお!」と一瞬身を乗り出す源田。


「!!まさか!先輩じゃないっすか!!」と野球での先輩を思い出す佐々木弁護士。


源田は、「おお、俺は分かってたよ」と呟く。


そして、「次ん時は、野球の情報を持ってきて欲しい!詳しくな」と約束を頼む。


それから、佐々木は、急に人が変わったように、TVの野球に熱が入る。


次の面会で佐々木弁護士は、源田具行に、新聞紙を持って行って、新聞紙に食いつくように身を乗り出す源田に佐々木は熱く試合の様子を語る!


そんな面会が何度も続き、ある時、佐々木が思い出したように、「先輩とやったあの準決勝!覚えてますよ!9回裏!先輩がみんなを集めて、一言、“俺がいるから”、って!」

(そこで源田・・・照れてやんのおおおおーというのは私の“ツボ”の話で。)


佐々木は続ける、「あの試合いいとこまでいったのに負け・・・。先輩が自分に、“佐々木心配するな。


佐々木は頑張ってた”って!先輩が一番悔しかったのに・・」と、佐々木。


「準決勝のあの時、俺はわざと打たせたんだよ。夢を見させる為に」、源田。





妻こと、源田仁美との面会で、源田具行は、「何しにきたんだよ?」とふてくされ、「会いにきたんだよ」と仁美は言い、「話があんだよ」と、続けて「子どもができたんだよ」と、言う。


具行は、「なんだよ。そんな事言いにきたのかよ」と言い、妻こと仁美が、「あんたの子なんだよ」と言うと、具行が、「とっととおろせよー!」と怒鳴りつける。


仁美は椅子を蹴って、壁をドン!と叩く。


面会が終わって、刑務官が具行に、「見た事ないなぁー。お前みたいに底意地の悪い奴は」と呟いた。




妻こと、仁美が赤ん坊を連れて、面会にくる。


「ねぇ、赤ん坊の顔見てよ」と、よく見えるようにと、歩み寄る。


具行は、ほんの少し見たような振りをするが目をそらす。


子どもの前で、何も言わない、具行。





佐々木が、面会にきて、「思い出しました。ある日、先輩が顔をくしゃくしゃにして泣いていて、突然ロッカーを殴ったり蹴ったり暴れ出したんです。それが、先輩なのですね。」と、佐々木が、言う。


源田が、「俺は殺しがしたくてたまんなかったんだ。俺は殺りたくて殺ったんだ・・。俺はやりたい事は必ずやる。そういう性格なんだよ。」続けて、「暴力団の義理ってのはなぁ、殴られたら殴り返すってんだ」続けて、「怒った時は殴るんだ。殴り合って、もう十分ってあとのsexは、たまらねぇな・・・」と、言う。

(思わず、私の口は笑いながら乾いた笑いをこぼしてた。なんでそんなとこがツボなんだか、不覚。)


そんな会話の辺りで、刑務官こと、柏原寛司が「時間だ」と言うと、源田が「まだ話は終わってねえ!聞け!佐々木。俺は殺しをしたんだ!ぬぐおうとしても女を抱けるかよ!てめーのガキがかわいくない奴がいるかよ!   ・・・だから惨めったらしく死ぬのが一番なんだよ・・。ガキがこうならないように・・・」と、言い放った。


その話を佐々木に言い終わるまで、刑務官を押さえつけていた。


それをほどくと、「もう暴れやしねぇ・・よ」と刑務官に手錠をはめられていった。


佐々木は、「その時、源田具行は、どんな思いで、長い廊下を歩いていったのか・・・」と独りごちた・・・。





それから数年後、佐々木弁護士と源田仁美が会い、こう、言う。「安らかな死に顔でした」「・・・そうでしたか」と佐々木弁護士。







殺しをするというのは、本人が一番、感触でも、見たものでも、ずっと焼きつく、写真のような写真ではない、こびりついて放したくても放れないなんとも言えない深いところに痕をつけられてしまうものだ。


それを「ぬぐおうとしてもぬぐいきれない」という表現をしていたが、そういうもんなんだと思う。


純粋というその人の中の何かのもの、誠実という何かのもの、愛という何かのもの、心という何かのもの、感情という何かのもの、人間としての何かのもの、どこかしら壊れて機能しなくなる。


どう表現していいか分からないが、苦しむような葛藤やざわめきが本人を蝕んでゆくのであると勝手に想像する。


自分にヘドが出る感じ。それですら済まない感じ。


もう大切な人の前で、胸を張れないような感情。


この際、道化を演じるしかない、そして道もない。


頭が腐る前に考えた事は、なんだったろうか、子どもの顔を見て、何を思ったろうか、現実に恐怖を覚えたろうか、惨めにも泣いただろうか、暴れただろうか。

記憶の糸を切って、切って、1本ずつ切って、自分という存在を消す努力をしたろうか?


そうして、死刑で死ねる事が救いだったろうか?


思考の糸を1本ずつ切って、切って、無になったろうか・・・・・・?


自分の生きてる証、血、肉、が乾ききる事を願ったろうか?


死が逃避だったろうか?




死に顔を安らかだと言う、お骨を大事にする、妻は夫の事をどう考えていたろうか?








○0ゲーム




小説家が自分の作品の登場人物に、監禁され、問い詰められる。


「登場人物の胸の底を考えた事があるか!?」





私は、感想を書く事によって、登場人物の事を自分が感じたように書いてるが、そう問い詰められると苦しいのが否めない・・・観ている時、ずっと楽しめない自分がいた。


連れ添った父親は、このゲームを「ただの“お楽しみ”だね」と言っていた。

しかも、劇中、よく笑っていた!

わ、私は、笑えなかった!






○ムゲンノショウメイ




「解けた!」と、言った事もない数学者である夫こと、長崎耕平から、雑誌記者である妻こと、長崎文恵は、電話をもらった。


その直ぐ後、最初に出会った場所でもある、小屋に行くと、夫こと、長崎耕平は息をひきとっていた。


妻こと、長崎文恵は、誰も解いた事のない数式を解いて同じ景色を見れたらって本気で思って、生前愛用していた夫こと、長崎耕平の途中までで終わってるノートを大事にしていた。


そして、数学の道に足を踏み入れ、解いたのだ!


そして、小屋に行ってみた!


小屋で夜になると、天井が、壁が、プラネタリウムのような星のように光り・・・それは数式だった!!


同じ景色。




「πは今、3て習うんだって」と妻こと、長崎文恵。


夫長崎耕平が「3、1415926535(そのあとも、あと4つか2つ数字を言っていた!私はここまでしか知らないので悔しかった。)」そろえて妻文恵が、同じタイミングで声を重ねて言う・・・

「いいわあ」とそれだけで、例えば、ふたりだけの合言葉のように聞こえて、泣いてしまった。



カーテンコールが早すぎてうつむいたまま泣いたまま浸っていたかったのに、連れ添った父親に小突かれてしまった。






私も愛するパートナーと同じ景色を見たい。


それには、地味な努力が必要だね!と私は自分の事、思ってます。


本気って馬鹿にされやすいけど、本気ってものすごい熱いと思います。







ありがとうございました!




パチパチパチパチパチパチパチ!






まさ。

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