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僕と君は違うんだコミュの僕は君とは違うんだ H10

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2005年1月

たとえば小説家をめざす者にとって、
出版社はもっとも近くて、もっとも遠い存在だろう。
作家をあきらめて、出版社に就職するというのは、
ある意味屈辱的だ。
音楽家というか、アーティストにとっては、
さしずめレーベルか。

むろん屈辱なのは、自分に才能があった場合だ。
もし自分が凡人であったなら、少なくともそう認めていたなら、
好きなものの近くで働くというのは、最高に幸福だ。
少なくとも、まったく関係ない仕事についているよりは。

もっとも、才能があったからといって、
必ず開花するという保証はどこにもない。
どれだけ深く愛したとしても、
女を幸福にできるとはかぎらないように。

人生を根本のところで支えているのは、
ぼくらの生命力だ。
才能も、容貌や体力や精神力などとともに、
それを修飾するもののひとつに過ぎない。
生きんとする力が、強まることもあるし、弱まることもあろう。
その結果、なにが生まれて、何が死ぬのかなんて、
ぼくらには、わかるはずもない。

ぼくはいい加減な日記をブログhttp://m-shinshi.cocolog-nifty.com/に書きつけて、
ブラウザを閉じた。
最近、サイトはほとんど更新していない。
むろん、小説もアップしていない。
ネットをやるときは、もっぱらmixiだ。
やはりぼくには、原稿用紙の方がしっくりくる。


翌朝、コーヒーをすすりながら、
アウトルックを開くと、
長谷社長からメールが届いていた。
半年前に小さな広告代理店を立ち上げ、
ぼくを拾ってくれたときから、
この習慣は変わらない。指示は全部メールだ。
内容を確認してから、ぼくはパソコンの電源を切り、
濃紺のスリーピース・スーツを着た。

「音楽スタジオのウェブサイト作成依頼を受けた。
よろしく頼む」

冬の陽がさしこむ洗面所で、
髪をととのえ、髭をそりながら、
ぼくはなぜか、ノムラの顔を思い出した。

原作: 紫の紳士さん http://mixi.jp/show_friend.pl?id=236159
初出:2005年01月13日 16:50 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=6560063

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