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観たい映画報告部コミュの Small Engine Repair (2006)

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Small Engine Repair (2006)

ジャンル;Comedy | Drama

監督; Niall Heery
脚本; Niall Heery


出演;
Iain Glen ... Doug
Steven Mackintosh ... Bill
Stuart Graham ... Burley
Laurence Kinlan ... Tony
Tom Murphy ... Christy
Kathy Kiera Clarke ... Agnes
Gary Lydon ... Big Eddy
David Hayman ... Jesse Gold
B.J. Hogg ... Bar Character / Engine repair customer
Derek Mayne ... Pool Player / Bar Character
Charlene McKenna ... Melanie
David Pearse ... Truck Driver

昨日BBCテレビの午後アメリカ50年代のシナトラ映画でそのプロットは別として音楽を楽しみ、今日、BBCテレビの深夜映画にかかったものを残った味噌汁に冷や飯を放り込みチーンさせたものの上に刻んだ葱を盛りあげ、七味唐辛子を振りかけビールで喉に掻き込み夜食としてテレビの前に座り、さて、どうもカントリー音楽に関係のあるアイルランド映画だというものの退屈したらスイッチを切ろうと見始めた。

アイルランドのものには興味があり8月の夏休みには背伸びをすればアイルランドが見えるようなところも歩き、映画の中に見える景色を親近感をもって見た。 別段高くも険しくもない茫洋と普通の営林がつづく田舎であり町も村も画面には登場せず、唯、寂れた「小エンジン補修」と看板がかかった粗末なガレージとカントリーミュージックがかかる地元のバーだけの、アメリカの田舎でもヨーロッパの田舎でもありえる風景なのであり、そこで話される言葉にしてもほとんどアイルランドアクセントが聞こえない標準的な英語である。 登場人物も少なく低予算で製作されダブリンの映画祭に出品されたものの放映の折何かの都合でかからなかったものらしい。

アイルランドはアメリカの音楽の中にも欠くことのできない根を張っており古くから移民の国アメリカではアイルランドのフォークロー音楽はどこでも聞かれカントリーミュージックとは違和感もなく、融和していることは皆の知るところだ。 けれどカントリーミュージックビジネスとなると少々趣が変わる。 記録映画の手法でロバート・アルトマンが撮った「ナッシュビル」の時代から現代もアメリカではカントリーミュージックは映画産業では無視できないものではあるけれどアイルランドの21世紀ではビジネスでは成り立たそうにもなく地方のカントリー音楽専門FM局ぐらいでしかかからず、多分こういう寂れた過疎地の林業でかろうじて成り立っているところぐらいでしか共感を持って聞かれないのだろう。 現代ではさまざまなジャンルの音楽が簡単に手に入るもののそこで生きていくには生半可なことでは生き残れないというのは皆承知のことである。 

合理化、機械化の下で昔のような肉体労働は消え去ったということを本作開始のシーンで木材が森から一人の操作でどのように伐採されその場で枝を払われトラックに積み込まれ工場に運ばれ加工されるかというプロセスが示されることで映画のお膳立てができている。 ここで育った、今ではもう40を超えるか超えないかといったあたりの友人四人のうち、何をやっても成功しない、気はいいものの内気でカントリーソングで生業をたてたいという夢を持った後のない男をめぐっての話ではあるが他の男たちもそれぞれ存在感をもって絡む。

この男四人組が森の奥に週末、鹿狩りにでかけるところはマイケル・チミノの「ディア・ハンター」(1978)を彷彿とさせるがそこにはロバート・デ・ニーロ的なキャラクターはいないもののグループの中でへまをして卑屈になりがちなクラウン的キャラクター、味のあるジョン・カザールに匹敵するのが題名の「小エンジン補修」と看板がかかったガレージのオーナーだ。

アイルランド映画で音楽に関係のある作といえばアラン・パーカーの「ザ・コミットメンツ」(1991)が思い浮かばれ、社会背景をもとにソウルバンドを巡ってウイルソン・ピケットをも巻き込んだ面白い映画だったのだが本作ではバンドメンバー、といってもアイルランド風のマンドリンとフィドルの奏者、リードギターを弾く見るからにアイルランド人らしい髭をたくわえた静かな男との3人バンドであり3人の中での葛藤はない。 もちろんここでは負け犬と周りから言われ女を寝取られた男がその人生から味のある歌を作り、それもストーリーの中で、自分を切り刻んで歌にする故に人のこころを打つ、バーに集まる者たちも男を承知しているが故に歌が胸にしみ、ローカルではあるがラジオを通じて聴くものを増やしていく、というある種の浪花節的真実、神話のカントリーミュージック成功譚とも符合するのだがそこでは決してアメリカ的なハッピーエンドはないしそれに収束しそうな兆しさえ見せないところがヨーロッパ的であり、なんとも低予算高品質の文字通りカントリー音楽ものアイルランド映画となっている。 

尚、ジャンルとして本作はコメディー・ドラマと括られてはいるが、上記「ザ・コミットメンツ」(1991)ではまだ笑えるところがいくつもありそれをコメディーと呼んでも差支えがないだろうけれど、本作では笑える部分はほとんどなく、苦笑いや泣き笑い、友情に人情の機微を示して、そんな笑いを除いても日本の外ではコメディーといわれるジャンルに入る本作が同時に日本でも理解されることを願うものだ。

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