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ねぐろコミュのみんなの思いが詰まったねぐろ(その1)

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二〇〇七年四月二十三日午前八時、公園通りのビストロ・ねぐろに常連たちが集まった。  
目的は、店の改装。
そのころ、経営不振にあえいでいたねぐろの店長・高木力は常連客の殿村雅文に経営再建策を相談していた。殿村と高木、そしてその家族たちは相談を重ねた結果、店の改装をするしか手立てがないという結論に至った。
だが、工事をするにも予算は限られ、工務店に依頼するのも苦しい状況だった。
やがて二人は決断する。新しい店の設計以外は、自分たちの力で建てようと。出来る限りのことは自分たちでまかない、専門家に頼むのは最小限にとどようと。
自分たちでやる、と決めたはいいが、素人だけでする改装工事を引き受けてくれる建築家がいなければ、計画は一歩も進まない。
殿村は、一人の建築家を紹介される。
神尾啓介、北海道大学を卒業後、ロンドンに渡り、建築学、都市計画、ランドスケープデザインを学んだのち、スウェーデンの建築事務所で活躍、〇五年、日本に帰国した若き建築家だった。
当時の神尾は、自分の作品でコンテストの受賞歴こそあるものの、思うように仕事の依頼がなく、鳴かず飛ばずの状態だった。
 このねぐろの改装話を聞かされたときの心境を神尾は次のように振り返る。
 「正直、最初は無茶だと思った。」
 聞かされた予算は六〇万円。通常、設計費、材料費、工務店のマージンを考えれば、ざっと三〇〇万円は下らない工事だと直観したという。だが、神尾は引き受けた。
 限られた条件で「何ができるだろう」と考えるうちに「面白いと思った」のだという。実際に、工務店を通さなければ、材料費は安くできる。また、素人だけの工事でも事前の設計が正確にできていれば、現場のオペレーションはスムーズに運び、「素人だけでもやれないことはないと思った」という。

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